
4月になりましたね、道路の雪も殆どなくなったので、もう少しで初乗りが出来そうです(^^)今回はコスモオーナーさんしか分からない話で恐縮ですが備忘録でもありますので、ちょっとコスモの構造的な事を書いてみます。
コスモAPは排気ガス制御システムが年式によって異なるのですがロータリーエンジン車の場合、昭和50年デビュー当初はREAPS-5という昭和51年規制の排気ガス制御システムで、昭和52年3月にREAPS-5Eというシステムに変更され、昭和54年3月に53年規制REAPSとなり、昭和54年9月にマーナーチェンジで後期プログレスコスモのデビューと同時に、それまでの排気ガス浄化装置のサーマルリアクターが触媒に変更されてエンジンも希薄燃焼型になります。
このようにロータリーエンジンだけでもCD系コスモの排気ガス制御システムはREAPS-5、REAPS-5E、53年規制REAPS、触媒付き希薄燃焼型と、4種類もあります。
これらの制御システムは変更されるたびに中身が大きく変わっている部分があるので当時のマツダのサービスマンは本当に大変だったと思います。
今回はエンジンが温まっている時の始動時の補助制御について書いてみたいと思います、特に理由はないんですが(笑)私のコスモはREAPS-5とREAPS-5Eなので、まずはREAPS-5の温間時始動の補助制御から・・。
温間時始動の補助制御とは簡単に言うとエンジンが温まっている時のクランキング時にAAVを開いてエアを供給する制御の事です。
AAVとは、減速時にスロットルを急に閉じてインテークマニホールド内の負圧が急上昇した時に開いてエアをインテークマニホールド内に供給するバルブの事で、スロットルを急に閉じた時にエンジンに供給される混合気が瞬間的に過濃になるのを防ぎアフターバーンを防止するものです。
このAAVにはソレノイドが付いており、ソレノイドへの通電が絶たれた時もAAVが開く仕組みになっています、それによってエンジンが温まっている時の始動時の補助制御やエンジン停止時のアフターバーンを防止する役目も持っています。
ただAAVは構造上、インテークマニホールド内が大気圧の時は開きません、つまりスロットル全開でインテークマニホールドが大気圧の時は開かないという事になります。
エンジンが温まっている時はキャブレター内の燃料蒸発ガスで混合気が過濃となり、始動性が悪くなります、そこで温間始動時(クランキング時)にAAVのソレノイドへの通電を絶つ事でAAVを開いてエアを供給する事で温間時の始動性向上を行っています、エンジンが始動するとAAVが開いたままではエアを吸ってアイドリングしませんからエンジンが始動するとAAVのソレノイドに通電されてAAVは閉じるようになっています。
冷間時の始動の際は濃い混合気を必要とするのでAAVが開く必要がありません、冷間時で水温が低い時は水温スイッチが導通していてクランキング時にAAVが開かないようにAAVソレノイドに通電する回路が形成され、温間時で水温が高い時は水温スイッチが導通しない事によりクランキング時にAAVのソレノイドの通電を絶つ回路が形成されるのでクランキング時にAAVが開き、エンジンが始動するとAAVソレノイドに通電する回路になります。
ここまではREAPS-5の事を書いてきました、今度はREAPS-5EのAAVの温間時始動制御について書いてみます。
私の白コスモと青コスモは共にREAPS-5ですが赤コスモはREAPS-5Eになります、それで赤コスモの温間時始動制御ですが温まっている時のクランキング時にAAVが開いてエアを供給する点はREAPS-5と同じです、REAPS-5Eになるとキャブレター内の蒸発ガスによる過濃混合気の対策(外部エアベント)もされているんですが、温間始動時は、やはりAAVを強制的に開くようになっています。
REAPS-5ではAAVはDCバルブというバルブ内に組み込まれていて、そのDCバルブにソレノイドが付いているんですがREAPS-5EではDCバルブは廃止されていてAAVはACV(エアコントロールバルブ)と一体になってインテークマニホールドに取り付けられています。
REAPS-5EもAAVのソレノイドへの通電を絶つとAAVが開いてエアを供給するのはREAPS-5と同じです。

REAPS-5ではAAVが内蔵されたDCバルブにソレノイドが付いていましたがREAPS-5EではAAVと離れた所にソレノイドが付いています、具体的にはエンジンの真上ですね、上の画像の左側のソレノイドがAAV用です。
このソレノイドはREAPS-5Eでは3ウェイバルブというのが正式な呼称なんですが今回は電気の流れを書く都合上、分かり易くソレノイドと呼ぶ事にします。
ではREAPS-5Eの温間時の始動補助制御の仕組みを見ていきます。

これはREAPS-5Eの全体の回路図です。

温間時の始動補助制御の簡単な回路図です、実際にはスターターの配線に並列にイグニッションリレーが接続されています、全体の回路図には書かれていますが、この図では省略されてますね。
クランキングするとIGスイッチからスターターのマグネットスイッチに通電するのでスターターのマグネットスイッチからダイオードボックス内のダイオードまでの間が高電位になります、この時水温が低いと水温スイッチが導通するのでAAVソレノイドからの電流が水温スイッチを通してアースされるためAAVソレノイドは通電状態になりAAVは開きません。
水温が高いと水温スイッチの導通が切れるのでAAVソレノイドからの電流のアース回路は絶たれ、更に先述のようにクランキング時はスターターのマグネットスイッチからダイオードまでは高電位なのでAAVソレノイドには電流が流れませんのでAAVが開きます、そしてエンジンが始動するとIGスイッチからスターターのマグネットスイッチへの通電がなくなるのでダイオードとスターターのマグネットスイッチ間の高電位が解消され、AAVソレノイドからの電流はスターターのマグネットスイッチと、簡略図には出ていませんがスターターのマグネットスイッチと並列に接続されているイグニッションリレーに流れてアースされます。
抵抗値の高いAAVソレノイドに高い電圧が掛かっており、スターターのマグネットスイッチとイグニッションリレーは並列接続ですから合成抵抗値が低く、それぞれ1V以下の電圧しか掛かっていませんからスターターやイグニッションリレーが作動する事はありません。

では実車で見てみましょう、これがダイオードボックスです。

これはダイオードボックスに挿さっているカプラー・・赤の矢印の配線がAAVソレノイドからダイオードボックスへの入力線で、青の矢印の配線がダイオードボックスから水温スイッチへの出力線です、冷間時のクランキング時は赤の矢印の線から入力されたAAVソレノイドからの電流がダイオードを経て青の矢印の配線から出力されて水温スイッチを通ってアースされます。
温間時のクランキング時はスターターのマグネットスイッチへ通電するため黄緑の矢印の配線が高電位になり、水温スイッチも切れるためAAVソレノイにドは通電しないのでAAVが開きます。
エンジンが始動して運転状態になると黄緑の矢印の配線の高電位は解消され、黄緑の矢印の配線にはAAVソレノイドの通過電流が流れます。

AAVを通過した電流は矢印の配線からイグニッションリレーを通してアースされ、更にイグニッションリレーに並列に接続されているスターターのマグネットスイッチも通ってアースされます、先述のように抵抗値の高いAAVソレノイドに高い電圧が掛かっていますからイグニッションリレーもスターターのマグネットスイッチにも1V以下の電圧しか掛からないのでこれらが作動する心配はありません。

私の赤コスモは過去の修理でスターターリレーが追加されています、なので矢印の配線が本来のスターターのマグネットスイッチの配線です、なのでこの車の場合はエンジン運転時はAAVソレノイドからの電流はイグニッションリレーと、このスターターリレーを通ってアースされています、なのでアイドリング時にイグニッションリレーのカプラーと、この矢印のスターターリレーの配線を外すとAAVが開いてエンジンが止まります、どちらか一方を外しても、もう一方でアースされるのでAAVは開かずアイドリングしますが両方を外すとAAVが開いてエンジンが止まる事でAAVソレノイドのからの電流がイグニッショリレーとスターターリレー(この車の場合は追加されたスターターリレーの事ですが本来はスターターモーターのマグネットスイッチ)を通ってアースされている事が確認出来ました。
しかし、これだけ複雑に温間時の始動性を良くする工夫がされていますが温間時はアクセルを全開にしてクランキングすれば始動するんですよね、ただメーカーとしてはどんな人が乗っても扱えるようにしなければいけませんから、このような複雑な制御にメーカーの苦労が感じられますね。

そして今日は半年ぶりに白コスモと対面しました(^o^)
半年ぶりの白コスモのエンジン始動です、電磁ポンプの音を聞きながらキャブに燃料が満たされるのを想像して・・よし!クランキング!キュルキュルキュル・・ブオオォォン!!・・ブスブス・・あれ?いつもは一発でかかるんだけど・・もう一回!キュルキュルキュル・・ブオオォォン!!・・ブスブス・・。
あれ?かかんないな?初爆はあるものの、すぐに止まってしまう・・以前にIGヒューズが切れた時の状態と似てるけどヒューズは何ともない・・そもそもIGヒューズが切れてたら電磁ポンプが動かないし・・。

エンジンを見ると・・プラグコードがネズミにかじられてる!(゜o゜)

長期間動かしていないとネズミに配線をかじられるのはよくある事ではありますが今までこんな事はありませんでした^_^;しかし、この程度でエンジンが始動しないとは思えないな・・一応かじられたプラグコードは手近にあった中古に交換します。
ロータリーは不調の時は取り敢えずプラグを交換するのが手っ取り早い?でも先入観は良くないから一応軽く点検してみます、キャブの油面はOK、IGをONにしてポイントを指で弾くと接点間が軽くスパークするので点火系1次回路も問題なし。

やっぱりプラグだろうな・・プラグを新品に交換したらあっさり始動しました^_^;ロータリーは本当にプラグにはシビアですね。
初乗りが待ち遠しいです、雨が降ってくれれば更に雪もなくなって道路の塩カルも洗い流されるので、そろそろ雨が降ってくれないかな~。
北海道もようやく旧車シーズンになってきました、昨年は白コスモで函館に行ったものの以降は休みが雨天ばかりだったり、青コスモの整備が忙しくて殆どコスモに乗りませんでしたので今年はドライブを楽しみたいですね。