
トップ画像はコスモのエアクリーナーケース蓋の裏側なんですが丸い物体が付いていますね、コスモのオーナーさんは見慣れた光景だと思いますが、これはチャコールキャニスターです、今回エアクリーナーケース蓋からこのチャコールキャニスターを外して一般的な容器型のチャコールキャニスターに変更する実験をしてみました。
昭和47年に燃料蒸発ガス発散防止装置の装着が義務化されるんですが、その装置がチャコールキャニスターです、中身は活性炭がビッシリ入っていて燃料蒸発ガスをその活性炭に吸着させエンジン運転時に吸着された燃料蒸発ガスをインテークからエンジンに吸引させて燃焼させる仕組みになっています。
なぜ今回チャコールキャニスターを別にする実験を行なったかというと・・以前にエアクリーナーケースの蓋を見て本当にこの中に活性炭が入ってるのかな~なんて思いながらシャカシャカ振ったらホースの差込口から活性炭が出て来て・・あれ?これ出て来たらダメじゃないの?(汗)エアクリーナーケースに挿さっているホースはエンジン内の換気用ベンチレーションホースですからエアクリーナーケースの差込口から活性炭が出て来たという事は活性炭がエンジン内に入ってしまう可能性もあります。
エアクリーナーケースのフタに付いているチャコールキャニスターは単に紙で活性炭を包んでいる感じなので紙が破れているものと思われます、エアクリーナーケース蓋の裏という事はキャブレターのすぐ真上なのでもし紙が破れて活性炭がキャブレターの中にドッと入ったら大惨事です(恐)出来るだけオリジナルを尊重したい私としては破れた紙を取り替えて本来のエアクリーナーケース蓋に付いたチャコールキャニスターを修理するつもりですが、別体でチャコールキャニスターを取り付ける方法というのも興味があり、いつか実験してみたいと思っていて今回ようやく実行してみました。
この実験をするにあたってはブローバイガス還元装置との絡みもあるので、そちらも検証しながら別体チャコールキャニスターの装着を考えてみたいと思います。

まずブローバイガス還元装置について・・画像は48万km走行の私のマークⅡのエンジン(笑)
ピストンとシリンダーの間から漏れるブローバイガスはクランクケース内に溜まるので抜いてあげないとクランクケース内の内圧が上がってオイルシールが抜けたりオイルレベルゲージが抜けてしまうなどの弊害が出るのでヘッドカバー内にブローバイガスを導き、PCV(ポジティブ・クランクケース・ベンチレーション)バルブで流量が調整されてインテークに吸入され(赤い矢印)ベンチレーションホースからのフレッシュエア(青い矢印)がクランクースに導入される事でクランクケース内が換気され、ブローバイガスでエンジンオイルが劣化するのを抑制しています。

エンジンが高回転になるとブローバイガスの量が多くなるためPCVバルブだけでは吸い切れないのでブローバイガスはベンチレーションホースからも吸入されます(赤い矢印)

これがPCVバルブ・・インテークマニホールドの負圧で開き具合が変わります、アイドリング時のようにインテークマニホールドの負圧が高い時は開き具合が小さく、少量のブローバイガスがインテークマニホールドに吸入され、アクセル開度が大きくてインテークマニホールドの負圧が低い時はバルブの開き具合が大きくなり多くのブローバイガスがインテークマニホールドに吸入されます。

これらをふまえてコスモのブローバイガス還元装置を見てみます、これはREAPS-5のロータリーエンジンのシステムですが今回は白コスモで実験するのでREAPS-5のシステムで検証します。
エンジン停止時・・燃料タンク内の蒸発ガス(以下エバポガスと記します)はエンジン内部に導入され更にベンチレーションホースからエアクリーナーケースのチャコールキャニスターに吸着されます、そしてエンジンが始動するとエンジン内部に蓄えられていたエバポガスはブローバイガスと一緒にPCVバルブからインテークマニホールドに吸入されます、そしてエアクリーナーからのフレッシュエアはチャコールキャニスターに吸着されたエバポガスと一緒にベンチレーションホースからエンジン内に入る事で内部を換気してエンジンオイルの劣化を抑制します、これがREAPS-5のエバポガス処理とブローバイガス還元装置のシステムです。

キャニスターをエアクリーナーケースから外して別体で取り付ける接続をこんな感じで考えてみました、ワンウェイバルブは燃料タンクからのエバポガスがキヤブレターに流入しないようにするためです、フィルターはブローバイガスに含まれるオイルミストをろ過するためでブローバイガスのオイルミストでキャブレターが汚れるのを防止します。

エンジン停止時は燃料タンクからのエバポガスがチャコールキャニスターに吸着されます、更に走行直後のようにエンジンルーム内の温度が高くキャブレターのフロートチャンバーからのエバポガスが多い場合は図のようにベンチレーションホースからエンジン内にエバポガスが流入して内部に蓄えられ、更にワンウェイバルブを経由してチャコールキャニスターにも吸着出来るようになっています。

エンジン運転時はこのようにチャコールキャニスターに吸着されたエバポガスがブローバイガスと一緒にPCVバルブからインテークマニホールドに吸い込まれ、エアクリーナーからのフレッシュエアがエンジン内を換気します。

高回転になってブローバイガスが多くなるとPCVバルブだけでなくベンチレーションホースからもブローバイガスがキャブレター内に流入してエンジン内に吸入されます。
という感じでチャコールキャニスターを別体式にする方法を考えてみました、唯一気掛かりなのは温間時の始動性です、エアクリーナーケース蓋の裏にあるチャコールキャニスターはキャブレターのフロートチャンバーからのエバポガスを最も吸着出来る位置ですが、それを外して別の場所に移動させればフロートチャンバーからのエバポガスがキャブレター内に多く溜まって過濃混合気になり温間時の始動性が悪化するのではないか・・そんな心配もありました。
REAPS-5の次の5Eでは温間時の始動性の対策でキャブレターのエアベント通路にソレノイドを付けてエンジン停止時はキャブレターへのエアベント通路を遮断してフロートチャンバー内のエバポガスをチャコールキャニスターに導入させる外部エアベント式に改良するなど温間時の始動性向上を計っているほどですから温間時の始動性は気になるところです。
エアベントはキャブレターのフロートチャンバー内に大気を導入していますがREAPS-5のキャブレターはエアベントチューブで大気を導入していますからフロートチャンバー内のエバポガスは構造上エアベントチューブからキャブレター内に充満してしまいます、せめて外部エアベントだったら・・まぁ無いものねだりをしても仕方ないですが(笑)でも温間時始動、しかも真夏の炎天下でもスロットルを全開にしてエアを入れてクランキングすれば始動しますから今回も多分大丈夫だとは思いますが・・。

これは希薄燃焼型のロータリーエンジンです、チャコールキャニスターは別体式になっていますね、希薄燃焼型になると従来のサーマルリアクター型とはブローバイガス還元装置の仕組みが全然違います、エアクリーナーのベンチレーションホースも付いていませんしブローバイガスもアイドリング時は吸入されないようになっています、CD系コスモロータリーの排気ガス浄化システムは51年規制でREAPS-5と5E、53年規制でもサーマルリアクター型と希薄燃焼型でそれぞれシステムが全然違います、複雑過ぎて整備書がないと手も足も出ないですね^_^;

では実際にチャコールキャニスターを別に付けて走行実験をしてみました。

元のチャコールキャニスターを外して・・

以前に解体車から外したチャコールキャニスターを装着、今回は実験なので固定はタイラップ留めです^_^;

フィルターは手元にあった適当なものを付けました、あくまで今回は実験ですので・・。

ワンウィバルブはPCVバルブを流用してみました、PCVバルブは一方方向にしか通気しないようになっています。

では乗ってみましょう♪

温間時の再始動性を検証するため高速道路を走ってみました、コスモで高速を走るのは久しぶりです、PAでエンジンを停止して20分ほどして再始動してみました、今までどおりにアクセルを全開のままクランキングするとエンジンは問題なく始動しました、まぁ今の時期は寒いので真夏にまた実験してみないと何とも言えませんが多分大丈夫かと・・^_^;

帰宅後にキャブレター内を見てみると・・オイルで汚れた形跡もなく綺麗なものです、まぁ距離にしたら100kmちょっとの走行なので汚れはしないでしょうけれどフィルターを入れてあるのでこちらも多分問題はないと思います。
実験の結果はエンジンの調子も良く、アイドリングも安定して排気ガスも匂わないですしガソリン臭もないので大丈夫そうです、温間時の始動性も問題はないので(とりあえず今の時期の気温では)チャコールキャニスターの別体化はイケそうな手応えです、あとは真夏に再び実験してみようと思います。
Posted at 2019/11/04 23:49:35 | |
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