MINI原人のブログ一覧

林道、それは最後のフロンティア。そこには原人の想像を絶する新しい文明、新しい生命が待ち受けているに違いない。これは原人最初の試みとして、調査旅行に飛び出した中古車 ジムニさん号の驚異に満ちた物語である。　

現在留萌地域の林道は雪で覆われ、RINDO TREKは不可能だ。来年春に向け、全国のオフローダー・ジムニストのために留萌南部（苫前町・小平町・留萌市・増毛町）の林道について概説するこのシリーズ。第25回目は苫前町の国有林のうち三渓南部の羆事件の林道について述べる。　


南留萌林道概説　第４章　苫前町　第2節　国有林道　その3

　図１

今回概説するのは図１の南三渓にある林道である。ルペシュペナイ川に沿う林道群で、深い森、無人の沢にあるヒグマ危険地帯だ。ルペシュペナイとはル（路）・ペシ（沿って下る）・ペ（者）・ナイ（川）で「山を越えて向こう側の土地へ降りていく路のある川」（知里小辞典）の意味である

　図２

概説する林道は六線沢林道、奥三渓林道、六線沢２号林道、イチハチ沢林道、小笹の沢林道である。林道は有名な観光地「ヒグマ事件復元地」の奥にあり、入るには相当の勇気が必要な秘境だ。

クマさん出没注意 なお、苫前町にはヒグマが多数生息する。林道奥深くでは遭遇の可能性も高い。スタックリカバリーの道具や対ヒグマ用武器を携行しない車は単独行は避けるべきである。危険な林道に入る場合、行動計画を家族や友人に知らせておくことをお勧めします。ちなみにこの看板は六線沢の農家の壁に貼られたカントリーサインである。日本羆害（ゆうがい）史上最悪の事件が起こった地にしてはカワイすぎる。

苫前町の国有林道にはほとんどゲートがあり、4桁のダイヤル錠で施錠されている。その鍵番号は留萌南部森林管理署(tel. 0164-42-2515)に連絡し、入林許可をもらえば教えてもらえる。番号は単純で「1234」から関係を崩さず1つずつ回していくとどこかで開いちゃうが(笑)、ちゃんと許可をとったほうがいいでしょう。管理署の皆さんはとても親切です。鍵をあけたらちゃんと元にもどしましょう。ましてやゲートを壊すなどは決してしてはいけません。

（１）　六線沢林道
　図４

六線沢をルペシュペナイ川の下流（北）方向からみた図である。うっそうとした森は原人にすら恐怖を感じさせる。アイヌはトリカブトの毒を塗った槍や弓矢だけで熊とりにこの森に入っていったのである。尊敬の念を禁じ得ない。原人も槍と斧で武装し、今夏入る予定である。ルペシュナイ川からは字義のごとく分水嶺を超えれば小平蘂川「オ（川尻に）・ピラ（崖）・ウス（ある）・ペッ（川）」流域の土地に出られ、アイヌは三毛別川と小平側の両方からこの森に熊とりに入っていたようである。なお、ヒグマ事件以後、ここでは１００頭以上の熊が捕獲されており、非常に熊の密度が高い土地である。

林道の起点 林道の起点は左の概略図では奥三渓林道の分岐部からとなっている。しかし、右の留萌南部森林管理署の地図ではそれより前から始まることになっている。

分水嶺 ルペシュペナイ川からは分水嶺を超えると温寧川、大椴子川、オトイチセコロ川、鷲の巣沢川、一線沢川、三線沢川に出られる。小平のアイヌ古老の話では鷲の巣沢から熊とりによく入ったとのことである。

六線沢林道 ヒグマ事件復元地の手前の林道である。最初からうっそうとした暗い森が続くのがわかる。

冗談？ 復元地の様子。クマさんが乗り出す壁の板は6尺（180cm）だから冗談のようだ。仕留められた熊は体重340kg, 体長2.7mあったというから、あながち誇張された冗談とも思えない。

冗談？ この恐ろしいクマさんの下に冗談としか思えない注意書きがある。でもこれは冗談ではないので本当に注意が必要だ。

ヒグマ事件 ヒグマ事件の被害にあった農家の配置である。復元地は実際の被害があった場所よりも南にあり、これより南の奥地は人影もない秘境となっている。

ゲート閉鎖 その復元地のすぐ奥に六線沢林道のゲートがあります。頑丈なシリンダー錠が使われており、道道1049号苫前小平線の「苫前側終点ゲート」であり、留萌振興局留萌建設管理部羽幌出張所の管理であり「自然調査」などの正当な理由があれば鍵を借りれます。 通行規制情報 （１）道道ゲート位置 （２）種別：シリンダー錠 ALPHA 2780-65P

六線沢林道 六線沢林道はこんな感じの深い森の中を進む林道です。しかし風評と異なり、クマさんの姿や痕跡は見当たりません。 通行規制情報 （１）林道ゲート位置 （２）種別：ダイヤル錠

道路陥没 六線沢林道はここで道路陥没のため通行止めです。 通行止情報 （３）通行止位置 （４）理由：道路陥没 （５）最終確認：2019.08.11 六線沢とイチハチ沢林道は2020年9月1日まで林道改良工事予定であり、確認が必要。

林業専用道 六線沢林道から東斜面に向かって、2031林班林道と2028林班林道が設置されている。いずれも林業専用道である。

（２）　奥三渓林道
　図５

奥三渓林道はウエンナイ沢川沿いの林道である。ウエン（悪い）・ナイ（川）の意。「地名に出てくるときは険阻な場所、交通困難な場所、飲用にならない水、何か事故があった不吉な場所などを示す。」とされる（知里小辞典）。おそらく険阻な地形のことであろう。

地理院地図スーパーインポーズ 上図５と同じ角度、縮尺でみた地理院地図。Google Earthに地理院地図KMLデータ(標準地図)を重ねて作成。

悪い川 2019年8月11日探訪時にはウェンナイ川はこのように濁っていたが、雨上がりでもあり、いつも濁っているかは不明である。

奥三渓林道 奥三渓林道の道幅は狭く路面は荒れていますがなんとか進むことができます。 通行止情報 （３）通行止位置 （４）理由：草ボウボウ （５）最終確認：2019.08.11

（３）　六線沢２号林道[未踏]
　図６

六線沢２号林道は六線沢の川の反対側を平行に走る林道である。2014林班1号と2号の支線林道（林業用）がある。

森林基本図 留萌南部森林管理署の森林基本図で六線沢２号林道とその支線を示す。2014林班1号[未踏]と2014林班2号[未踏]の2つの支線がある。

六線沢２号林道 六線沢２号林道は入り口近くの橋の崩壊のため通行止めとなっています。 通行止情報 （３）通行止位置 （４）理由：橋崩壊 （５）最終確認：2019.08.11

（４）　イチハチ沢林道[未踏]
　図7

イチハチ沢林道は2021・2022林班に伸びる林道でイチハチ沢川沿いにある。イチハチの語源は不明である。

地理院地図スーパーインポーズ 上図７と同じ角度、縮尺でみた地理院地図。Google Earthに地理院地図KMLデータ(標準地図)を重ねて作成。

タイトル 留萌南部森林管理署の森林基本図でイチハチ沢林道および小笹の沢林道を示す。

（５）　小笹の沢林道
　図８

小笹の沢林道は全長.05kmの短い林業専用道である。名前の由来は不明である。熊笹でない小さな葉の笹があるのであろうか。

地理院地図スーパーインポーズ 上図８と同じ角度、縮尺でみた地理院地図。Google Earthに地理院地図KMLデータ(標準地図)を重ねて作成。

KMLファイル：　(25) 三渓南部六線沢林道.kml

改訂記録：
2018.06.09　小改訂：　索引リンク
2018.07.18 中改訂：　図追加
2019.08.13 大改訂：　図追加

南留萌林道概説目次
南留萌林道概説はクロカン・ドライブ・登山・自然観察・野鳥観察・化石採集・渓流釣り・昆虫採集など様々な目的のため山に入るひとたちのために作成しています。原人の実地探査などにより訂正・補遺が必要な場合、予告なくその都度改訂していき、最善のガイドとなるよう心掛けていきます。

(1) 南留萌林道の分布概観		(2) 増毛山道周辺の林道		(3a) 増毛民有林道 その１
(3b) 増毛民有林道 その２		(4) 増毛国有林道		(5a) 留萌市道有林道
(5b) 留萌市民有林道		(6) 留萌市国有林道 その１		(7) 留萌市国有林道 その２
(8a) 留萌市国有林道その３		(8b) 留萌市国有林道その４		(9) 小平町道有林道 その１
(10) 小平町道有林道 その２		(11) 小平町民有林道		(12) 小平町国有林道 その１
(13) 小平町国有林道 その２		(14) 小平町国有林道 その３		(15) 小平町国有林道 その４
(16) 小平町国有林道 その5		(17) 小平町国有林道 その6		(18) 小平町国有林道 その７
(19) 小平町国有林道 その８		(20) 小平町国有林道 その９		(21) 苫前町民有・道有林道 その１
(22) 苫前町道有林道 その２		(23) 苫前町国有林道 その１		(24) 苫前町国有林道 その２
(25) 苫前町国有林道 その３		(26) 苫前町国有林道 その４		(27) 苫前町国有林道 その５
(28) 苫前町国有林道 その６		(29) 苫前町国有林道 その７		(30) 苫前町国有林道 その８
総索引　増毛町		総索引　留萌市		総索引　小平町
総索引　苫前町		付録：　クマ出没記