5月4日,緊急事態宣言の延長が発表されました。およそ3週間延長し,5月31日まで。この発表を待たずに,いくつかの自治体がすでに5月31日までの休校延長を表明していましたが,5月5日,更にいくつかの自治体が5月31日までの休校延長を決定しました。
例年に沿って考え,4月7日に入学式が行われていたとすると,35日間の授業日が消えることになります。本県の中学校を例にして考えると,例年の授業日は200~205日ぐらいですので,17.0~17.5%の授業日が消えるわけです。また,週で考えると,中学校は年間35週でカウントしますので,およそ6週分が消えるわけです。週4時間の教科であれば24時間分,週3時間の教科であれば18時間分です。
東京をはじめとする都会の夏休みは,8月31日までのおよそ40日間ですが,地方は元々7月下旬~8月下旬の25日間ぐらいです。つまり,夏休みを0日間にしても,消えた35日間を埋め合わせることは不可能です。ですから,土曜日も授業日にするか,週に何度か7校時を行うかしないと,現状の履修内容を全て修めることは不可能です。
また,ソーシャル・ディスタンスとして示された1~2mを,教室の座席で実現しようとすると,1クラスの3分の1程度しか収まりません。現状では,隣や前後の座席との距離は70~80cmしかないからです。
現状の履修内容を全て修めることを前提に,ソーシャル・ディスタンスを厳密に守ろうとすると,例えば下記のようになります。
(1) 学校全体を3分の1ずつの分散登校にする。
(2) 登校したクラスを全て3分の1に分け,空いている他クラスの教室を使って分散させる。
(3) 教師の数を3倍にして授業を行う。
この案では(3)が中学・高校では不可能であることは明らかです。小学校は学級担任以外が残りの2教室を担当すれば物理的には可能です。
教師の数をそのままに,ソーシャル・ディスタンスを厳密に守ろうとすると,1生徒の1日の授業時間を3分の1程度に減らすしかありません。
(1) 学校全体を3分の1ずつの分散登校にする。
(2) 1・2校時に授業するグループ,3・4校時に授業するグループ,5・6校時に授業するグループと3分割する。
この案では,現状の履修内容の3分の1しか修めることができません。
結果,学校においてソーシャル・ディスタンスを厳密に守ることは不可能に近いと思います。そもそも,休み時間はどう考えても子どもたちは交わります。1~2mの距離しっかりを保って会話しようとする子どもの姿は想像できません。
わたしは,今後の再休校の可能性も考えて,まず,現状の履修内容から2割減らすしかないと思います。文部科学省と教育委員会、そして現場の教師(ここ重要)が履修内容を精査し,2割減らすのです。もちろん,入試もそれに沿ってもらわないと困ります。そうなると,今年度から小学校において完全実施となった新学習指導要領の目玉の一つであるプログラミング教育は,真っ先に割愛されることになるかもしれませんね。
9月入学という話も出ていますが,早急に決めてよいことではないと思います。メリットとデメリットを細かなところまで考えた上で決めるべきことです。長年培ってきた日本人の季節感とのズレも,簡単に埋まるとは思いませんので結構大きなポイントだと思います。
オンライン授業については,すでに3月から始めている私立学校の実践から,いくつかの課題が浮かび上がってきています。しかし,無策に休校を続けるより,また,再開後に再休校しなければならない事態になったときのために,早急に環境を整えるべきだと思います。本市では小中学生を持つ家庭のインターネット環境の実態調査を昨年度行っています。結果は20%の家庭にその環境がありませんでした。インターネットが見られるのは大人が持っているスマホだけという家庭が20%もありました。中には,大人の持っている携帯電話でさえガラケーで,まったくインターネット環境がないという家庭もありました。また,PC等があっても,それは大人が使う物であり,児童生徒がオンライン授業のために占有できないという家庭もありました。とにかく,それらの家庭の児童生徒に一人1台のPCと,コマ落ちしない程度のインターネット回線を整備する必要があります。
世の中が正常に戻るには,新型コロナウイルスに対するワクチンと治療薬が開発され,それらが一般に普及することが不可欠です。インフルエンザ・ワクチン並みの料金になるには,本当に何年かかるでしょうか。長い長い道のりです。
極論として「失業しても,生きてさえいればなんとかなる」という人もいます。というより「生きるためになんとかしなくては!」と大人は必死です。何年かかったとしても,生き続けるために策を講じるのです。しかし,我々大人の1年と,子どもたちの1年は,その価値が大きく違うと思うのです。子どもたちの1年,子どもたちの1ヵ月のことを我々大人がしっかりと考え,それぞれの立場でできることをしなければならないと思います。
今日は5月5日,こどもの日です。
Posted at 2020/05/05 23:45:32 | |
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