
みなさんゴキゲンよう!
モータージャーナリストの山田弘樹(やまだ・こうき)です。
千里の道も、一歩から。初心者でもクルマを目一杯楽しんで、最後の最後は「ニュルブルクリンクへ走りに行こう!」というこのコラム。
今回は、佐藤琢磨選手が主催するカートイベントにTAKASHI君と一緒に参加してきたお話です。
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編集部TAKASHI(以下・TAKASHI):
山田さん、ボクはいま、モーレツに感動していますッ!!
山田弘樹(以下・山田):なんですか、その
ヒューマ的なリアクションは?
TAKASHI:
ん? ヒューマってなんですか?(真顔)
山田:いや……なんでもない。ところでなんでそんなに興奮してるの?
TAKASHI:だって、
「ナマタクマ」ですよッ!?
山田:ナマタクマ(汗。佐藤琢磨選手のこと大好きなんだね?
TAKASHI:自分がF1を見始めたときの日本人ドライバーが、琢磨選手だったんです。
山田:(ジェンソン)バトンと組んでいた頃かな?
TAKASHI:はい、ホンダ第3期で、ボクにとってはヒーローでした。
それからもずっとファンで、インディ500もテレビでですが毎年観戦していましたし。そんな人の走りが間近で見られて、しかも一緒に走れちゃうなんて!
写真:本田技研工業
山田:というわけで今回は、
「佐藤琢磨ファンミーティング2025」に参加したお話です。
TAKASHI:もともとは昨年末に行われるはずだったミーティングが、スーパーGTが延期した関係で今年にずれたんですね。
山田:そう。そこで琢磨選手が、以前からファンの人たちに要望されていた
カート大会を、どうせだったらやっちゃおう! となったみたい。
TAKASHI:そんな大切なファンの集いに呼んで頂けて、おまけにカート大会まで出場させてもらえるなんて……恐縮です。
山田:ところでレースは土砂降りで、大変だったね(笑)。
TAKASHI:はい。かなり雨が強かったから
「自分は走らないでいいのかな…」なんて思っていたんですが、しっかりエントリーされていて☔️
急いでホームセンターでビニールのカッパを買ってきたんですが、1周目でパ○ツまでずぶ濡れになりました🫣
山田:カートは低いから、地面からの水をフロントのタイヤが巻き上げて水をかぶるんですよ。だから足首とか、お腹周りはきっちり防水しないと大変なことになる(笑)💦
TAKASHI:先に教えてくださいよ~(泣。
山田:ごめんごめん。他のチームになっちゃったから、話すことができなかったんだよ。雨のカートはどうだった?
TAKASHI:生まれて初めて、しかもかなりのヘビーウェットを走ったんですけど、やっぱりドライとは違いますね。
山田:東京シティサーキットのEVカートは、前に乗ったことあるもんね。
でも意外と、グリップしたでしょ?
TAKASHI:はい。ミゾなしのスリックタイヤなのに、驚きました。
山田:EVカートは普通のカートと比べて重たいから、タイヤに
“面圧”が掛かりやすいんだろうね。あとは速度も速すぎないから、
ハイドロプレーンが起こりにくいんだと思う。
TAKASHI:でもドライだと70km/h近くでますよ?
山田:100ccのエンジンカートだと、直線によっては100km/h近く出るからね。
TAKASHI:失敗するとアンダーステアやオーバーステアがハッキリ出るので、難しいけれど勉強になりました。
山田:速度も低いから、安全に色々試せるしね。
TAKASHI:好んで雨の時に走ろうとは思わないですが(笑)、それだけに貴重な体験ができました!
山田:ところで予選はどうだったの?
TAKASHI:前が詰まってしまったのと、黄旗が出てしまったので45秒668でした……。でも予選グリッドを決めるプレ耐久は1位になりました!!
山田さんはどうでしたか?
山田:私も予選は前との間隔を空けたんだけど、追いついてしまって42秒153でした。
TAKASHI:
うぐぐ……ぐやしい。総合でも12番手じゃないですか!
山田:ビミョー(汗。一応メディアチームではトップだったよ(笑)。
でもさ、カートは個体差もあるから。こういう厳密性が低いときは、純粋に楽しむのが一番! そしてくれぐれも、安全に。
TAKASHI:安全性といえば、
「FCY(フルコースイエロー)」は画期的でしたね!
山田:だよね! 誰かがスピンしたりクラッシュしたら、スピードリミッターが自動で掛かるのは安全だし新鮮。EVカートだからこそできる制御だね⚠️
TAKASHI:実は私、レース中にスピンしました(汗。
幸いクラッシュはしませんでしたけど、コースを区切っている樹脂製のボックスも面白いですね。
山田:あれならコースレイアウトを変えやすいし、万が一ぶつかったときも衝撃を和らげてくれそうだよね。適度に動きそうだからマシンも人も、ダメージを受けにくそう。
TAKASHI:だんだんインが広がってきたり……(笑)。
雨でも縁石をまたぐわけじゃないから、カートもコースアウトしにくいですよね。
山田:ギリギリを攻めたときに
“チッ チッ!”でタイヤを擦るのが刺激的(笑)。
あとEVはカートも市販車と同じでトルクがリニアに立ち上がるから、走らせやすいよね。
TAKASHI:はい。ガソリンのレンタルカートだと、一回アクセルを抜いてしまうと加速するまで時間が掛かるけど、EVはリカバリーもしやすいし。すごく繊細な操作も受け付けてくれるから、走らせていてどんどん楽しくなって行きますよね。
でも、決勝レースで山田さんのチームに負けちゃったのは悔しかったなぁ。
山田:
桂伸一先輩と、カー&ドライバー誌の山本義隆統括編集長、鈴鹿で走りを鍛えたシニアカーターの方々のおかげで、3位になれました。えっへん。
TAKASHI:でも、すごく嬉しかったのは後ろから琢磨選手が迫ってきたんですよ!
「うわぁ! 佐藤琢磨キターーーーッ!」って、ドキドキしました。
山田:追いかけられて喜ぶってのもなんだかすごいな(笑)。
でもさ、佐藤琢磨選手ってすごいよね。今回なんかひとりで耐久レース走ったでしょ? あれって結局、全てのドライバーと一緒に走ったということじゃん。
あと琢磨選手は
「Takuma KID's Kart Challenge」という活動もして、若い子供達にチャンスを与えている。
TAKASHI:もともとは、東日本大震災の復興チャリティとして始まった活動なんですよね?
山田:うん。最初は震災で被害を受けた子供たちに運動をさせてあげたくて、色々なジャンルのサポートをしてて、カートもそのうちのひとつだったみたい。
いまは全国のサーキットでレンタルカートのタイムアタックをしてもらって、ファイナルステージ(モビリティリゾートもてぎ)を勝ち進んだ選手にスカラシップを与えて、レーシングドライバーへの道を開こうとしているみたいだよ。
TAKASHI:鈴鹿サーキットレーシングスクールの校長先生もやっているのに、すごいですね。
山田:あっちは小さい頃から英才教育を受けてきたサラブレッドたちの学校。キッズチャレンジはそういう経済的な余裕がない子供たちに、夢を与える活動だと言えるよね。
TAKASHI:だからこそ、角田選手のようなドライバーが育つんですよね。
今年もインディ500、応援しなきゃ!!
写真:(C)SPORTS BIZ