
みなさんゴキゲンよう!
モータージャーナリストの山田弘樹(やまだ・こうき)です。
千里の道も、一歩から。初心者でもクルマを目一杯楽しんで、最後の最後は「ニュルブルクリンクへ走りに行こう!」というこのコラム。
今回は、フォルクスワーゲン「ゴルフGTI」の50周年記念の限定車「エディション50」に乗ってきたお話です。
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山田弘樹(以下・山田):
ブエノス ディアス、セニョール・タカシ!
ハシモト タカシ(以下・タカシ):いきなり、なんですかッ!?(笑)
山田:ちょっとバルセロナ行ってきましたもので。
タカシ:いいですね! サグラダ・ファミリア見たい!!
山田:一泊3日の弾丸ひとり旅でした(泣。
タカシ:それは……大変でしたね。試乗会ですか?
山田:うん。
フォルクスワーゲン「ゴルフGTI」が、
今年で50周年を迎えたんだよね。
それを記念して発売された
限定車「エディション50」に乗ってきました。
タカシ:1975年に「ゴルフGTI」が登場してから半世紀にもなるんですね。ゴルフGTIは
ホットハッチのベンチマークですよね。私も大好きなモデルの1つです。
たしか、初代ゴルフが登場した翌年ですよね?
山田:その通り。ジョルジェット・ジウジアーロが手がけたボディに、110PSの1.6直列4気筒エンジンを積んだ、
元祖“ホットハッチ”だよね。
当日は歴代GTIやコンセプトカーが並んでいて、とても懐かしかった。私が初めてレースをしたクルマである、ゴルフIIIのGTIも展示されていて嬉しかった。
タカシ:そんな歴史の集大成が
「エディション50」なわけですが、
やっぱり速いんですか?
シビック・タイプRと較べてどっちがいいんです!?
ゴルフRとの棲み分けは!?
山田:やっぱそこらへん、気になるよね。
ざっくり説明するとエディション50は、
「数字上のスペック」を追い求めたクルマじゃありません。
エンジンはゴルフRと同じ
「EA888 evo4」なんだけど、出力は
325PS/420Nmだから、ゴルフRより8PSパワーが低いんだ。
タカシ:それでもGTIとしては、歴代最高出力ですね。FWDだとここらへんが限界なんですかね?
山田:いいところ突くね。恐らくパワーを出すだけなら、もっと行けると思う。
でも快適性や操作性を考えて、ここまでに抑えたんだろうね。
タカシ:
シビック タイプRも330PSだから、ここらへんがFWDの絶妙なラインなんでしょうね。
山田:それでもすごいのはね、
ゴルフR 20Years(限定車)より、ニュルのタイムが速いんだよ。しかも20.832kmのフルコースで走ったのに、1.18秒も速いんだ。
タカシ:
それはすごっ!
となるとエディション50は、フットワークで走らせるタイプですか?
ニュルはバランスが良くないと速く走れないっていいますもんね。
山田:かなりの
ハイバランス型だね。エンジンも速くて、足も良くて、FWDだから軽さもある。
オプションの
「パフォーマンスパッケージ」を付けると、鍛造ホイールとアクラポビッチ製チタンマフラーで標準仕様より25kg軽くできるしね。
タカシ:でも、タイプRには1.25秒ほど負けてますよね(ニヤリ
山田:痛いとこ突くね……と言いたいところだけど、そこが今回のポイントだと思うんだ。
タカシ:ほう、といいますと?
山田:エディション50の乗り心地、
全然硬くないのよ。
タカシ:ホントですかぁ?
「スポーツモデルとしては」って但し書きが付くんでしょ?
山田:いやいや、タイヤなんか19インチの「ポテンザ レース」を履いているのに、街中から高速道路まで至って快適。普通のGTIよりも乗り心地よいかもしれない。
セミスリックだと雨の日はやめた方がいいと思うけど、これなら十分普段使いできるなぁ……って思った。
タカシ:タイムは出るけど、ガチガチではないんですね。私そういうの好きです。
でも、そこまで乗り心地がいい柔らかい足だと、走りがスポイルされてそう……。
山田:それが、楽しいんだよ! 大げさに言うと
「FFのロードスター」みたいな感じ。
タカシ:それは最高の褒め言葉ですね!
山田:スプリングやスタビはセミスリック用に剛性を高めているんだけど、硬め過ぎていないんだろうね。そしてダンパーが、とてもしなやかに動くんだ。縁石を乗り越えても跳ねないし、ターンインではグイグイ曲がる。
その秘訣は、リンク側の剛性アップにあるんだよね。具体的に言うと、フロントのロアアームブッシュとリアのダンパートップブッシュを固めにして、リアハブなんかはこれまで片持ちだったリンクを、両側で支えるタイプに換えている。
その上で、フロントのネガティブキャンバーを標準仕様で-1.33度、パフォーマンスパッケージだと-2度まで付けてる。リアが-1.75度で共通なのは、ここらへんが市販車として許せる数値なんだろうね。ちなみに「クラブスポーツ」もリアは同じ。
タカシ:なるほど、かなり理詰めな快適仕様ですね!
ところで
「パルクモーター・カステリョリ」という舌を噛みそうなサーキットを走ったんですね? 実際、ゴルフRよりも速いと感じましたか?
山田:当日はカレラカップに出ている若手ドライバー君がゴルフR ヴァリアントで引っ張ってくれたんだけど、初めてのコースでも余裕を持って付いて行けたよ。
立ち上がりは4WDの加速に負けてしまうけど、ターンインはこっちの得意分野。FFだからハイスピードからのブレーキングで若干リアが振られる傾向だけど、その荷重移動をうまく使えば、軽いオーバーステアできれいに向きを変えられる、なんて場面もあったよ。
タカシ:聞いてるだけでワクワクしますね!
山田:LSDも標準装備だから、クリップからガンガン踏めるし、エンジンも吹け上がりが鋭くて気持ち良かった。
でも……実はこの
「エディション50」、日本には導入未定なんだよね(汗。
タカシ:えええーッ! ここまできていまさらそれ言います!?
山田:ごめんごめん(苦笑。
でもドイツ本国でも標準仕様で980万円~だから、もし日本に導入されても、恐らく1000万円を超えてしまうね。
タカシ:
いっ…1000万円のゴルフGTIですか……(滝汗。
「パフォーマンスエディション」にしたら、もっと高くなりますね。
山田:でもシビック タイプRだって、ヨーロッパだと同じくらいするから。
日本でタイプRが約600万円で買えるのは、奇跡みたいなもんなんだよ。
ただゴルフGTIは昔からの熱烈なファンがいるから、インポーターであるVGJ(フォルクスワーゲン・グループ・ジャパン)には、少量でもいいから台数を確保して欲しいなぁ。
タカシ:投機的な対象ではなくて、
“真のゴルフGTI好き”の方に乗ってもらいたいですよね!
山田:あとはね、自分でも「エディション50」に近いゴルフGTIは作れると思うんだ。
普段乗りを考えたら、ネガキャンの付け過ぎはタイヤの片減りが心配だけど。
タカシ:乗り心地は少し硬くなるかもしれないけど、ピロアッパーマウントにしたらフロントは基準値に戻せますね。
普段は快適なタイヤを履いて、走りに行くときにハイグリップタイヤに付け替えるなら、ついでにキャンバーも調整して……。
山田:純正スプリングとピロアッパー(フロントのみ)の組み合わせ、自分もポルシェ993でやってるよ。柔らかいスプリングとピロアッパー、スポーツ派なら悪くないカップリングだと思う。
あとはエディション50用のリアハブが手に入ったら面白いね。
タカシ:ECUチューンと吸排気で、325PS/400Nm出せるかなぁ? 夢が広がるなぁ!
山田:タカシ君ちガレージあるんだから、できそうじゃん!
DSGだから奥さんも運転できるし。
タカシ:確かに!
ちょうど
何にでも使えて走りも楽しいスポーツハッチが一台欲しいなぁ……なんて妄想していたんですよね。
でもうちの奥さん、MT一択なんですよ(笑)。
山田:
えーーーーー!!!!(笑)
ホットハッチで大切なのは速さよりも、
走らせたときの楽しさだから。そういう意味で「ゴルフGTI エディション50」の考え方は、すごくお手本になると思うよ。
タカシ:ゴルフGTIがホットハッチのベンチマークと言われる理由は、まさにそこですよね。
欲しい人は、
「欲しい!欲しい!」とVGJに
鬼電するしかないですね。
山田:それはちょっと迷惑だからやめた方が……。
>>カーウォッチさんでの詳細な試乗記はこちら:
“究極のゴルフGTI”「エディション50」試乗 50周年記念モデルの日本導入を希望!
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山田弘樹(やまだ こうき)モータージャーナリスト
自動車雑誌「Tipo」の副編集長を経てフリーランスに。編集部在籍時代に参戦した「VW GTi CUP」からレース活動も始め、各種ワンメイクレースやスーパー耐久に参戦。
こうした経験を活かし、現在はモータージャーナリストとして執筆活動中。愛車は86年式のAE86(通称ハチロク)と、95年式の911カレラ(Type993)。
日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
A.J.A.J.(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。