
日産の新型車ジュークに試乗してきました。
試乗グレード:15RX
トランスミッション:CVT/FF
ボディカラー:ダイヤモンドシルバー
天気:晴れ
・ROCK'N'SMALL
2009年、ジュネーブショーにて"カザーナ"と呼ばれるコンセプトカーが公開された。
奇抜なデザインのSUVで観音開きが特徴的ないかにもコンセプトカーという車だ。
そのカザーナの市販車がこのジュークだ。
単なるデュアリスの下のクルマじゃなく、
「小さいけど、凄く存在感がある。例えば隣に『カイエン』が来ても全然見劣りしない強い存在感を持ったクルマを目指しています」と開発陣の弁だ。
さらに言えばSUVではなくコンパクトカーのカテゴリーに属している様子。
そんなジュークに試乗してきた。
・コンセプトカーに近いエクステリア
まず全体印象は写真より凝縮された印象だ。コンパクト塊感があるデザインながら決して迫力で見劣りするものではない。
フロントはライトが特徴的だ。
フェンダーの小さいランプはポジション灯、ウィンカーなどのコンビランプで下の丸いのがヘッドライトだ。
サイドから見ると思ったより低い背だなぁって印象、ルーフはリアに向かってなだらかに傾斜している。
フェンダーの盛り上がりも力強い。リアのドアハンドルはクーペのようにピラーにビルトインされている。
リアビューで目を引くのはリアコンビランプ、ブーメランの形状していてZ34フェアレディZに似ている。
他にもところどころにZを意識したかのような部分が見受けられる。
カラーは7色と控えめな方であるがツボを抑えた選択肢だと思う。ラディアントレッドという赤色がイメージカラーのようだがこの色だとリアコンビランプのブーメランが分かりづらいというのもある。
個人的にはダークメタルグレーが好みかも。
・クーペのような感覚
座ってみるとSUVには思えない包まれ感がある。ヘッドスペースも余裕があるわけではなくクーペに近いかもしれないな。
しかしヒップポイントはSUV系のクルマとしては低い邦画だ、車高の兼ね合いもあり取り分けて低いというわけではないのでやはりクーペとは違う。
趣味性にこだわったコンパクトという位置が近いと思う。
3本スポークの本革ステアリング、シフトレバーとサイドブレーキの位置、黒基調または黒+赤の内装色、メーターバイザーとデザインなんかスポーツ性を強く意識しているようだ。
インパネのインテリジェントコントロールディスプレイもトピックの一つ。
ドライブモードコントロールとセットアップインフォメーションを扱え、ボタンひとつでエアコンと切り替える。
使い勝手は正直微妙だ。ドライブモードだけ別個の位置、例えばシフトの傍とかに置いたほうが個人的には良いとは思う。
ただディスプレイにSPORTとか出る演出面では悪くない。CR-Zといい最近のクルマはこういった演出をこだわることが多い。
内装色はどちらの色も体感したがどちらもクルマの雰囲気に合っていて良い感じである。
品質が高くセンターコンソールの塗装などはクラス以上の質感、このあたりは価格を抑えつつよくやったと思う。
デザインはバイクをモチーフにしているところも多い。
例えばセンターコンソール、こちらはバイクのタンクをイメージしている、独立2眼メーターやメーターバイザーもバイクのイメージが強い。
ただドアハンドルはZに近い印象だ。
シートは特に不満はない。ちょっとホールド感に薄い感もするが別に走りを極めるクルマではないからこの程度でも十分だと思う。
ヘッドスペースは前席は広いとまでは言わないがそこまで低いわけでもない。ただし後席はクーペのように狭い。着座位置もあるだろうがヘッドスペース自体はZZTの後席と極端に変わらないくらい窮屈だと思う。
今の車にしては割り切りが気持ちいい。
シフト位置は手元に近いので操作しやすいのも評価ポイント、本当にクーペのような内装だ。
・軽快にかわす
JUKEの名前の由来は『(アメリカンフットボールなどにおいてディフェンスを)軽快にかわす』というところから来ている。
フットワークは思ったよりも軽い、と思ったが車重が見た目より軽い1170kg。これはZZTより30kg重いだけだからそれを考えるとまぁ妥当なのかな。
ステアリングフィールはしっかりとした手ごたえを感じるもので反応も比較的クイック。
小気味のいいハンドリングは結構気持ちが良かった。
ただしロール量は車高が高いこともあってやや大きめだったのは気になる点だ。
乗り心地は少し堅め、突き上げが強い気がした。ものすごく不満というわけではないがスプラッシュで感じた『堅いけど乗り心地がいい!』という感動には到底遠かった。
パワートレインはHR15DE、
既存のユニットだが新たな技術として
1.燃料噴射を1シリンダーあたり2本のインジェクターで行うデュアルインジェクターを採用し燃焼効率を安定化
2.可変バルブタイミング機構を従来の吸気側だけでなく排気側でも採用
2はトヨタでいう"DUAL VVT-i"だがこれを採用しパワーと燃費性能を両立を図っている。
114ps/15.3kgfというスペックで燃費が19.0km/Lはなかなか優秀かと思う。
トランスミッションは副変速機(2段変速)付の新世代エクストロニックCVT(ジャトコ製)を搭載している。
SPORTモードがやはり楽しい。
というよりほかのモードは補正をかけている感じがするのでこれが本来の姿だろうと思う。
レスポンスはまぁまぁいい。がやはりCVT感は否めない。踏んでからの加速のラグは少ないのだがそれは回転数が上がるのが早い感じで回転数に対してリニアに加速するわけでない。
最近のCVTとしては並に思える感じだ。
パワフルとまでは言いませんが元気がよくストレスのない走りは期待できそうです。
ノーマルは思ったより元気がない感じ。結構エコを優先しているのかもしれない。
エコモードではさらに元気がない。これはエコだな。意識しなくても20km/hを5秒かけて加速してくれるような感じです。
なので燃費は結構良いかもしれませんね。
ブレーキは初期制動が強めなタイプ、個人的には扱いにくいんですがよく利く感じはするので人によってはブレーキがよく利くクルマという評価を受けそう。
ただABSが利きはじめるのがとても速く感じた。
これは安全を意識したのか分からないがドライ路であそこまで早い(50km/hあたりからのフルブレーキで介入しているような気がした)のは気になった。
ただふな天の勘違いだったらいいのだが・・・
ブレーキのフィーリングは自分には合わなかった。
・デザイン、コスト、安全
これがデビューして一番話題になったのはVDC(横滑り防止装置)の日本仕様に設定がないこと
価格を抑えたかったのだろうがOP設定すらないのは疑問、同価格帯のコンパクトはOP設定くらいはしている。
ヨーロッパでは標準らしいのはマーケットの違いだと思う。
確かに主婦でも200km/hで走る機会のある欧州と高速が100km/h程度の日本では事情は違うだろうがせめて日本仕様にもOP設定してほしかったところだ。
しかしコストは評価できる。趣味性の強いクルマながらヴィッツRSやデミオスポルトとさして変わらない。
デザインが個性的なのでそれが気に入ったら購入しても間違いはないとは思う。
1.6Lターボの設定も今後あるのでそれにも乗ってみたいですね。
個人的にはこれをベースにクーペを作ったらいいんじゃないか?と思う。
日産のクーペは受けが良いと思うのでゴーン社長には是非作ってほしいと言いたいです。