
みなさんゴキゲンよう!
モータージャーナリストの山田弘樹(やまだ・こうき)です。
千里の道も、一歩から。初心者でもクルマを目一杯楽しんで、最後の最後は「ニュルブルクリンクへ走りに行こう!」というこのコラム。
今回はワタクシ山田が、進化型「GRカローラ」を雪上で乗ってきた際のお話です。
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山田弘樹(以下・山田):この前(といってもだいぶ前)、苗場スキー場でGazooRacingのイベントがあってね……
編集部TAKASHI(以下・TAKASHI):ユーミンのコンサートとジョイントした
「SNOW DRIVE 2024 in naeba」ですね!?
親や親戚が『私をスキーに連れてって』世代だったので、小さい頃はユーミンを聴きながらスキーに行ってました⛷️
山田:北海道の試乗会から駆けつけたから、残念ながらコンサートは見られなかったんだけどね。
だけど遂に新型GRカローラ、乗ってきました!
TAKASHI:おぉ! これって2022年に500台限定で発売されたモデルの
「進化型」ですよね? ってことは今度も限定ですか?
山田:いいフリしてくれるなぁ。
TAKASHI:えっへん。だってみんなが買いたいモデルですから。
山田:今度はきちんと、カタログモデルです!
TAKASHI:やったー! 新型が出るってウワサもありますけど(汗。
山田:それはひとまず、置いといて。まだ工場出荷の目処とかはハッキリしないところもあるんだけど、限定ではないとのことでした(※後日あえなく受注停止になりました…涙)。
TAKASHI:
で、速くなってましたか? 良くなってました!?
これって同じ進化型となったGRヤリスと、いろいろ共通しているんですよね!!??(超前のめり)
山田:どうどう。詳しいレポートは
「月刊 自家用車WEB」をぜひ見ていただきたのだけど、前期型と比べて全方位的に手が加えられたね。
出力も上がっているんだけど、それよりもモータースポーツを楽しむための用意が整って来た! という感じ。
一番いいのはやっぱり、GRヤリスで採用された8速ATがGRカローラにも用意されたことだよね。
TAKASHI:
「GR-DAT」(Direct Automatic Transmission)ですね。
私は乗るなら断然MT派ですけど、これで沢山の人がGRカローラを楽しめますよね。
山田:うん。やっぱりGRカローラは5ドアハッチだからさ。家族がいる人にとっては、希望の1台になると思うんだよね。
TAKASHI:確かにGRヤリスだと3ドアだし、シビックタイプRもATはないですもんね。
でも、そもそもGRカローラって普段乗りできるような乗り心地なんですか?
前期型も日常的に使うには、ちょっと(だいぶ?)硬かったような……。
山田:今回のテストコースはデコボコな雪道で、しかもタイヤがスタッドレスだったから、正直乗り心地はきちんと評価できない。
でも、ボディにはすごくシッカリ感があって、足周りも短いストロークの中できちんと動いていたよ。段差を乗り越えたときとか、アシが伸びたあとの着地なんかとても良かった。
TAKASHI:それは期待しちゃいますね。
山田:うん。ボディ自体に変更はなかったから、そもそもカローラの剛性が高いのかも。すごくいいクルマになっている感じがした。
TAKASHI:ところでカオつきも、かなりアグレッシブになりましたね。
山田:バンパーが
“ぐわっ”としたよね(笑)。
これは右側にエンジン冷却用のサブラジエター(RZにメーカーオプション)、左側にGR-DAT用のオイルクーラーを置けるスペースを作ったから。ラジエター脇はブレーキダクトになってるんだ。
スポーツカーって改良するとハイパワーになるのがセオリーで、今回もGRカローラはそのトルクを400Nm/3250~4600rpm(+30Nm)まで上げているんだけど、大切なのはそのパフォーマンスをきちんと持続させることなんだよね。
TAKASHI:
速いクルマじゃなくて、
タフなクルマにすることが大切なんですね!
山田:良いこと言う(笑)。
TAKASHI:GRカローラはGRヤリスよりも一回り大きいボディに同じ出力のエンジンと4WDシステムを搭載しているわけじゃないですか。
だとするとやっぱり、GRヤリスの方が速いんですか? 山田さん的にはどっちがオススメ?
山田:当日は進化型GRヤリスにも試乗できたんだけど、直接同じステージで乗り比べることはできなかったんだ。だからどっちが速いかは、わからない。
TAKASHI:わからないこと多いですね(冷たい目)
山田:今日はグサグサくるね(笑)。
でも、条件が違うのにフィーリングだけで判断できないよ。
TAKASHI:
じゃあ、フィーリングでお願いします!(笑)
山田:軽いなぁ。TAKASHI君も言ってた通りカローラはボディが大きいでしょ? だからその分ホイルベースも80mm長い。これが雪上路面だと、扱いやすさにつながっていたよ。
積極的にアクセルを踏んでオーバーテアが出たときも、サイドで曲げたときも、流れだしが穏やかでコントロールしやすかった。GRヤリスは雪上やダートだと、このときの動きが素早いんだ。
そこが楽しいんだけどね。
TAKASHI:だとしたらドライのサーキット路面だと、アンダーステアが強い傾向なんですかね?
山田:低速コーナーはそうかもね。でも高速コーナーだと逆に、慣性重量が大きくなってリアが流れるのかな? って思った。
というのも今回の改良は主にサーキットでのポテンシャルアップで、富士スピードウェイのAコーナーや100Rみたいな高速コーナーで、
「腰砕け感を抑えるセッティングをした」って開発陣が言ってたんだ。
具体的にはダンパーがリバウンドスプリング内蔵式になった。スプリングも16%ハイレートになって、リアのトレーリングアームの取り付け点を従来よりも上げて、よりトラクションが掛かるようにしたって言ってた。
TAKASHI:ちょっと難しいかも(汗。
山田:ぜひともサーキットで試してみたいよね!
TAKASHI:「GR-DAT」と「6速iMT」はどっちが好きですか?
山田:これも甲乙付けがたいんだよねぇ。この6MT、ショートストロークなのにとっても扱いやすいんだよ。タッチは硬めでカッチリしてるんだけど、コクコク入ってミスしにくい。
TAKASHI:オートブリッパーも便利だし、刺激的ですよね。
山田:かたや8速ATは、左足ブレーキが使えるから運転の幅が広がる。シフトとクラッチの操作がないから、運転に集中できるし。
惜しいのはレブリミッターに当たるとエンジン保護のリタードが入ることで、そこは次の課題にしているとのことだった。
TAKASHI:
「GRーFOUR」のモードはどれが一番好きですか?
山田:個人的には駆動配分を50:50に固定する
「グラベル」モードが運転しやすかった。
TAKASHI:
「トラック」モードは前輪を60~30、後輪を40~70まで連続可変させてくれるんですよね? そっちの方が走りやすそうに思えるけど……雪だったから?
山田:それもあるだろうね。開発の坂本(尚之)さんは
「ドライバーの好み」だと言ってたよ。
TAKASHI:自分にはどっちのモードが合ってるのかなぁ? 早く乗ってみたいなぁ。
写真:トヨタ自動車
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山田弘樹(やまだ こうき)モータージャーナリスト
自動車雑誌「Tipo」の副編集長を経てフリーランスに。編集部在籍時代に参戦した「VW GTi CUP」からレース活動も始め、各種ワンメイクレースやスーパー耐久に参戦。
こうした経験を活かし、現在はモータージャーナリストとして執筆活動中。愛車は86年式のAE86(通称ハチロク)と、95年式の911カレラ(Type993)。
日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
A.J.A.J.(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。