
みなさんゴキゲンよう!
モータージャーナリストの山田弘樹(やまだ・こうき)です。
千里の道も、一歩から。初心者でもクルマを目一杯楽しんで、最後の最後は「ニュルブルクリンクへ走りに行こう!」というこのコラム。
今回はワタクシ山田が、この時期ならではの氷上トレーニングに行ってきたお話です。そこで出会った「FRプレオ」が衝撃的でしたよ。
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山田弘樹(以下・山田):突然ですが、
八千穂レイクに行ってきましたッ!
編集部TAKASHI(以下・TAKASHI):ホント、突然過ぎますよ〜!
氷上トレーニング、私も行きたかった…😭😭😭
山田:ごめんごめん(笑)。大井(貴之)さんに、突然
「走りに来ない~?」って言われたんだよ。自分でも久しぶりだったから、なんとしても行きたかったんだ。
TAKASHI:でも、山田さんは雪上試乗会にも沢山行きますよね。それでも行きたいと思わせる魅力が、氷上にはあるんですか?
山田:試乗会は、お仕事だもん。もちろん雪上を走るのは楽しいけど、試乗会で一番大切なのはタイヤやクルマの性能をチェックすることだからね。
TAKASHI:確かに。
山田:でも氷上トレーニングは、自分のクルマで走れるでしょ? それにドライ路面ではできないことが、色々試せる。
あと純粋な氷上を走れる機会って、なかなかないよ。クルマで走るのが許されている湖って、八千穂レイクと女神湖くらいじゃない? どちらも運営は大変だと思うけど、続けて欲しいよね。
TAKASHI:温暖化のせいなのか、氷が張らなくなってきたって言いますしね。うー、ますます行きたかったっ!
改めてなんですが、氷上って自分も2回くらいしか走ったことないんですけど、具体的にはどういうところがいいんですか?
山田:とにかく低い速度で、ハイスピード領域で起こる挙動を体験できることだよね。路面状況にもよるけど、スピードなんて30km/hくらいしか出ないよ。
TAKASHI:確かにそうでした! 雪上よりも全然速度が低いんですよね。そして、すっごく滑る!!
山田:それでも、リスクがないわけじゃないからね。
八千穂の場合はコースが雪で区切られているし、凍った雪カベに当たればクルマが傷付くこともある。決して
「当たり放題」ってわけじゃないからね。
TAKASHI:そこは、真面目に走らないとダメってことですね。でも、やっぱり普通にサーキットを走るよりもリスクは少ないですよね。
山田:うん。タイヤも減らないし、ブレーキも消耗しない。
TAKASHI:ガソリンは?
山田:今回なんて一日たっぷり走って、赤パンで満タンからひと目盛り減ったくらいだったよ。
TAKASHI:それは最高ですね! 最近ガソリン高いし…☠️
山田:むしろ気をつけなければいけないのは、自分。
スタックしてクルマから降りようとした時とか、他の人を助けに行こうとした時に、慌てると転んでしまうんだ。頭を打ったり、手首を骨折して救急車で運ばれてしまうことも、実際にあるんだよ。
だからボクは、こういうの履きました。
TAKASHI:おぉ! 最近の滑り止めはスタッドレスなんですね!? 使い心地はどうでした?
山田:ゴムが柔らかくて、かなりきちんとグリップしてくれます。スタッドレスって、こんな感じなんだな~って思った(笑)。
TAKASHI:ところで八千穂には
“赤パン”で行ったんですか? いくら速度が低いとはいえ、やっぱりもったいなくないですか? 道中の融雪剤とかも心配に…。
※赤パン:山田さんの愛車“赤いパンダトレノ”
山田:確かに、知り合いからは
「もったいない、錆びちゃいますよ!」って言われた。でも、
赤パンは“ハチロク”だから。
やっぱり元気に走らせないと。
一緒に行った友達にも運転させて、雪カベに突っ込んでたな(笑)。
TAKASHI:心臓に悪い…😱
山田:あとね、当日は面白いクルマに乗ったよ。なんと
「FRのプレオ」。
TAKASHI:あっ、噂で聞いたことあります!
4WDの軽自動車からフロントのドライブシャフトを取ってFRにしちゃうヤツですね!?
山田:そうそう。
横置きエンジンのFR!(笑)。
TAKASHI:横置きFRって響きにロマンがありますね(笑)。走りはどうだったんですか?
山田:それがね、すごくきちんと出来てるんだ。正直なところ、
赤パンよりもシャキッとしてた(汗。
特にこのプレオは2ドアボディだから、
4WDでも車重が800kg切っちゃうんだよ。
TAKASHI:ロールとか激しくないんですか? カーブで転んじゃいそう…。
山田:それが足周りもシッカリしててさ。プレオってもともとハンドルがすごく切れるみたいで、スピンしないんだよ。
自分がうまくなっちゃったかと思った。もう、走っている間笑いっぱなし。
オーナーの久我さんいわく、
「純正の足周りでジムカーナを走っても、まったく問題なかったです!」って。サーキットを走れる仕様の足回りにもできて、それで鈴鹿のフルコース走ったら、コーナリングスピードが速すぎてアタマの血が偏ったらしい(爆)。
TAKASHI:うわーそれヤバ過ぎじゃないですか(笑)。ちなみに、どのくらいの予算でクルマ作れるんですか…?(前のめり)
山田:久我さんは最初からきちんと走りたかったから、ショップさんのコンプリートカーを購入して200万円くらいだったみたい。ちなみに購入したお店は静岡の
「チキンカーズジャパン」さんとのことです。
オーナーの久我さん
TAKASHI:うっ、思ってたよりちょっと高い…(汗。
山田:だってこれは、チキンカーズジャパンさんがデモカーとしてきちんと作ったクルマだったからね。プライベーターでやればもっと安くできるよ。でもこっちの方がいいと思うけど(笑)。
TAKASHI:なるほど、直ぐに走り出せるクルマと考えれば賢い選択なんですね。徐々に手をかけていく楽しみもいいですが、最初からコンプリートされていた方が結果的にラクなのかも。
山田:そうそう。構造的には4WDのドライブシャフトを取っちゃうわけだけど、溶接しないでもセンターデフロックできるパーツとか、強化されたトランスファを最初から組み込んでくれてるんだ。
あとダイハツのギアをうまく組み合わせるとクロスレシオになるみたいで、すごく楽しいんだよ。正にね、現代版のKP61スターレットといった感じ!
TAKASHI:ふむふむ……プロバイルという会社からパーツがキット化されてるみたいですね。ということは、やる気になれば自分たちでもクルマ作れそうですねぇ。
山田:プレオの中古車、MTだとタマ数はそんなに多くないみただけど安いよね。あとはミラとかFR化してる人たちもいるみたい。ダイハツ系ならできちゃうんだろうね。
TAKASHI:うわー、これってまさに我々(みんじどコラム)が求めていたクルマじゃないですか!!!! 乗ってみたいいいいいいい!!!!!
山田:なんかレースとかもあるみたいだし、軽4GPとかにも出られたら面白いかもね。カービューチームで1台作ってみたらいいんじゃない?
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山田弘樹(やまだ こうき)モータージャーナリスト
自動車雑誌「Tipo」の副編集長を経てフリーランスに。編集部在籍時代に参戦した「VW GTi CUP」からレース活動も始め、各種ワンメイクレースやスーパー耐久に参戦。
こうした経験を活かし、現在はモータージャーナリストとして執筆活動中。愛車は86年式のAE86(通称ハチロク)と、95年式の911カレラ(Type993)。
日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
A.J.A.J.(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。