

ネットでおもしろい記事を見かけました
スバリストはスバルのここが好き!?水平対向エンジン3つのメリット
http://car-me.jp/articles/986
文中では
①揺れが少ない
②低重心かつ軽量
③高回転に優れている
の3点がメリットとして挙げられています
これについて自分の思う所を付け加えてみたいと思います。
①揺れが少ない
どちらかというと中~高回転域でのメリットかと思います
低回転域ではピストンが横運動してるんだな、と思う車体の揺れが起きる回転数域があります。
冬場の始動時アイドリング(2000回転ぐらい)で一番顕著です。共鳴現象によるものだろうと思います。最近のFA系エンジンでは感じにくくなっている気がします。オーナーの皆さん如何ですか?
②低重心かつ軽量
確かにその通りなのですが、吸排気のレイアウトが非常に難しく燃焼効率を上げにくい(燃費が稼ぎにくい)一因となっています
特に排気管がエンジンの下方向に伸びざるを得ないこと、
オイルパンの設置のため物理的にエンジンの位置が上方向に上がることが挙げられます。
これに対して大変苦心してエンジン位置及びボンネット位置を下げたのがBRZ(86)のFA20型です。もはやターボなどの補機類を追加するスペースがありません。
ポルシェの水平対向エンジンはドライサンプ化によって重心がガチで低くなっています。スバルがそれをしない(できない)のはコストの問題です。スーパースポーツのポルシェとどちらかと言うとアフォーダブルなスバルの差を感じる部分であります。
往時のインプレッサSTIとランエボの開発競争でもランエボ側がエンジンマウントをギリギリまで押し下げてきたことでほとんど重心高が変わらないという世代もありました。
ただ、愛車のBPレガシィは実際に乗ると物凄い低重心感があります。
今時のスポーツカーに優るとも劣らない低い着座位置がもたらすのかわかりませんがボディの堅牢さも相まってか車に守られている安心感があります。
ちなみにこのメリットを目一杯感じるために着座位置は一番下にしています。
③高回転に優れている
これはEJ20型までの話で、最新世代のFA20DITはレブリミットが6000回転(S4のみ6500回転)まででトルクで走らせる傾向が強いエンジンと化しています。
ちなみにEJ20は最新のWRX STIのエンジンで8000回転、自分のBPレガシィのEJ20Xでも7000回転を許容します。
エンジンの横幅が大きくなるのを防ぐためにショートストローク型になりやすい水平対向エンジンのデメリットをメリットに変えたのがこの③の特徴の本質ですが
最新のエンジンでは燃焼効率を取り、ロングストローク化(86.0mm×86.0mmのスクエアストローク)されています。現代のエンジン開発においては環境性能・燃費性能は避けては通れないんだなと改めて感じます。
ここまでリンク先の3つのメリットについて書いてきましたが
自分の考える水平対向のメリットとは
生まれながらに縦置きエンジンであることによりAWD化との相性が良い
ということです。
つまりセンターデフを用意して後輪駆動力の方が強いAWDを用意しやすいという特徴があります。VTD-AWD、DCCDの2つがこれに該当します。
FRのような回頭性、アクセルで曲げる気持ち良さと車が前足でも路面を捉えて加速していくAWDのメリットの両方を味わうことができます。
操る楽しみ、という意味では出来の良いFRやMRには一歩譲る部分がありますがその代り前輪でもしっかりトラクションを得られるのは乗り手に絶大な安心感をもたらします。オールロードクワトロ、というアウディの宣伝文句がありますが自分からすれば
オールロードVTD-AWDもしくは
オールロードスバルという感じ。最近雪道を運転していると特にそう感じます。
スバルは乗り手のフィーリングと車の挙動を出来るだけ一致させるように車を作っておりこれが人馬一体感を生み出しています。それが証拠に今まで運転した車で一番気持ち良かったのは最新の
VAB型WRX STI type Sでした。あれはすごくイイ。
最近まで電子制御を極力排して車の基本性能を磨き込んでいたのも車作りへの姿勢が垣間見えます。
もちろん多板クラッチを用いたアクティブトルクスプリット(ACT-4)でもシンメトリカルAWDの素性の良さが十分に感じられます。前輪駆動力が常に強いのでFR的ハンドリングはありませんがスタビリティの高さが感じられます。ACT-4で一番良かったのは新型レガシィアウトバックでした。次点でレヴォーグ1.6GT。
現行車種でVTD-AWD、DCCDが採用されているのは
WRX STI、WRX S4、レヴォーグ(2Lのみ)、エクシーガ(2Lターボのみ)です。
抜けがあったらすみません。スバルシンメトリカルAWDの極致を味わうことの出来る車種として強くお勧め致します。
他に手の届く価格帯のメーカーで人馬一体感を重視した車作りをしているイメージなのはマツダとBMWです。
特にBMWは質の高いFRを作っていることで名高いので良い意味で乗るのが怖いです。乗ったらどうしても欲しくなってしまいそう・・・。仕事で氷雪のある場所に行く可能性があるので1stカーにFRは選べないんですけどね。
新型ロードスターも気持ちの良い車に仕上がってくるんでしょうね。伝え聞く所によると1000kgで130馬力。使い切る楽しみが味わえそうです。
アウディ(VWも)は技術力で押すのでちょっと違う。なんといっても「技術による先進」ですから。
乗り手に気付かせずに超ハイテクで何事もなかったかのようにこなそうとするイメージ。ちょっと自分の理想とは離れてくるのかなと思っています。現状のような2ndカーとしては最高なのですが。
縦置きクワトロのリアトルクベクタリングには惹かれる部分もありますが複雑な制御を導入するとどうしても自然なドライビングフィールからは遠ざかる傾向にあります。直4を縦置きにするとボディが長くなりすぎるのも欠点。日本には少し大きいDセグメント+αになってしまいます。
もう1つ水平対向のメリットは
前方衝突事故時にエンジンが下側にずれることでキャビンを圧迫しない
ことです。

普通のエンジンであればエンジンがキャビンを圧迫して乗員の生存空間を殺してしまうような場合でも水平対向エンジンであれば助かる可能性がUPします。
最後にメリットかどうかは分かりませんが
水平対向エンジンのエンジン音は直4とは明らかに異なっており所有感を満たしてくれるものだと思います。
低回転時ではシュイイインというモーターのような音、等長エキマニ化しても時折ちらりと聞こえるボロロンというボクサーサウンド。
高回転時ではデケケエエンとボクサーエンジン特有の音を上げて一気にレブまで駆け上がって行きます。さながら航空機のエンジンのようなイメージです。