
前回のブログは「手短に」と思いつつ、米澤さんの作品の直木賞受賞から、話題が「える」の名前の漢字推測まで飛んでしまい、「氷菓」或いは「米澤」ファン以外の方には端折り過ぎで、ネットに上げるには少し乱暴な記事だったかと反省し補足説明をします。
まず、「氷菓」から始まる「古典部シリーズ」は、当初第3部の「さよなら妖精」で一応の完結を見る筈でしたが(それでも人気があったので外伝・前日譚などを含めて最終的に5~6部にはなったとは思いますが)、先に書いたように出版業界の都合で別の作品として違うレーベルから出版することになりました。
本来「千反田える」の設定であった登場人物は「白河いずる」という名前で登場するのですが、「双方の親から戴いた漢字の意味が相反する内容であった為、名前を平仮名表記にした。」となっているので、愛読者が「える」の名前もそれに当て嵌めて、漢字を推測することがひとつのブームになったそうです。
多くの方はそのルール?を忠実に守って推察しているようですが、ブタは米澤さんのトリックにその時点で嵌っていると考えます。だって考えてみて下さい、地元の名家である千反田家が息子や娘との結婚相手に求めるのは「嫁入り」か「婿入り」であり、「子供の名前に双方の親がおくってくれた漢字が相反するので困る」なんて事態は「そもそも起こりようがない」のです。推理小説作家なら当然このような常識を念頭に置いている筈ですから、「平仮名」で表記しなければならないのは別に理由があったと考えるべきです。
これは全くの推論ですが、「える」が生まれた時に、お母さんにこれ以上子供が産めない何かの事由が発生したと考えます。すると当然「える」は一人娘であり、「地域の顔であり柱である千反田家」を存続させる為には「える」には将来「婿を取る」という運命が課せられることになります。
親としては子供にどのように育って欲しいかを名前に託しますので、「える」の漢字もそれを表したものだったと思われますが、出生届を出すタイミングでお父さんは「家」の為に娘の幸せや将来を縛ってしまうような名前の提出を思い『留まった』のでしょう。
(「古典部シリーズ」の作中で「える」が父親に「家を継がなくても良い」と言われた時は逆にショックだったと語るシーンがあったと記憶します)
多くの方が指摘していますが「いずる」の苗字が「白河」であり、これは岐阜県の最北にある白川村を表しているものと思われます。要するに小さな村を「出て」大きな世界に飛び出す意味を示していると思われます。(「る」が「留」だと「出(いず)」と反対の意味ですし、「出藍の誉れ」という言葉があるように「出」には悪い意味はないかと)
「いずる」と「える」を対比させた時に、「る」は「留」で間違いないのではないかと、一方「え」は千反田家を存続し地域を繁栄させる意味として「依」「永」「栄」「営」「衛」と候補は幾つもあり難しいですが、「にん(人)べん」のつく「依」をブタは推します。(「永」も良い字ですが、これを「え」と読むのは沖永良部島くらいで、普通は「えい」ですもんね)
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2022/02/18 19:54:06