
喪中なので年始の御挨拶は控えさせて戴きます。
遅まきながら新海誠監督の「すずめの戸締まり」を見て来ました。
見る人によって感じ方は当然様々だと思いますが、ブタは「人間は文明を発達させて生活を豊かにして来たが、現代社会の人々は物質的に豊かな生活を享受する為に、本来人間が向き合わなければならない大切なものを捨ててしまっているのではないか」という問いかけの映画だと感じました。
昨年日本経済新聞の「私の履歴書」に里中満智子先生がコラムを書かれていましたが、その中で手塚治虫先生が「自分が描く作品の最後は愛と性をテーマにしたものにしたい」と語っていたと書いていました。結局どんなジャンルの物語を描くにしても人間が主役である以上、その人を生み出した親が居てその親にもまた親が居て人間の歴史が脈々と続いているのだから、その根源である愛と性を掘り下げて行かないと人間は描けないのではないかというようなことを書かれていたように記憶しています。
鈴芽の母親はシングルマザーだったし、おばの環は今増加中の生涯未婚の女性になりそうだし・・・保育所が休園したスナックのママの子供の面倒を見るシーンが描かれていたり、四国の高校生の女の子は家業の手伝いをしてと・・・家庭や家族を生活に押しつぶされそうになりながら頑張って守る人が多く描かれています。
支えるべきは「過剰」に豊かな生活や社会ではなく、子供達若者達がすくすくと育つ環境であるべきなのに、こんな社会では少子高齢化が進み人類に明るい未来は来ないという警鐘を「廃墟」というものを通して映し出していて、家庭を守る人々(特に女性)を「閉じ師」という架空の仕事で表現し、未来を育む努力をする人々を応援している映画なのだと思いました。
愛にできる事はまだあるよ・・・
Posted at 2023/01/02 17:31:47 | |
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