
昨日は久しぶりに青コスモのエンジンをかけました、正月以来なので一ヶ月以上エンジンをかけていませんでした。
私の住んでいる所は気温がとても低く、特にこの時期は厳寒期なのでマイナス20℃以下になる事も珍しくありません、寒い時に無理にエンジンをかけるのも車の負担になるので頻繁にエンジンをかける事はないのですが一ヶ月以上もかけていないので、そろそろエンジンをかけてみようかと・・^_^;
バッテリーのターミナルを接続してクランキングを試みます、確か年末にバッテリーを充電したはずですが、さすがに長期間放置なので厳しいかな・・セルを回すと回転が弱い・・やはりこれは無理かなと思ったら何とエンジンが始動!でもすぐにストンと止まって・・バッテリーには再度クランキングする元気はありませんでした^_^;

充電器を繋いでクランキング、今度はセルも元気に回って無事にエンジン始動(^^)

ダッシュの裂け目はちょっと広がったようですね。

シフトレバーを動かして各油圧経路に圧を与えてあげます、短期間の冬眠くらいでミッション内部が固着する事はありませんけれどね。
と、ここまでは青コスモのエンジンを始動した話でブログのタイトルとは関係ありません^_^;ここからが本題?です。

まずはこちらの画像・・これは以前に科学館に展示されている貴重なREAPS-1のロータリーエンジンのカットモデルを撮影したものです。

その画像を改めて見ていると・・アペックスシールに目が行きまして・・。

これってカーボンアペックスシールですよね?
ここでアペックスシールについてちょっと触れてみます、ロータリーエンジンの構造はローターハウジングという枠の部分(レシプロエンジンのシリンダーに相当)の中をオムスビ型のローターが回転するのですが、ローターとローターハウジング間の空間で形成される作動室の気密を保つためローターの頂点に取り付けられて常にローターハウジングの内壁に接触しているのがアペックスシールです、レシプロエンジンではピストンリングに相当します。
アペックスシールは常にローターハウジング内壁に擦られながら動いているので作動条件は非常に厳しいものです、マツダはロータリーエンジンを実用化するにあたって非常に苦労しましたが、その中でもロータリーファンなら必ず知っている?ほど有名な苦労話はアペックスシールの開発でした。
200時間ほどの連続運転でローターハウジングが異常磨耗してパワーダウンしてしまうのですが、これはアペックスシールが振動しながらローターハウジング内壁を摺動する事でローターハウジング内壁がシールに叩かれてギザギザに磨耗するものでチャターマーク(悪魔の爪痕)と呼ばれてマツダの技術陣を苦しめました、様々な材質のシールを作ってテストしてもチャターマークは一向に解消出来ない・・。
それでも地道に研究を重ね、最終的にはカーボンにアルミニウムを含侵させたアペックスシールでチャターマークを克服しました、カーボンは自己潤滑性に優れているので滑りやすく、シールの材料にはうってつけですが強度が低いのでアルミニウムを含侵させて強度を持たせました。
こうして本家NSUも克服出来なかったチャターマークの問題をマツダは見事に解決しました。
苦労の末に世に出たロータリーエンジンですが更に改良が加えられていきます、開発に苦心したカーボンアペックスシールですが、これは一体型なのでシールの左右からどうしてもガスが漏れてしまいます。
燃費向上や排気ガス対策のためにはシールの気密性を更に高める必要があり、シール左右からのガス漏れも抑えなければなりません。
更にアペックスシール自体の耐久性や強度も高くしたい・・そこでマツダはカーボンに代わる金属アペックスシールを開発しました。
アペックスシールを2分割にしてシールの分割線を斜めにする事でシールが左右に伸びる動きが可能になり、シール左右からのガス漏れを抑える事で気密性が上がり燃費も向上しました。
金属アペックスシールは特殊な鋳鉄で作られていて、ローターハウジングとの摺動部分であるシールのトップ部は電子ビームで熔融してから急冷する処理(チル化)で硬度が上がり耐磨耗性が大幅に向上しています。
ただ燃費や排気ガスを気にせず高回転を多用する競技用エンジンでは多少のシールのガス漏れは大きな影響がないので、シールの潤滑性の良さや金属に比べて質量が軽いという事でカーボンアペックスシールが使われていたようですね。

左からクロスホローアペックスシール(チャターマーク対策の試作シール)、中央がカーボンアペックスシール、右が2分割金属アペックスシール・・画質が悪くて恐縮ですが右の金属アペックスシールが端で2分割になっているのが分かるでしょうか。

こんな感じです、三角のサイドピースが幅方向に伸びる事が出来るようになっています、0.4ミリというのはシール側面の分割箇所とシールのトップ間の距離で、この数値が小さいほどガスの漏れが少なくなり気密性が高くなります、初期のREAPSではこの数値が1.5ミリでした。
画像はコスモAPの頃のアペックスシールですが年代が新しくなっていくとシールの分割の位置が変わったり3分割になったりと進化していきます。
ところでREAPS-1のカットモデルなんですが・・REAPSのロータリーは全て金属アペックスシールだと思うんですが・・13BはREAPS-3からのデビューで最初から金属アペックスシールですし、12Aはデビュー時のノンAP仕様はカーボンアペックスシールですがREAPSになってからの新型12A(社内呼称12B)は金属アペックスシールのハズでは・・でもカットモデルのエンジンはどう見てもカーボンですよね、なぜだろう?
ちょっとマニアックな内容になってしまいましたが最後に青コスモの動画を貼っておきます^_^;
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2018/02/20 01:27:04