前車アウトバックに搭載されていたスバル アイサイト Ver.3のヘビーユーザー?にはシエンタ(3代目10系 ハイブリッドのZグレード)に搭載のトヨタセーフティセンスはどう映るのか?
主にアダプティブクルーズコントロールについてです。どちらも自腹のオーナー評価です。
タイトル画像は同乗者が撮影したもので、私は運転に集中していました。指摘おじさんにそなえて念の為w
【発売時期とバージョン】
スバル アイサイトVer.3:2014年6月
トヨタセーフティセンス(最新版?):2022年1月
7年半の差があるので、機能的にはもちろん最新のセーフティセンスが勝っています。以前に記した
アイサイトをこうして欲しいという内容はセーフティセンスではほとんど実現されています。
よって、良し悪しではなく、どう違うか(どう進歩しているか)の視点です。
セーフティセンスのバージョン表記は無いようですが、最新版(第3世代?)は2022年1月のノア/ヴォクシーのモデルチェンジ以降にモデルチェンジや商品改良となった車種に搭載されており、3代目シエンタも該当します。
それ以前のセーフティセンスはアイサイトとは比べ物にならないレベルだったとか。
以下では断りのない限りは上記バージョンを指します。
また、あくまでもこの二つの比較なので、
「オレのくるまはこんなこともできるぜ」
というおじさんは、自分の中で楽しんでください。
【ソフトウェア更新】
これが一番違うところで、トヨタセーフティセンス(2022年以降に発売の車種)はOTAでADASのソフトウェアアップグレードが出来ます。
Toyota Safety Sense ソフトウェアアップグレード
これが可能なのは国内ではテスラとトヨタだけではないでしょうか(2024年5月更新)。日経の記者はテスラだけと思っていそうですけど(笑)。
これは大きな優位点です。
【追従走行】
全車速追従式なのは同じです。停止保持はシエンタはハイブリッドのZグレード限定です。
一番の違いはセーフティセンスのほうが加減速や追従がとても滑らかなことです。
アイサイトの最大の欠点は前走車への追従が正確すぎて、前後Gが細かく出て不快なことでした。前走車の走りをコピーしてしまうため、前走車が下手だとこっちも下手になる。
私の母は私の運転とアイサイトの追従走行とを見分けました。
これは流石に年数差による熟成の差があるのでしょう。快適性が全然違います。
アイサイトが相手のいうがままについていくとすれば、セーフティセンスは自分のペースでついていく、というような違いです。
とはいえ、機械がやる追従走行なので、前走車のドライバーがうましかさんかの判断まではできません。そこは仕方がないところです。
もっとも、2014年の時点できっちりと追従走行していたアイサイトも良くできていたと思います。
【前走車の認識】
スペックが見つけられなかったのですが、感覚的にはセーフティセンスのほうがより遠くの前走車を認識する(より早く制御が始まる)感じがします。
追従中に前走車を見失う率はセーフティセンスのほうが高い気もします。ただし、カーブで前走車を見失いがちなのはアイサイトの方です。といっても、どちらもまれにです。このあたりはセンサー構成の違いと制御ロジック、カメラの視野角等々あるのでしょう。
【ACCのセット】
どちらもボタン一回でセットできます。
違う点は、セーフティセンスはブレーキを踏んで停止中でもセット出来ることです。セットしてブレーキを離すと停止保持します。
赤信号の先頭のように前走車が無くてもセット可能で、ブレーキ離すと停止保持になります。さらに、停止保持中にブレーキを踏んでも解除されません。そのままレジュームボタンを押してもブレーキ優先のため発進しません。
アイサイトはブレーキを踏めばいつでも解除され、停止中にはセット出来ない仕様でした。
どちらが便利かというと停止中でも次に備えてセット出来るセーフティセンスの方です。アイサイトは走り出さないとセット出来ませんでした。
▼速度のセット
設定可能速度は以下です。
アイサイト:40km/h〜114km/h
セーフティセンス:30km/h〜180km/h
アイサイトは高速道路で120Km/h走行可能区間が出来てもアップデートされませんでした。年次改良モデルは対応したのかもしれません。
設定は以下の操作性の違いがあります。
アイサイト:
スイッチは二段階で、短押しで一段目は1km/hずつ増減、二段目は10km/hずつ増減。いずれも長押しで押している間は増減。
セーフティセンス:
スイッチは一段階で、短押しで1km/hずつ増減、長押しで押している間は5km/hずつ増減。
標準のままだとアイサイトのほうが使いやすいです。が、セーフティセンスは設定を変えることが出来て、
短押しで5km/hずつ増減、長押しで1km/hずつ増減に変更しています。
以下はシエンタの取説の抜粋。
短押しと長押しのそれぞれを1km/h、5km/h、10km/hに設定できます。
【キャンセル】
どちらもキャンセルボタンを押すか走行中にブレーキを踏むことでキャンセル出来ます。
停止保持中にブレーキを踏んだ場合、セーフティセンスはキャンセルされません。アイサイトはキャンセルされます。
何かの拍子でブレーキペダルに触れてしまってもセーフティセンスは停止保持のままです。アイサイトはキャンセルされるので、ブレーキを踏まないとクリープで動き出してしまいます。ブレーキに触っても停止保持する仕様のほうが良いかなと思います。
【停止保持からの発進】
どちらも同じです。以下のどちらかで発進と追従再開をします。
・アクセルを踏む
・レジュームボタンを押す
【速度回復】
設定速度と現車速の差が大きいほど強く加速するのはどちらも同じです。
速度回復するときに、セーフティセンスではその加速度を三段階で設定できます。アイサイトはとくにそのような設定はありませんでした。
で、緩やかな方が良いかなと一番緩やかな設定をしてみたらいまいち好みの動作ではありませんでした。直前の前走車がいなくなり、遠くに自車より遅い前走車がいるケースでは...。
緩やかな設定では前走車との距離がなかなか縮まらないので加速が続き、追いつく頃にはブレーキランプが点灯する強さのブレーキ作動という動きをしてしまう。なぜか近くまで行き過ぎてしまう感じです。
中間の加速度設定は早めに設定速度まで回復するので(と言ってもびっくりするような加速ではない)、前走車認識でアクセルオフでブレーキランプが点かない程度の減速を始めるという感じです。後者のほうが快適で、ブレーキランプが点かないケースが多いように思います。
速度回復時に怖いと感じる人は、周囲の流れに合わない車速設定にしているかもしれません。
例えば設定速度100キロで走行していてその先の渋滞にはまってしまっても100キロの設定のままなら、当たり前ですけど前走車がいなくなったら次の前走車を認識するまでは100キロまで回復しようとします。
【車線変更】
高速道路で走行車線から追越車線に車線変更すると強めに加速するというのはどちらにも備わっています。
セーフティセンスはそれにプラスして車線変更前から隣の車線も見ていて、例えば隣の車線の少し前にいる車が設定速度よりも速い/遅い場合にウインカーを出した時点で自動的に緩めの加速/減速を始め、車線変更後に滑らかに加速/減速します。走行車線に戻るときもです。
アイサイトは車線変更後に前走車を認識してから制御してました。
【その他】
・車間距離設定はどちらも4段階。セーフティセンスの方が各距離は長め。
・前走車が停止後再発進した場合、 セーフティセンスは3秒以内(停止保持中と表示される前)なら自動的に追従再開、アイサイトは停止保持のまま。
【総括】
制御の洗練度と滑らかさ、任せて安心感は明らかにセーフティセンスが上回っています。
もちろんこれは7年半の違いからくるものでしょう。アイサイトの最新版は経験が無いのですが、同様に進化していると思います。
メーカーなりの、時代なりの違いはあるにせよ、疲労軽減にはとても役に立つ機能なのは間違いありません。レーントレーシングアシストを併用するとほとんど自動運転みたいなものです。
ただ、それだと暇で眠くなるという人は、元々運転が危なっかしい人物かと。周りに注意を払ってないとか漫然と運転しているとか。
いくら機械が進歩しても、使う人間次第では宝の持ち腐れですね。