
先日、X208さんとイグニションコイルの話で色々とやりとりをしたのですが改めて点火系統について考察してみました。
ポイント点火の昔の車にはイグニッションコイルに外部抵抗器という物が付いていました。
イグニッションコイル内は細長い金属板を重ねて鉄芯にした物に2次コイルが巻かれ、その外側に1次コイルが巻かれていて1次コイルに流れる電流を断続させる事で2次コイルに高電圧を誘起させます。
電流の流れとしては外部抵抗器~イグニッションコイルの+端子~内部の1次コイル~イグニッションコイル-端子~デスビ内のポイント~アース・・これらの回路を点火系1次回路と言って流れる電流を1次電流と呼びます。
エンジンが高回転になるとポイント接点の断続が速くなり1次コイルの通電時間が短くなります。
コイルには電流の変化を邪魔する性質がありこれをインダクタンスといいますがこのインダクタンスにより1次電流値が最大になるまでタイムラグが生じます。
そうすると1次コイルの通電時間が短くなるうえに電流値の立ち上がりにタイムラグがあれば1次電流が不足して結果として2次電圧が低下して失火を招きます。
1次電流が流れてから最大値の約60%に達するまでにかかる時間の度合いを時定数と言って高回転時は前述の理由からこの時定数を出来るだけ小さくする必要があります。
そのためには1次コイルの巻き数を減らしてインダクタンスを小さくするのですが巻き数を減らすとコイルの抵抗値も減少します。
すると1次回路の抵抗値が下がり電流値が増えすぎてポイント接点の焼損やコイルの発熱といった弊害が出て来ます。
そこで1次コイルの巻き数を減らしてインダクタンスを減らしそれによって減少した1次回路の抵抗値を補うために外部抵抗器が付けられています。
つまりは1次コイルの巻き数を減らした分を外部抵抗器としてコイルの外に出した物です。
1次コイルの巻き数を減らす事でイグニッションコイル内の発熱を少なくし温度の上昇を抑える事にもなります。
タングステン材のポイント接点は約4A程度の電流が限界と言われていますから直列接続の1次コイルと外部抵抗器の合成抵抗値(1次回路の抵抗値)は約3Ω(実際は外部抵抗付きコイルはコイルに作用する電圧が小さくなるので電流値を補うため合成抵抗値は若干低い約2.8オーム)程になっています。
私のコスモで測定してみるとL側1次コイルと外部抵抗器の抵抗値が各1.4Ωで合成抵抗値は2.8Ωでした。
なおクランキング時はバッテリー電圧が低下するため外部抵抗器を短絡する事で始動性を
向上させています。
クランキングは短時間なので外部抵抗器を短絡してもポイント接点には悪影響はありません。
現在の車はコンピューター制御で1次電流の通電時間の時期を早めたりして時定数を小さく出来るので外部抵抗器は付いていませんが私は旧式のこういうメカになぜか温かみのようなものを感じます。
全てが機械制御だった旧車(でもコスモはコンピューターが付いてますが)は当時の技術者の息吹が聞こえてくるような気がします。
性能や信頼性では現在の車と比較出来ないことは百も承知ですが私は旧式のメカが好きです(^^)
Posted at 2007/12/05 23:28:39 | |
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