
みなさんゴキゲンよう!
モータージャーナリストの山田弘樹(やまだ・こうき)です。
千里の道も、一歩から。初心者でもクルマを目一杯楽しんで、最後の最後は「ニュルブルクリンクへ走りに行こう!」というこのコラム。
今回は、先日開催された「メディア対抗ロードスター 4時間耐久レース(メディア4耐)」を振り返ります。TAKASHI君はなんと3位表彰台を獲得しちゃいました!
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編集部TAKASHI(以下・TAKASHI):
やった、やりました! メディア4耐で、3位表彰台を獲得しましたッ!!
山田弘樹(以下・山田):おめでとう! でもくやしー!
carview!/みんカラチームは2022年にも3位を獲得しているし、強いね。そして今年はTAKASHI君が初めて予選に挑んでの3位だから、嬉しかったでしょう。キンチョーした!?
TAKASHI:もう、心臓バクバクでした!
山田:朝から顔色、悪かったもんね(笑)。私も緊張しぃだから、その気持ちわかります。
TAKASHI:でも、終わってみたらやっぱり悔しくて……。自分の実力不足を痛感しました……。
予選順位が12番手だったことよりも、あと0.22秒早く走って13秒台を切りたかった。そして一緒に練習していた
『CAR and DRIVER』統括編集長の山本善隆さん(♯44 C&DロードスターCNFコンセプト)に、1/1000秒まで同タイムで負けてしまったのが、一番悔しかったです!
山田:結果的にすごく楽しめたからいいじゃない。
初めての予選は、何が難しかった?
TAKASHI:タイムが出るのは最初の1~2周目だとわかっていたんですが、練習走行は今回新たに起用した助っ人2名に乗ってもらったのでぶっつけ本番状態だったんですよね…。
普段からロードスターに乗っているとはいえ、マイチェンした新型でサーキットを走るのは初めてですし、力んでミスをするわ、クルマにアジャストできないままタイヤの美味しいところが終わってしまった感じです……。
山田:
「RE004 Adrenalin」は、2アタックした後もうまくタイヤが冷やせれば、またタイム出せるんだけど。そうした判断も、初めてだと難しいよね。
TAKASHI:
「いま何秒ですか!?」「順位は何番手!?」って無線でやり取りして、タイムが全然上がらずひとりで焦ってました(笑)。でもこれも経験ですね。決勝はそこそこいいペースで走れたのですが、予選は予選の練習が必要なのかも。
ところで山田さん(#777 ルボランスポーツ・ロードスター)は、予選走らなかったんですか?
山田:今年はウチも、編集部の下江君にアタックしてもらいました。同じく予選の特別な雰囲気を、味わってもらいたかったんだ。
結果は17位でちょっと残念な感じだったけど、楽しんでもらえたと思うな。練習走行ではそこそこ行けそうだったんだけどなぁ。
TAKASHI:でも決勝は6位入賞だから、すごいじゃないですか!
山田:なんか、余裕のコメントだね…。
TAKASHI:そんなことないですよ!(ニヤニヤ)
山田:これでもウチにだって作戦があったからね。
今年は1分30秒のハンディだったので、早めにピットインしてこれを消化したんだ。
TAKASHI:そうすればコースがクリアになるからですか?
山田:そう。コンスタントに走れたら、燃費が安定するからね。
TAKASHI:今年は
CNF(カーボンニュートラル燃料)の使用で、燃費が5%くらい落ちるという情報がマツダからもありましたもんね。
山田:うん。今まで以上に燃費が苦しくなるから、最大限に効率のよいところで走らせることが何より大切だと考えたんだ。
マシンも新型型に変わって、すごく安定していたしね。
TAKASHI:確かに後半から雨が降っても、セーフティカーは一度も入りませんでしたもんね。私も「DSC-TRACK」で走って、何度も助けられました!
山田:それって、すごいことだと思うよ。DSC-TRACKは簡単にいうと回避できないほどのスピン状態になったときにだけ助けてくれる制御だから、何度も助けられたということは……。
TAKASHI:それだけクラッシュの危険を免れることができたということですモンね……。何回か横向きかけてチビりそうになりました(汗)。
山田:でもその“ギリギリのところ”を体験することが、上達への道だから。そこを安全に学べるようになったのは、とてもいいことだと思うな。
TAKASHI:うちのチームは今年ハンディがなかったんですけど、1分30秒のロスを克服する秘訣はなんですか?
山田:あっ、来年の心配してるな?
TAKASHI:へへへ。
山田:今年は初めてCNFを使ったレースだったから、データ取りも含めてとにかく想定した燃費を絶対守ることにしたんだ。
TAKASHI:それで想定したタイムが出なかったら?
山田:無線で
「燃費は落とさず、タイムあげろ!」って言う(笑)。
TAKASHI:うはー、昭和のスポコン漫画みたいですね(笑)。
山田:もちろん雨が降ったら踏めるようになるから、その都度回転数の指示は変えたけどね。
ただ大切なのは極端に言うと勝つことじゃなくて、自分たちの持ってるパフォーマンスで、どれだけ想定した目標に近づけるか? だと思ったんだ。それが今年のテーマ。
TAKASHI:なるほど、そこに向かって努力するのが楽しいということですね?
山田:そう。燃費走行なら全開アタックよりも緊張感は低いから、走りに対して工夫をして行く余裕もあるでしょ?
ピットだって、前後の状況や路面コンディションに対して、どうやって指示を出すか考えないといけない。
それでも終盤まで順位が上がって行かないのには、ドキドキしたよ。
TAKASHI:でも見事にゴール間際になって、ガス欠で止まるクルマが続出しましたよね。
山田:今年は第3スティントとアンカーを走ったんだけど、どんどん順位が上がっていって、さらにドキドキした(笑)。
「こりゃなんとしてもゴールしなきゃ!」って。
TAKASHI:私も最後は
「航続可能距離:0km」って表示されてドキドキでした(笑)。
山田さんのチームはドラマありました?
山田:前とはすでにかなり差があったんだけど、後ろからジャーナリストの重鎮チーム
“頑固一徹ロードスター”の桂(伸一)選手が怒涛の追い上げをしてきたんだ。
最初は
「12秒あるから大丈夫」って言われていたのが
「6秒になったよ。でもまだ大丈夫」となって、
「3秒だから絶対抜かれんな!」に変わったときは焦ったわ(笑)。
TAKASHI:で、どうなったんですか!?
山田:最後はガス欠されたようで、そのまま逃げ切らせて頂きました!
7位でゴールだったけど、みんな目標に向かってがんばった結果だったから、チームもすごく喜んでいた。そしてゴールしたらなぜか、6位入賞になってました。
TAKASHI:最初から自分たちで目標をシッカリ定めて、そこにどれだけ近づけたかが実感できたら、レースってすごく充実するんですね。勉強になりました!
山田:来年はハンディ大きいから大変だよ?
TAKASHI:そのためにどうしたらいいのか、今から考えなきゃ!
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山田弘樹(やまだ こうき)モータージャーナリスト
自動車雑誌「Tipo」の副編集長を経てフリーランスに。編集部在籍時代に参戦した「VW GTi CUP」からレース活動も始め、各種ワンメイクレースやスーパー耐久に参戦。
こうした経験を活かし、現在はモータージャーナリストとして執筆活動中。愛車は86年式のAE86(通称ハチロク)と、95年式の911カレラ(Type993)。
日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
A.J.A.J.(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。