はじめに、走行性能と言っても、荷重移動やロールがどうした、コーナー限界付近でアレがナニしたという話は出てきません。
普段使いで気が付いたことを書き留めておいたのでやたら長いですが、何かの参考になれば。
全体的には操作が軽くてスムーズでストレス無しです。
商品企画時点からドライバーズカーの考えは払拭したようで、スポーティ=重めで固めみたいなバカの一つ覚えな感触になっていないのが好感触。
ようやく、レガシィにつきまとうスポーティというキーワードから脱してくれたのが、購入の動機を大いに高めてくれたところではあります。ワゴンでスポーツとかドライバーズカーとかいうことが理解できないので、商品企画としてすごくまっとうになった(初代に戻った?)と感じます。
という考え方に賛同できない方は、この先読み進めてもつまらないと思います。
【高速走行】
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高速での安定感や直進性には定評のあるゴルフよりも数段上に感じます。前車のゴルフプラスや代車で乗った6代目ゴルフのヴァリアント最終年次モデルとは駆動方式やホイールベースも設計年次も違うので単純な比較は難しいですが、明らかに違う。
重厚感が有るわけでもないけどスピード感が希薄で静粛性は保たれているのと、路面のギャップで車が跳ねないので、スピード出しても平穏です。
2016/3/19:取り消します。接地感の薄さを誤って捉えていたようです。
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【ステアリング】
先代よりステアリングのギア比が速められたのがトピックですが、特段に「クイック」なものは感じません。
むしろ、これが取り回しの良さにつながっているように思います。タイヤが向きを変えるのが速いことになるので、素早く大きく切れることになる。電動パワステで低速時は操舵力が軽くなるようにアシストするので、例えば車体の真ん中辺りに座る自分の体が交差する狭い道路の端の手前側の延長線に差し掛かる辺りでハンドルを切れば、図体のわりにはどこも引っ掻けずにスルッと曲がりきることが出来ます。
交差点でハンドルを持ちかえなくてすむこともあり、日常の利用シーンでありがたいスペックだったりします。
【エンジン】
目玉の水平対向エンジンですが、今どきどんな4気筒だってスムーズでしょうし、数センチ(?)のエンジンの重心の違いはちょっと分からないです。インプレッションで水平対向は低重心で云々と書かれている方々は、よく分かるなぁと感心します。
それよりもリニアトロニックと組合わさってようやく駆動系の洗練度が市場に追い付いたというところだと思います。
これまでは、私的には水平対向独自レイアウト故のデメリットしか見えなかった。だって、他メーカーではアイシンの多段AT、ジャトコのCVT、ボルグワーナー(かな?)のDCT等を組み合わせられていたのに、スバルは自社の4段か5段のステップATしか無かったですから。
で、2.5リッターなのでさすがにアイドリング+αからトルクがあって、出だしのスムーズさやもたつきのなさにもつながっていると思います。ダウンサイジングターボとはここが一味違うところかも。
冷間始動時はこれまでのどの車もアイドリングの回転数が高めで、DやRポジションに入れるとクリープがきつかったのですが、アウトバックは、始動時こそは2000回転弱ですが、ポジション変更と共に通常時の700回転くらいになり、ブレーキを踏み増す必要がありません。最近の車はこのような制御なのでしょうか?
その代わり、走行中暫くはエンジン回転数が多少高めですが、その点はこれまでの車でも同じでした。
チューニングをしたと言う音質ですが、回すとわりとバタバタと脈動を感じるような。新世代のボクサーサウンド?
それはそれで良いのですが、遠くでレシプロ式のコンプレッサーが回ってるような感じにも聞こえ、緻密さやキレみたいなものは無いです。大排気量っぽさを狙っているのか、やはり北米市場向けかという気もします。メカニカルノイズは少ないので、もっと静かに回れば良いのに、というのは個人の好みです。
【リニアトロニック】
アウディのマルチトロニックで実績のあるメーカーのチェーンを使っていたと思います。ステップATと比べたら「ラバーバンドフィール」は確実にあります。街中ではエンジン回転数がほぼ2000回転程度に張り付いたまま加速していきます。
でも、内燃機関は出力範囲が狭い故にトランスミッションがどうしても要りますが、トランスミッションの多段化を進めたら結局どのギアでも同じような回転数を使うことになるわけで、部品点数や重量、制御の複雑さも含めてドライブトレイン全体の効率とスムーズネスを考えれば、エンジン回転数を固定出来るCVTのほうが良くないですかね? とくにディーゼルエンジンにはうってつけのトランスミッションだと思います。
スバルとしては、CVTになってハードウェアはそのままに、ソフトウェアで搭載車種に合わせた設定が出来るようになったのも、規模の小さいメーカーにはプラスの要素ではないでしょうか?
エンジンブレーキは左のシフトパドルでシフトダウンすれば、普通に効きます。パドルの操作完了とほぼ同時に変速も終わっているくらいの感じ。
アクセルオフではコースティングをしているかのような空走感がありますが、静かに距離を稼げるのでこれはこれで良いかと。
Sモードで500回転、S#モードで1000回転くらいエンジン回転数が高くなります。パドルでシフトダウンするとマニュアルモードになり、もとに戻るまでは多少の時間が掛かるので、加減速をアクセルで行いたい場合はS/S#モードに切り替えるというのもあり。
停車時にマニュアルモードにして右のシフトパドルを引くと2速になるので、CVTでありながらいわゆる2速発進も可能です。
アクセルを開け気味にするとステップ変速制御になりますが、タコメーターを見ると4速AT程度のステップ比かつトルコンのスリップいっぱいな感じ(あくまでもタコメーターの動きが)で、正直なところアホくさい。前述の自社4速ATの開発者がセッティングしたのでしょうか(笑)。
試乗記でみかけるCVTっぽさが無いというのはこの制御を言っているのですかね?
S#モードでステップ変速制御になるのだから、通常モードは無理をせずCVTの特性を生かした制御にして欲しい。
【ブレーキ】
少なくともカックンブレーキではないです。変にガツガツした踏み心地もなく、静かに停まれます。
【AWD】
降雪でもなければ乗っていて何も分かりませんが、高速での不気味なまでのスタビリティにも一役買う等その恩恵は常に享受しているんだと思います。
Xモードは低速時に締結力を強めるようで、昨今のセンサーの精度からすればわざわざ人がボタンを押さなくとも良いと思いますが、商品性向上のための付加機能?
どちらかというとヒルディセントコントロールをオンにするためのボタン、かな?
システムとしては三世代目らしいですが、機械として何も気付かせないという洗練度は流石です。
【サスペンション】
最後にベースグレードの乗り心地。あたりは角が無いですが、もう少しストローク感は欲しいところ。
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試乗記事でたまに見られるばたついたところというのは感じません。自分が分かってないだけかも知れませんが。
どちらかというと欧州車に近い乗り味で、高速域ではソリッドな感触もあります。
とは言え、不快なところは特になく、落ち着いて運転できます。後席の乗り心地も良く静かで、息子は車での移動をいやがらなくなりました。妻はすぐ寝てしまい、
「この車は目的地に着くのが早い」
と、睡眠時間が長くなってます。
2016/2/25:取り消します。少し改善が必要と感じるようになりました
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というわけで、初期モデルなのでこれから改良されてはいくと思いますが、なかなかの仕上がりと思います。