
みなさんごきげんよう!
モータージャーナリストの山田弘樹(やまだ・こうき)です。
クルマ好きの、クルマ好きによる、クルマ好きのためのコラム「そうだ、ニュルへ行こうよ!」。
第4回目となった今回は、みんカラスタッフTAKASHI君と一緒にとあるクルマイベントに参加してきました。
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山田弘樹(以下・山田):今日は横浜にあるマツダR&Dで、
「beecar」(ビーカー)さんのイベントがあるというので、おじゃましてみることにしました!
TAKASHI:はい。beecarさんは
「女性の車のある暮らしを応援するサイト」ということですが、どうして山田さんがこのイベントを取材しようと思ったんですか?
山田:編集長の鈴木珠美さんは、もともと自動車雑誌やモータースポーツ誌で編集をしていた方なんですよ。あと実はボクの奥さんも、今回のイベントはお手伝いしていて。
クルマってどうしても男性中心の社会になりがちだけど、
女性だって、気兼ねなく愛車との生活を楽しもう! というのがbeecarのコンセプトで、これって
"みんじど"にも共通するものがあるんじゃないかな? って思ったんだ。
TAKASHI:確かにボクたちも
「初心者だって、クルマの運転楽しもう!」がコンセプトですからね。
山田:そうなんだよ。あくまで志は高く、
「ニュルへ行こう!」だけどね(笑)。
というわけで今日一日イベントを見ながら、最後は鈴木編集長にインタビューをしようと思ったわけです。
TAKASHI:なるほど。それではさっそく行ってみましょう!
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まずは当日の様子をダイジェストでご紹介!
当日は、抽選で選ばれた20名の女性オーナーがイベントに参加。
クラシックカーからスポーツカー、SUVや希少モデルまで参加車種はバラエティ豊か。
まずは自己紹介。初対面の人も多い中、クルマのエピソードでスタートから大盛り上がり!
イベントのメインコンテンツは、ロードスター「990S」と「RF」の試乗。
どちらか好きな方を選び、マツダR&Dの敷地内で試乗した。
あいにくの天候だったけれど午後には雨脚が弱まり、幌やリトラクタブルハードトップを開けて試乗することができた。
ロードスターオーナーも2名参加していたが、990Sの操作感の軽さや、走り味の違いは新鮮だったようだ。
イベントではマツダ広報部の方々も、参加車のみなさんと触れあいながらロードスターの魅力を沢山伝えてくれた。
写真右の田中秀昭さんは、実はあの伝説のクラブスポーツ「M2 1028」の開発メンバーだった方。NDでも1028をもう一度出してください!
女子会のイベントだというのに、TAKASHI君も試乗。なんとロードスターRFに乗るのは初めてで、しかも田中さんが助手席! 「クローズドボディもいいですね!」とコメント。
参加者同士でクルマ談義に花が咲く。
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TAKASHI:今日はあいにくの天気になってしまいましたけれど、参加しているクルマたちはどれも個性的ですね!
山田:赤いポロなんて、「わかってるな~!」って思う。このサイズは街中で本当に運転しやすいし、ポロは高速道路でも安心感が高いからね。
Bセグのコンパクトカーが多いのは予想できたけれど、その中でアバルトやスイスポを選ぶ当たりも、さすがという感じ。みんなレベル高いなぁ。
TAKASHI:スイスポの方は自己紹介のとき、
「イニシャルDに憧れて、どうしてもマニュアル車に乗りたかった」って言ってましたよね。
山田:うん。そしたら
「お父さんがスイフトスポーツがいいんじゃない?」って勧めてくれたって。これってさ……。
TAKASHI:絶対お父さんも、乗りたかったはずですよね! あと、BMWのM2クーペもいますよ。
TAKASHI:これ、M2はM2でも450馬力の「Competition」だよ!? 女子でこれは、カッコ良すぎるよ。
あとSUVでもさ、アルファロメオのステルヴィオを選んでしまうあたりも素晴らしい!
ちなみにオーナーさんたちの紹介は
beecarのインスタでもアップされているし、イベントレポートの詳細も
ホームページに載ると思います。
TAKASHI:ロードスターの試乗も、みなさん喜んでましたね。
山田:うん。既にNDを持っている人たちでさえ、990Sの素直なハンドリングレスポンスには驚いていたよね。
あと面白かったのが、
「旦那さんにND買うのだめと言われた」という話。
TAKASHI:ボクなんか必死で奥さん説得しましたけどね!
山田:普通そうだよね(笑)。なんでも、旦那さんが助手席乗るとちょっと足下が狭いんだって。
確かに助手席座ってみると、トーボードの辺りが傾斜していて足の長い人だと窮屈なんだよ(残念ながらボクは平気ですが!笑)。試乗していても助手席に座ることなんてないから、気付かなかったよ。
TAKASHI:確かに。でも奥さんが「ロードスター買おうよ!」なんて言ってくれるの、普通の家庭なら羨ましいですよね。
山田:ところでこのイベントさ、とても雰囲気がいいよね。
TAKASHI:そうなんですよ。試乗を待っている間、愛車の周りでおしゃべりしていたり、すごく自然に楽しんでいますよね。敷居が低いというより、敷居そのものがない感じ。そこが女子力なんでしょうか?
山田:確かに男性中心だと、どうしても珍しいクルマとか、すごいクルマに注目が集まりがちだよね。行き過ぎるとそれが、マウントっぽくなっちゃうときもあるし。
TAKASHI:すごいクルマじゃないと、イベント行けないみたいな。
山田:それじゃツマラナイよね!
さっきなんか
「この空冷ビートル、エンジンオイル何リットルくらい入るんですか?」って聞いたら、
「それはお父さんがやってくれているからわかりません!」って笑顔で言われたんだけど、話していてすごく楽しかったもん。
TAKASHI:あ、娘さんが最初にVWタイプ3ヴァリアントに一目ぼれして、お父さんと一緒に空冷ワーゲンに乗り始めて、お母さんも影響されてビートルに乗られた方ですね?
山田:そうそう。クルマに詳しくなくても、いいんだよ。
きっと彼女たちの間では、改造箇所とか馬力とかよりも、愛車のどこが好きで、普段どういう風に使っているかを話し合う方が楽しいんだと思う。
TAKASHI:"みんじど"で走りのイベントをやるなら、こんな風にやりたいです。ビギナーが安心して参加できて、心から楽しめるものにしたいんですよね。
山田:そうだよね。「サーキットを走ってみたいけど、そこまで行く勇気がない」という人たちに、クルマで走る楽しさを教えてあげなきゃね。
TAKASHI:今回はとっても、勉強になりました。
山田:でしょ!?
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最後に「beecar女子会♪ オトナの夏休み」主催者である、beecarマガジン編集長・鈴木珠美さんにもインタビューをしてみました。
ーーーーーーお久しぶりです。beecarでは、こうしたイベントを定期的に行っているのですか?
鈴木珠美さん(以下・鈴木):beecarとしては3度目で、コロナ禍後は、初めてのイベントですね。
それまではbeecarの前身となっていた女性ドライバーを応援するサイト「カーユニウーマン」や、車好き女性ドライバーのコミュニティ「とんがりガールズ」などで定期的にイベントをやっていました。
カー用品店の屋上を使わせて頂いたり、道の駅のスペースを借りて。「ストレッチとマイカーとランチ」というイベントをやっていましたね(鈴木さんは「ゆるトレ」のインストラクター)。
ーーーーーーbeecarのコンセプトは何ですか?
鈴木:ふたつあります。ひとつは、マイカーを大事にしている女性たちの輪を広げて行くこと。
もうひとつは、彼女たちの愛車や愛車とのライフスタイル、どうしてそのクルマを選んだのか? を伝えることで、まだ運命的な出会いをしていない女性たちが愛車に出会うきっかけを作りたいと思っています。
ーーーーーーー運命的な出会い?
鈴木:はい。クルマとの生活を楽しむ上で一番大切なのは、愛車に巡り会えることだと私は思うんです。
ーーーーーーーなるほど。では、beecarをはじめたきっかけについて教えて頂けますか?
鈴木:さきほどんもお話したのですが、「カーユニウーマン」や「とんがりガールズ」は、検索率も大きいサイトでありそこそこ大きい集まりだったんです。
でもイベントを重ねていくうちに、「クルマをいじらないと入っちゃいけないんじゃないだろうか」とか「自分は免許取り立てだから、参加しちゃいけないんじゃないのかな?」とか、「私はホイールも換えてないからイベントには行けない」と思う人たちが手出てきてしまったんですね。
自分としては別に分けているわけじゃないんだけど、垣根のようなものができていた。それならもう一度、一新して始めよう! と作り直したのが「beecar」なんです。
「クルマには詳しくないけれど、マイカーが好き」っていう女性の輪を、もっと広げようと思いました。
ーーーーーーーまさに今日の僕たちが取材しているページも、そうなんですよ。
鈴木:そうなんですか? 「みんカラ」って言ったら、
トップ・オブ・マニアの人たちの集まりですよね?(笑)
ーーーーーーーいやいや、「みんカラ」で既に自分で愛車をばりばりイジッて、サーキット走行を楽しんでいる方たちは、もう安心なんです。
そうじゃなくて、「本当はみんなのように走ってみたいけど、自信ないな…」という人たちに、ステップを踏ませてあげたいんです。クルマで走る楽しさを、教えてあげたい。
だから今日は、とても勉強になりました。
鈴木:それは良かったです! ところで今日は参加車の方達とお話されました?
ーーーーー少しだけ……。
鈴木:全然遠慮しないでいいんですよ?(笑)
ーーーーーそこはまだ、女子との壁があったりして……というのは冗談ですが、今回は女子会を見学したいと思いました。女性が純粋にクルマを楽しんでいる様子を見てみたかったので。
鈴木:確かに女子校のノリですよね。誰に自慢するわけでもなくというか、なんというか(笑)。
ーーーーーーそうなんですよ。そこにヒントがあると思ったんです。
鈴木:確かにbeecarをやっていると、女性の生の声が拾えるんですよね。私は普段、仕事としてはカー用品店のアドバイザーとか、メーカーさんのコンテンツとかを造っているんですが、ここでも沢山のアイデアが生かせるんです。本当にリアルな声を拾って行かないと、現実って実は乖離してしまうところがあるので。
たとえば若い男性も、クルマを走らせるだけじゃなくて、女性と同じような感覚で「カフェ巡り」ができる方もいるんです。かたや女性でも、イニシャルDから始まって峠めぐりしてたら、今は袖ケ浦のライセンス取ってサーキットを走っていた、というパターンも。
beecarとしてはその愛車とのカーライフの「入り口」を、作り続けて行こうと思っています。そこから育って、それぞれの楽しみ方を見つけてもらえれば嬉しい。
ーーーーーーーでは最後に。「クルマで走ってみたいけど、自信がない」と思っている人たちに何かアドバイスを。
鈴木:サーキットですか?
ーーーーーーーーいや、いきなりサーキットじゃなくても。まずは走ることに興味をもって知って欲しいなと。
鈴木:まずは
「マイカー・ラブ」になることですね!
マイカーが大好き。駐車場に停まっているのを、見るのだけで嬉しい。そうなると自然と「まずは洗ってみよう」となるし、「どこかへ行ってみよう!」って思うようになりますよね?
走ることも同じで、自分のクルマを大好きになると、上手に運転したくなると思うんです。
ーーーーーーーークルマと対話できたら嬉しいなって思いますよね。
鈴木:そうそう。そういう意味でいうと、好きになるクルマも重要です。たとえば今日来ている595オーナーの子なんかは、アバルトが好きになったから、サーキットまで走るようになったんですよ。
ーーーーーーーーなるほど。そういうパターンもあるんですね。
鈴木:だからぜひ、相思相愛のクルマを手に入れてください。
今日いるメンバーも、最初からクルマ好きだったのほんの一握りなんです。今のクルマと出会ったから、クルマが好きになったんですよ。
<鈴木珠美さん愛車紹介>
鈴木さんの愛車は平成25年式の「シトロエン DS3 Racing」。当時WRCに参戦していたシトロエン・レーシング自らがチューニングした限定車で、搭載される1.6直列4気筒ターボはオリジナルの156PSを207PSまで出力アップ。足周りは15mmのローダウンと共に剛性が高められ、トレッドも30mm広げられている。
このDS3を手に入れた理由は、珠美さんいわく「当時色々なFF車に乗っていたけれど、メーカーがチューニングしたクルマってどんな乗り味なんだろう? と気になって」とのこと。そして実際に乗ってみたら「サスペンションとかエンジンのフィーリングが、走らせた瞬間から気に入ってしまって」そのままずっと乗り続けているのだという。
マニュアルシフトのレザーがつるつるになるほどお気に入りの愛車だ。ちなみにわたくし山田の奥さんは、このベースモデルであるDS3に乗ってます(笑)。
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山田弘樹(やまだ こうき)モータージャーナリスト
自動車雑誌「Tipo」の副編集長を経てフリーランスに。編集部在籍時代に参戦した「VW GTi CUP」からレース活動も始め、各種ワンメイクレースやスーパー耐久に参戦。
こうした経験を活かし、現在はモータージャーナリストとして執筆活動中。愛車は86年式のAE86(通称ハチロク)と、95年式の911カレラ(Type993)。
日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
A.J.A.J.(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。