
クルマの開発に於いてサスペンションは花形です。しかしことリヤに関しては常に場所取り合戦です。リヤシート、サスペンション、リヤフレーム、燃料タンク、スペアタイヤが関係します
90年代FF車が高性能になってくると、対抗してFR車はスペース効率を求められます。これを最初にやったのはBMWです
当時ベンツはマルチリンクで先行しますがこれはスペースを取りトランクが狭かったのです、燃料タンクがトランク前にあるから。FFならリヤデフがないのでそこに燃料タンクを配置してトランクは深く作れます
BMWはトレーリングアームをベースにアーム配置を隅に配置することでリヤシート下に燃料タンクを押し込めます。FRのプロペラシャフトがあるのでタンクは鞍型となり従来の鉄では困難で樹脂製としました。これがE36の3シリーズです。このおかげでスペース効率でFFに対抗できその後も長く使われた
初代ホンダS600は他にない左右チェーン駆動によるFRです。これは同時に開発されていたオーバーハングの無いS360に於いてスペアタイヤを間に格納する為でした
結果360版は生産されず、後にS800では一般的なリヤデフに変更されます。初めから変更できるように設計されていたんですね
因みに初代ゴルフのトーションビームもコンパクトカーでスペアタイヤを間に格納する為に考えられた形式です
私のマスタングはリヤリジットですが、スペース効率を考えシート下に燃料タンクを収めてあります、ペラシャフトも上下するので難しいレイアウト。故にトランクは巨大です。昔のAE86とかはトランクは下にタンクあり浅かったですから
なおスポーツカーでは効率より重量配分からタンク位置を決め、リヤサスペンションはF1のようにシンプルにしますね。するとリヤシートが無くなります
乗用車のリヤサスペンションは各社のスペース効率の工夫の違いが出て面白いです♪
なおフロントサスもFF横置きではエンジン、ミッション、サイドフレーム、タイヤ切れ角との場所取り合戦になります。ショートボアやミッションの工夫でパワトレ幅をコンパクトにする必要があります。ダブルウィッシュボーンではハイマウントでタイヤを避けてます。これはベンツが先鞭を付けましたね。まぁ全幅を広くすれば安易に解決できますからスポーツカーは幅広いのです
なおミッドシップV12になると長さ重さの点でエンジン配置そのものがかなり困難になり超ロングホイールベースになったり、重量配分(FF60:40、FR52:48、MR44:56、RR40:60位が適正です)がリヤヘビーになったりします。結果リヤサスアーム長が取れないと困ったことにもなります。V12にはFRのほうが相性が良かったですね。ミッドV12で成功したのはランボルギーニです、ミッションが室内に出っ張ってますから
乗用車のサスペンションはジオメトリーが成立すれば、あとは場所取り合戦という話でした
Posted at 2021/07/21 21:46:06 | |
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自動車文化論 | 日記