
スタッフKK:さてさて山田さん、今回もピンチヒッターのスタッフKKであります!
そして話題は「GRヤリス『25式』」の、本音トークでございま~す!
山田弘樹(以下・山田):よろしく◯◯ッちゃん!
スタッフKK:だから実名で呼ばないでくださいw
山田:カービューにも原稿を書きましたけど、私はいつも、かなーり本音でインプレしてますよッ。
(本文最後にリンクを貼っておくのでぜひチェックしてみてください)
スタッフKK:いやいやちがくて、ヤマダさん。これは私の本音トークあります。( ー`дー´)キリッ
山田:なんだよ、紛らわしい! ……で、それってどういうこと?
スタッフKK:今回の試乗会で25式GRヤリスを運転させてもらいまして、感動したんですよ!
25式GRヤリス 写真:トヨタ自動車
山田:どんなところが?
スタッフKK:あんなに速いクルマが、ブレーキの踏み方ひとつできちんと曲がってくれることに!
山田:そうそう、そうでしょう?
スタッフKK:山田さんに横に乗っていただいて、言われた通りに操作したら、そうしたら、なんと、今まで体験したことないくらいクルマが曲がったんです!
ステアリングから伝わってくる手応えも全然違っていたし、もうびっくり!
山田:父ちゃん、オレはいま、モーレツに感動しているッ!
スタッフKK:何ですかそれは??w
山田:……わからないか(汗。
なるほどねー。たしかにKKくん、声上げて驚いてたもんね。
そう、クルマを速く走らせる上でブレーキングって最も重要な作業なんですよ。
スタッフKK:今まではブレーキを踏み終わったら、ペダルから足を何も考えないで離してました。そのあと、ダラダラダラ~ッと、コーナーを曲がっていました。
25式GRヤリス 写真:トヨタ自動車
山田:それだと、なんとなくクルマが曲がって行くだけでしょ?
スタッフKK:ブレーキをちゃんと踏まないで、しかもダラダラ~ッと曲がっていたのは、速いと怖いからなんですけど……。
山田:だったらまずは怖くない範囲で、真っ直ぐなところでブレーキを強く踏んで、なるべく短く止まれるようにしてみる。それを少しずつ詰めて行って……
スタッフKK:曲がるときに、フロントのタイヤにその荷重を残せるように、ブレーキをゆっくり戻してハンドルを切っていく。
25式GRヤリス 写真:トヨタ自動車
山田:そう。止まるためのブレーキが終わったあと、ペダルをポーンと離してしまうと、クルマのノーズも“ポーン”と浮いちゃうんだ。
スタッフKK:そこまでは、イッパイいっぱいでわからなかったッス(汗。
山田:足まわりが硬いクルマだと、実際にノーズが浮き沈みするのはわからないことがほとんどだけど、その代わりに、ハンドルを切ったときの手応えが薄くなる。つまり、アンダーステアになる。
25式GRヤリス 写真:トヨタ自動車
スタッフKK:曲がりにくくなっちゃうわけですね?
山田:そうだね。だからブレーキペダルを、ハンドルを切り込むのに合わせて戻して行く。
ただ大切なのは操作そのものじゃなくて、理論なんだ。
俗に「ブレーキを残す」とか言われているけれど、大切なのは「残す」という行為そのものじゃなくて、曲がるために必要な荷重を、フロントタイヤに残してあげることなんだよね。
スタッフKK:なるほど?(まだ理解してないなるほど)
山田:ブレーキの踏み込み量と、ハンドルの切り込み量が、足して「10」というイメージかな。
真っ直ぐからのブレーキが「10」だとするでしょ? このときハンドルの切り込み量は「0」。減速が終わって、ブレーキを「9」にしたらハンドルが「1」。ブレーキ「8」ハンドル「2」と続けて行って……。
スタッフKK:最後にようやくブレーキが離れて、ハンドルが「10」になるわけですね?
山田:そう。でも、10でハンドルを沢山切れというわけじゃないよ?
25式GRヤリス 写真:トヨタ自動車
スタッフKK:???
あっ! コーナーやスピードによって、ハンドルを切る量は違いますもんね。
山田:そう。その必要なハンドルを切る量に対して、どのくらいブレーキが残っていればうまく曲がれるのかを知ること。
アクセルをオフにするだけで曲がれるんだったらブレーキいらないし、ヘアピンなんかだとそうやってジワーッとブレーキを抜いて行かないと速く曲がらない。
スタッフKK:曲がれるだけの荷重を、フロントタイヤに与えろって言うことですね。
山田:それに対してリア荷重の抜けがどう影響してくるかとか、その次はあるんだけど、まずはそういうこと。
こういうことを試すには峠じゃなくて、サーキットやジムカーナが最適だってわかるでしょ?
スタッフKK:はい、とてもよくわかりました!
GRヤリスはクルマ自体がガッチリしていたから、不安なく試すことができました。
25式GRヤリス 写真:トヨタ自動車
山田:特に「25式」は、スタビリティが増したからね。
最初は、「何ぜいたくなこと言ってんだよ」って思ったけど。マジでKKくんがGRヤリスで安心してブレーキングしているのを見て、私も新鮮な気持ちになったよ。
スタッフKK:山田さんいつも、「練習するなら限界の低いクルマで」って言ってますもんね。
山田:GRヤリスを始めとした高性能スポーツカーのスタビリティは、速く走るためのものだと思っていたからね。
こういう使い方もあるのか~って思った。
スタッフKK:とはいえ、それも山田さんが隣に乗ってくれていたからだと思います。
ひとりだったら、怖くてブレーキをきちんと踏んだり、それをリリースして行くことなんて思いつかないし。
アクセルを踏むことだけでテンパります…。
山田:こっちもね、信頼していないときちんと走れとは言えないから、それはお互い様だね(笑)。
そういう点でいうと、富士スピードウェイの「モビリタ」みたいな安全な場所で、インストラクターに同乗走行してもらうのがいいな。
25式GRヤリス 写真:トヨタ自動車
スタッフKK:あそこならGRヤリスにも乗れますよね!
山田:限界が低いクルマ、スピードが出ないクルマで練習すると、コストが低く沢山走れて、クルマを壊すリスクも減るからやっぱり沢山走れる。
その考えに変わりはないけれど、やっぱりブレーキのしっかりしているクルマに乗ると、安心して操作を覚えることができるんだね。
スタッフKK:ボディと足まわりとブレーキがしっかりしていて、遅いスポーツカーがあればいいのに~(笑)
山田:なんども言うけど、「スイフト スポーツ」がそれに近いよ。後輪駆動じゃなくても進める理由のひとつです。
ターボモデルは決して遅くはないけどね。
スタッフKK:早く現行モデルで復活して欲しいですねぇ。
山田:まったくだね。
おしまい
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山田弘樹(やまだ こうき)モータージャーナリスト
自動車雑誌「Tipo」の副編集長を経てフリーランスに。編集部在籍時代に参戦した「VW GTi CUP」からレース活動も始め、各種ワンメイクレースやスーパー耐久に参戦。
こうした経験を活かし、現在はモータージャーナリストとして執筆活動中。愛車は86年式のAE86(通称ハチロク)と、95年式の911カレラ(Type993)。
日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
A.J.A.J.(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。