
みなさんゴキゲンよう!
モータージャーナリストの山田弘樹(やまだ・こうき)です。
千里の道も、一歩から。初心者でもクルマを目一杯楽しんで、最後の最後は「ニュルブルクリンクへ走りに行こう!」というこのコラム。
今回は、コンチネンタルタイヤの国際試乗会で最新作「MaxContact MC7」を体感してきたのでその様子をレポートします。このタイヤ、みんじど読者にピッタリです。
++++++++++
山田弘樹(以下・山田):
コンチネンタルタイヤの国際試乗会で、オーストラリアに行ってきました!
編集部TAKASHI(以下・TAKASHI):タイヤの国際試乗会って珍しいですね!?
山田:たまにあるみたいだけど、私は初めて。コンチネンタルとしても、それだけ力を入れているタイヤだということでしょう。
TAKASHI:どんなタイヤだったんですか?
山田:
コンチネンタル「MaxContact MC7」といって、アジア・パシフィック向けに作られた
スポーツタイヤです。
TAKASHI:
マックス・コンタクトですね!
私も先代モデルの
「MaxContact MC6」を短時間ですが試したことあります。すごくマイルドで、バランスのいいタイヤだったなぁ……と記憶してますが合ってます??
山田:その通りだね! スポーツタイヤだけど、街乗りからサーキットまでとってもバランスが取れたタイヤだったよ。
TAKASHI:でもマックス・コンタクトが、アジア・パシフィック向けのタイヤだとは知らなかったです。
山田:アジア・パシフィック用のタイヤは2004年に登場した
「ComfortContact」から始まっていて、それが
MaxContactへと派生したんだ。
シリーズとしては他のタイヤと世代を合わせたのだろうけど
「MaxContact MC5」から始まっていて、先代がTAKASHI君も乗った
「MaxContact MC6」。
そして7年ぶりに、フルモデルチェンジしたんだ。キャラクター的には、こんな感じ!
※コンチネンタルタイヤの資料より拝借mm
TAKASHI:MaxContact MC6でもかなり乗り心地が良い印象だったんですけど、このシリーズって、
実はずいぶんスポーティな位置づけなんですね?
山田:そうなんだよ。性能グラフだと、
SportContactの次にスポーティ。そして
SportContactよりも、
コンフォート性能が高いんだ。
※コンチネンタルタイヤの資料より拝借mm
TAKASHI:
スポーティなのにコンフォート…? どういうことですか??
山田:アジア地区のユーザーは、ヨーロッパのユーザーよりも快適性を求める傾向が強いんだって。それはたぶん、速度レンジがヨーロッパよりも低いからだろうね。
TAKASHI:
「そこまで飛ばさないから、もう少し乗り心地良くしてくれ」ってことですかね? 確かに
「ヨーロッパのユーザーは、日本人ほどタイヤの音を気にしない」って聞いたことがあります。
山田:きっと
乗り心地や
騒音よりも、
シッカリ感を取るということなんだと思うよ。環境が整っているせいもあるけど、つまり
彼らは飛ばすということだよね(笑)。
ただヨーロッパでも近年は車外騒音規制が厳しくなってきているから、
うるさくてもいいというわけではないと思う。
実際フラッグシップの
「SportContact7」は、静かだもん。アジア・パシフィックは速度域が低くて済む分、MaxContact MC7は
コンフォート寄りに性能を振っているということだね。
TAKASHI:なるほど! じゃあ単に
MaxContact MC7の方が、性能が低くくて安いということじゃないんですね??
山田:エンジニアもそこは強調していたよ。
きちんと
高価な素材を使っているけれど、アジアでタイヤを作って、
輸送費なんかも含めてリーズナブルな価格設定にできているんだって。
ちなみにヨーロッパで
MaxContact MC7は販売していないんだ。スポーツタイヤとしては
SportContact7があるし、プレミアム系タイヤとしては
「PremiumContact7」や
「EcoContact6」があるからね。
TAKASHI:そういう意味でいうと、日本は両方買えるからいいですね(笑)。実際の走りはどうだったんですか?
山田:
すごくよかった! “みんじど”を読んでくれるようなドライバーは、ずばりターゲットユーザーだと思うよ。
TAKASHI:先代のMaxContact MC6の記憶からすると、いわゆる日本のハイグリップラジアルとは違って、
しなやかに路面を捉えるタイプですか??
山田:そうだね。
「ネオバ」とか、
「ディレッツァZⅢ」の方がグリップレベルは高い。でも、
ちゃんとサーキットを走れるタイヤだよ。
試乗会では
「ラダム・レースウェイ」という全長1.4kmのミニサーキットを走ったんだけど、かなり真面目に走らせても
ブロック跳びしたり、アンダーステアでショルダーがゲソゲソになることもなかった。
TAKASHI:でも、それは山田さんのような
運転の上手い人がドライブするからじゃないですか……? ソフトな印象だし、
初心者がハンドルこじったらゲソゲソになりそう……。
山田:ウェット路面でわざと急激な操舵から
アンダーステアを出すテストがあったんだけど、そのときの
滑り方がとっても穏やかだったんだ。それって、
接地性が高い証拠だよね。
TAKASHI:
ドライ路面での剛性感はどうでした??
山田:ガッチリしているというよりは、
タイヤ全体でもちっとグリップする感じ。BMW 330iとフェアレディZで走らせたけど、
唐突な挙動はまったく出なかった。
滑り出しても、ウェット同様
すごく穏やかだったよ。
スポーン! と抜ける感じがない。
TAKASHI:
そこ大事ですよね! 国産タイヤでいうと
「ADVAN Sport V107」とか、
「POTENZA S007 A」みたいな感じですか??
山田:もっとスポーツ寄り。うーん……ミシュランの
「パイロットスポーツ5」に近くて、だけど
もう少しモッチリしてるかな。
だから
足周りがソフトなクルマだと、ちょっと
レスポンスが鈍く感じる。けど、
シャキッとしたスポーツカーには合ってる感じ。
運転を学ぶのにこの特性は、結構いいと思う。
あと、今までのコンチネンタルに比べると、
バネ下が軽い感じがするね。
TAKASHI:
パイロットスポーツ5も相当乗り心地が良かった印象ですけど、もう少しモッチリということは、
街乗りでかなり良さそうですね!
山田:そうなんだよ。シドニーからハンターバレーというところまでBMW 330iで250kmくらい走ったんだけど、すごくよかった。
日常の荷重領域だと
適度なしっかり感があって、なおかつ
突き上げを上手に吸収してくれる。
ワインディングではスポーツモードに入れて電動パワステを重たくしたら、
操舵フィールとグリップレベルがドンピシャだった。めっちゃ
質感高いハンドリングになったよ。
あとは、
耐久性がどのくらいあるかだね。そこまでは、使ってみないとわからない。
TAKASHI:前にも
「タイヤの選び方」について教えてもらいましたけど、
MaxContact MC7は初心者にもお勧めですか?
>>【コラム】そうだ、ニュルへ行こうよ!Vol.11 ~スポーツタイヤの選び方~
山田:まさに、以前コラムで言った
「頑丈なタイヤ」だと思います。こじっても
トレッド剥離したり、ブロック飛びしにくい。
それにグリップはあるけど
極端なハイグリップ志向じゃないから、
ノーマルサスペンションでもバランスがいい。速度域が高くなりすぎないし、
滑り出しも穏やか。
この適度なバランスが、国産だとなかなかないんだよね。
TAKASHI:それでいて、普段使いも良いんですよね?
まさに、気軽にサーキットに遊びにいける“みんじどっぽい”タイヤですね!
MC7履いてみたいなぁ! あっでもロードスター用のサイズがない……(涙)
※※※MaxContact MC7の技術補足※※※

MaxContactのコンセプトは
「クルマを操る愉しさを“MAX”で体感」できること。コンチネンタル自身も
「クルマを正確に操作できなければ、スピードに意味はありません」と述べている。
■SPORT+ TECHNOLOGY

MaxContactに投入されたテクノロジーは、大きく分けて4つ。コンチネンタルタイヤではそれぞれの頭文字を取って
「C.T.R.L.」と表している。
■C:コーナリング・マクロブロック

コーナリング時最も大きな負荷が掛かるショルダー部分のブロック面積を最大化して、接地面を拡大。また溝部分に
「スタビライザー・バー」を装備して、排水性を高めながらもブロック剛性を確保。同じ荷重条件でMaxContact MC6に比べて接地面積を拡大している。
■T:2イン1ノイズ・ブレーカー3.0

縦溝内に設置した
「ノイズブレーカー3.0」が、溝内を伝わる音の周波数を高周波から低周波へと変換。これによってノイズが低減される。またウェット時は溝を流れる水の流速が高まり、排水性を高めることができる。
■R:リフレックス・コンパウンド
最新のシリカ配合技術により、運動エネルギーが小さい通常の走行状態では変形を抑えエネルギー損失を最小限に抑制し、ブレーキング時やコーナリング時など荷重が掛かったときはより多くのエネルギーを効率的に熱へと交換してグリップを引き上げる。
さらに減衰力の強い可塑剤を配合することでコンパウンドの剛性を最適化し、横グリップやハンドリング性能を向上させている。
■L:レーザーカット・3D・サイプ

トレッド面には3種類のサイプを搭載。星形の
「スターサイプ」とジグザグの
「ライトニング・サイプ」は主溝につながり、トレッド面の水膜を効果的に排出。
内側の
「アクア・サイプ」は丸い穴から大型の排水パターンへと内側にトンネルを通すことで、トレッド面の水膜を排水。これによって、接地面積を確保しながらウェット性能も高めている。
写真:コンチネンタルタイヤ・ジャパン
===================
山田弘樹(やまだ こうき)モータージャーナリスト
自動車雑誌「Tipo」の副編集長を経てフリーランスに。編集部在籍時代に参戦した「VW GTi CUP」からレース活動も始め、各種ワンメイクレースやスーパー耐久に参戦。
こうした経験を活かし、現在はモータージャーナリストとして執筆活動中。愛車は86年式のAE86(通称ハチロク)と、95年式の911カレラ(Type993)。
日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
A.J.A.J.(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。