
みなさんゴキゲンよう!
今月は通常コラムをお休みして、「走れ赤パン! ハチロク日記」の第3回目でございます。
さて今ワタクシは、足まわりを作るために絶賛奮闘中です。
そのテーマは、
「ストリートとサーキットの両立」。
これ、走り好きにとっての
『永遠のテーマ』です。
街中では乗り心地がすこぶる快適で、サーキットでもバチッ! とタイムが出て、走りが楽しいアシが欲しい! という欲張りメニュー。
そんな都合のいい話、あるかい!
経験上それって、すっごく難しいことなのはわかっているんですけど、自分ハチロク好きなんで。だったらトコトン理想の足まわり、追いかけて作ってみようよ! というわけです。
自分がそんな風に思えたのは、
「EDFC5」の存在があったからでした。
EDFC5とは、テインが長年かけて熟成させた電子制御式の減衰力コントローラーのこと。
「エレクトロニック・ダンピング・フォース・コントローラー」の頭文字を取ったこのコントローラーは、現行で5世代目となっています。
減衰力調整式ダンパーにステップモーターを取り付けて、室内から減衰力を調整できる優れものですが、最新世代ではさらに、
「ジャーク制御」が加わりました。
そしてこの制御こそが、
「ハチロク究極の足まわり」を作る原動力になりました。
ジャーク制御とは簡単にいうと、
「Gの変化する勢い(=ジャークもしくは躍度)」をセンサーが検知して、クルマの挙動に合わせて減衰力を自動で調整してくれる制御です。
この制御が働くと、たとえば普段は減衰力を柔らかくしていても、ブレーキを掛けたときや、カーブに入るときに、姿勢が安定します。そしてG変化が落ち着くと、もとの減衰力に戻ってくれます。
つまりこのダンパー制御があれば、今までよりスプリングをソフトにできるのでは?
「バネは柔らかいまま、動くときだけ固める」という、夢のような使い方ができちゃうんじゃない?
と考えたわけですね。そうすれば街中での快適性は上がるし、サーキットも楽しく走ることができます。
ロール量は最終的にスプリングレートで決まるから、もちろん万能とは言えません。
でもその可能性が、今までよりも格段に広がると思ったんです。
実はワタクシ自分のポルシェ993でこのEDFC5を2年以上テストしていて、かなりの手応えを得ています。
その足まわりはテインの純正形状ダンパー
「Endura Pro Plus」(エンデュラ・プロ・プラス)に純正スプリングの組み合わせですが、まさに街中からサーキットまで、快適に楽しく走っています。
※写真はポルシェ993に装着しているEDFC5
さらにテインは今年の「東京オートサロン」と「ノスタルジック 2デイズ」で、自社製のスピンドルを発表しました。ハチロク乗りならご存じでしょう、ストラットの先に付いたタイヤの回転軸となるパーツです。
純正ストラットが既に廃盤になっていることから、このパーツは長らく貴重な存在になっていました。
新しく車高調を作るなら、純正シェルケースをオークションやショップで探すか、これまで着けていたものを流用しなくてはなりません。
それが新品で、手に入るんです。しかも、鍛造マシニング製法で!!
ちなみに「ノスタルジック 2デイズ」で展示されていたハチロクって、赤パンなんですよ。
テイン開発部の渡邊宏尚主任とは、スピンドルの企画が立ち上がったときから話をしていて、「なんとしても実現させて!」と、会うたびにお願いしていたんです(笑)。
とはいえスピンドルは車輌の安全性に大きく関わるパーツなので、強度確保ができて、量産の目処が立つまで、かなり時間が掛かりましたね。
ちなみにテインではハチロク以外にも、ハコスカやフェアレディZといった、同じくスピンドルを使う車種用にもパーツ展開をする予定。
それぞれサイズが違うため、専用の型を起こしてからのマシニングになるというのだから、驚きます。
でもこれで多くのオーナーが、愛車に長く乗り続けられますよね。
というわけで現在赤パンにはこのスピンドルと、今後のベースとなる
「スペシャライズドダンパー」が取り付けられています。
フロントダンパーは、ストリート向けの上位モデルとして長らく人気を誇った
「MONO FREX」がベース。モノチューブ(単筒式)構造のダンパーを、倒立式として横剛性を高めています。
対してリアダンパーは、純正以上の乗り心地を狙って開発されたハイエンドモデル
「COMFORT SPORT」をベースに製作。こちらもモノチューブ構造のダンパーだけど、取り付けは正立式です。
減衰力はどちらも16段・伸縮同時調整式。またリアスプリングには車高調整用ブラケットが装着されていて、前後で車高調整が可能です。
そして肝心なスプリングレートはというと、
フロント8kg/mm リア6kg/mm!
えーっ。それっていわゆる
「ハチロクばね」じゃん。
もっと柔らかいレートの方が、よくないですかー。ワタナベさーん!
どうやら渡邊エンジニアには、考えがあるようです。
たとえ「8キロ/6キロ』でも、
「スペシャライズドダンパーとテイン製スプリングなら、乗り心地が出せる!」と踏んだわけですね。
ちなみにリアの
「コンフォート・スポーツ」ダンパーは、レクサスやアリストといった高級セダンをターゲットに開発されたダンパーで、ハチロク用にはラインナップがなかったはず。つまりそれだけ気合いを入れて、ベースダンパーが作られたというわけです。
さてその乗り味はというと、かなりの重厚感。
決して軽やかではないけれど、段差でも跳ねないし、大げさに言うと
ドイツ車みたいにビシッとしました。
スプリングもっと柔らかくしたら、シットリ感も出せるんじゃね? と思うのですが、タイヤとの相性もあるので、減衰力を色々と可変させながら、もっとじっくり乗り込んでみるつもりです。
そして次号では、タイヤについても迫ってみます。
これまではポテンザ RE-71RSでサーキットを走っていたけれど、もっとグリップレベルが低いタイヤの方がいいんじゃないか? 8キロ/6キロ組んだなら、やっぱ71RZ行っとくか!? なんてことをテーマにしたいと思います。
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山田弘樹(やまだ こうき)モータージャーナリスト
自動車雑誌「Tipo」の副編集長を経てフリーランスに。編集部在籍時代に参戦した「VW GTi CUP」からレース活動も始め、各種ワンメイクレースやスーパー耐久に参戦。
こうした経験を活かし、現在はモータージャーナリストとして執筆活動中。愛車は86年式のAE86(通称ハチロク)と、95年式の911カレラ(Type993)。
日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
A.J.A.J.(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。