
遅ればせながら,クリーンディーゼルエンジンを搭載したCX-5を試乗して来ました。
試乗車のグレードは,XD(クロスディー)のL packageでした。
レザーシートや225/55R19 99Vタイヤ&19インチアルミホイール等を装備する最上級モデルです。
ディーゼルエンジンと言えばガラガラとうるさいエンジン音や振動や,アクセルを踏み込めば黒煙をモクモクと吐き,昔から何かと嫌われる存在で,排気ガス規制の影響で乗用車はもとより,商用車(主に小型車)のラインナップから消えていきました。
僕はディーゼルエンジンの車を所有した事こそ有りませんが,小学生の頃にデビューしたジェミニディーゼルに衝撃?を受け,高校の頃の部活の顧問の先生が乗っていたいすゞのアスカのディーゼルターボの走行性能に感銘を受け,オマケに生まれて初めて運転した自動車(教習車)がカペラのプレッシャーウェーブスーパーチャージャーディーゼルだったりと,決してディーゼル車は嫌いではありませんでした。
むしろ「隠れディーゼルファン」と言っても過言ではなく,昔からディーセルエンジンはターボやスーパーチャージャーを始めとする過給機との相性が良いのには注目していて,機会が有ればディーゼルエンジン車を所有してみたいと思っていたくらいです。
そんな訳で,ヨーロッパでは二酸化炭素の排出量の少ないディーゼルエンジンが売れているのは知っていたし,ヨーロッパの良く出来たディーゼル車は黒煙も吹かず,日本で嫌われているネガティブな要素がないのも知っていました。
そんな僕ですので,マツダが凄いディーゼルエンジンを開発していると言うニュースには以前から注目しており,買えもしないのにデビュー前からCX-5のデビューに期待しておりました。
SKYACTIVデミオを購入したセールス氏(女性)からは,発売前の試乗会やディーゼルエンジンの試乗車の入庫予定の連絡も伺っていたのですが,発売するや否や当初目標の数倍の台数を受注し,少し遅れてデリバリーされたディーゼルの試乗車には連日試乗希望者が殺到すると言う事態に陥ったと言う話を聞いていたので,暫くは試乗を控えていました。
元々,普段から購入する可能性の低いクルマへの試乗は控えているのですが,皆さんの試乗レポートを見ていると,この日まで我慢するのが大変でした(笑)
今日は連休明けの最初の営業日だったのですが,担当セールス氏は生憎商談中ということで,代わりの方が試乗に付き合ってくださいました。
用意された試乗車は既にエンジンを掛けてアイドリング中でしたが,前評判の通りディーゼルエンジン車独特の音が微かにする程度でした。
やや高めの運転席に乗り込み,10wayパワーシートを操作して運転ポジションを微調整しましたが,容易にベストポジションを取れるのは勿論のこと,まず最初に感じたのは運転席からの視界が良好で、クルマのサイズを感じさせない事でした。
恐らく,車両の4隅がキチンと見えるのがそう感じさせるのだろうと思いますが,とても車幅が1840mmもあるクルマとは思えません。
運転席には程々な「包まれ感」もあり,黒で統一されたインテリアも相まってスポーティーな印象です。
ゲート式のセレクターレバーを操作してDレンジに入れ,アクセルを踏み込もうとしたらちょっと違和感が・・・。
現代の国産車のアクセルペダルの大半は「吊り下げ式」ですが,CX-5は床からペダルが生えている「オルガン式」になっていました。
「オルガン式」のアクセルペダルは,メルセデスやBMWを始めとする欧州のプレミアム系ブランドの多くが採用していますが,足首に余計な力を入れることなくスロットル開度を一定に保てるので、長距離走行を続けても足首が疲れない利点が有ります。
当ガレージのサバンナやカペラロータリークーペはオルガン式ですが,サバンナも最終型では「吊り下げ式」に変更されているように,コスト面では不利な方式のようです。
近年のマツダ車では,バブル期に開発されたユーノス500やユーノス800等がオルガン式を採用していましたが,敢えてオルガン式を採用したのはヨーロッパのプレミアムブランド並のこだわりと受け取っても良さそうです。
さて,お店から道路に出てアクセルを普通に踏みましたが,僅か数秒後にはアクセルペダルを放すことになってしまいました。
拙い表現で申し訳ないですが,決して軽いとは言えない車体を,音もなくスムースに加速させるので,あっという間に60km/hくらいまで達してしまい,慌ててアクセルペダルを戻したのです。
420N・mと言うガソリン4リッター車並の最大トルクを,僅か2,000rpmで発生させる「SKYACTIV-D 2.2」エンジンと,スムースかつダイレクトに変速していく「SKYACTIV-DRIVE」のお陰ですが,前評判どおり「静かでパワフル」です。
最高出力こそ175ps/4500rpmですが,420N・mと言うトルクは,市販ロータリーエンジン最強(最凶?)の3ローターエンジン(20B-REW)をも上回る数値であることを考えても,その凄さが判ると思います。
加速中の車内は,「ヒューン」と言うターボチャージャーの音が微かにする位で,全くと言うほどディーゼルエンジン独特の音は聞こえてきませんでした。
片側3車線の広い道路とは言え,さすがに試乗中に全開加速をするのは躊躇いましたが,断った上でアクセルを深く踏み込ませてもらいました。
レッドゾーンの5,500rpmまでは回してませんが,エンジンは一気に4,000rpm以上までストレスなく回りました。
以前カペラに搭載されていたプレッシャーウェーブスーパーチャージャーディーゼルエンジンもディーゼル車とは思えない軽快な吹け上がりでしたが,「SKYACTIV-D 2.2」エンジンは比較にならないほど素晴らしい出来でしたね。
もっとも,基本設計が20年以上違うので比較するのは酷ですが・・・。
ちなみに,いままで運転したディーゼル車で,一番パワフルで速い!と思っていたのは,スーパー耐久レースの移動で良く運転していた,某氏のハイエースワゴン(KZH100系)でしたが,市中のゼロ発進なら下手な乗用車に負けることもなく,8人フル乗車しても160巡航可能で,空荷ならメーターを振り切る(あくまで噂と言う事で・・・)実力でしたが,これらも軽く凌駕しているのも驚きです。
いままで最強と思っていたハイエースのエンジン(1KZ-TE)のスペックを改めて確認しましたが,最大出力が130ps/3,600rpmで最大トルクは331.5Nm/2,000rpmと,「SKYACTIV-D 2.2」に勝っているのは排気量(2,982cc)のみでした。
試乗に付き合ってくれた代打のセールス氏によれば,試乗をするとまず間違いなくディーゼルが良いと言うことになり,「SKYACTIV-D 2.2」搭載車がガソリン車より30数万円高いにもかかわらず,初期の受注の7~8割を占めている状況だそうです。
試乗終了後に担当セールス氏と話をしましたが,既に納車待ちを7台抱えているそうです。
この4月頃から広島の街中にCX-5が溢れ始め,マツダファンとしても嬉しく思いますが,今後この「SKYACTIV-D 2.2」が次期型アテンザ等に搭載されてくるのが楽しみですね。
スカイブルーマイカのCX-5はガソリンの20Sですが,今回は試乗していません。
クリーンディーゼルの「SKYACTIV-D 2.2」の陰に隠れてしまい,ガソリン車への注目度は相対的に低くなっていますが,ガソリン車も初の「フルSKYACTIV」車ですので,試乗してみると素晴らしい出来だとの事です。
また機会が有ればステアリングを握ってみたいと思います。