新型オーリスRS試乗記
試乗グレード:RS”S Package”
トランスミッション:6MT/FF
ボディカラー:レッドマイカメタリック
天気:晴れ
およそ40分の試乗。
・激戦区に挑む欧州カローラの末裔
(写真はMEGAWEBに展示されていたシャア専用オーリス)
今のヨーロッパ圏で最も重要なポジションであり中心的かつ最も激戦区なCセグメントハッチバック。
欧州車なら王者VW・ゴルフを筆頭にアルファ・ロメオ ジュリエッタ、ルノー・メガーヌ、アウディA3、BMW1シリーズ、ベンツAクラス、プジョー・308、シトロエン・C4など
国産車ではアクセラ、インプレッサスポーツ、シビック、そしてティーダを統合した新型ノート。
どの車種もスタンダードな魅力だったり、個性的な魅力だったりを兼ね備えた強力なライバルたちである。
その激戦区に投入されたのがカローラハッチバック系の後継車であるオーリスだ。
そしてそのオーリスが今回フルモデルチェンジを行った。そのオーリスの最強スポーツグレードであるRSに今回試乗してきた。
・常識に尻を向けろ!
美人なお姉さんが服を脱ぎながらオーリスに近づいて振り返るとなんと男だったというセンセーショナルなCMは記憶に新しいと思う。
そんなオーリスのエクステリアデザインだが、所見の印象はよくわからないって感じである。
なんだよその訳の分からないコメントは!と言われそうだが、コンパクトに塊感を出したいのか、キャラクターラインを際立たせたいのか、ねらいどころがよくわからないのだ。
分かってることはキーンルックと呼ばれる最近のトヨタに共通するV字の切れ上がった造型であること、
そして背を下げ『スマートダイナミズム』と呼ばれるデザインテーマに沿ったスポーティなものを目指したということか・・・
確かに先代に比べて大きく変わっており本当に別のクルマに見える。
そして最近街中でも見かけるのが多くなったが、目立ち迫力があっていかついという感じがあり個性という意味ではアリ!なのかなって思った。
・ちょっと86に似てるインテリア
乗り込んだ瞬間に感じたのは「86に似てるな」といった感じ。全体的な印象とあのダッシュボードが高い感覚が似てると思った。
86テイストを盛り込むことでスポーティーさを印象付けたいっていうのがあると思う。
インテリアカラーも今回のRSはレッドステッチ入りのブラックで定番のスポーツインテリアといったところか
シートもクッションに厚みがありなかなかいいなというのが第一印象。ホールド性もさすがに86の純正シートには劣るが乗用車の中ではなかなか上等な方だって印象だ。
ヒップポイントも先代に比べて低くなりさすがにスポーツカーと言えないがインプレッサスポーツやアクセラスポーツなどスポーツハッチバックの水準と言えよう。
テレスコピックが付いてるのも好ポイントであり、シートポジションの細かさもあって適切なドラポジを調整できると思う。
ただしペダル配置は最近のクルマの例に倣ってブレーキに対してアクセルの位置が深くヒールアンドトゥーはしにくい。
背が低くなったがヒップポイントも低くなったのでヘッドスペースに窮屈さは感じない。
後部座席はニースペースが十分に確保され先代よりも居心地良く感じる。
少し自分として気になったのはステアリングホイールが太くなっていた。あまり手が大きくない人にはちょっと使いづらさを感じるのではないかという懸念が残ったがこのあたりは使う人次第なのだろう。
でも実用ハッチバックのベースとして室内の小物入れが多いし、ラゲッジスペースもなかなか広くかつ後席を倒せばフラットになり使い勝手はいい。
眼鏡入れがルームミラー手前にあるのは嬉しいポイントだった。
・6MTのみ
今回のRS”S Package”はオーリスの中でも最上級グレードになる。
メカニズムとしては1.8L全体はリアサスペンションにダブルウィッシュボーンを採用(確認はしていないがこれまでの経緯を考えるとバイザッハ・アクスル式だと思われる)
RSでは6MTのみで、エンジンは同じ2ZR-FAEだがハイオク仕様となりわずかにパワーが上がってる。
乗り込んでみてクラッチを踏み、スタートボタンを押しエンジンをかける。
RSといっても中身は最近の実用エンジンなのですごく静かである。
まずはMTということで半クラの位置を確認する、思ったよりか手前でつながる印象だがそれほど気になるわけでない。
発進するのもスムーズに行き、初めてのMTって人も乗りやすいクルマになっているのではないだろうか、
ハンドリングは初期応答がかなりクイックに感じた、きびきびと動くので楽しいと思わせてくれる。
フットワークは軽いのにリアのスタビリティが高いのでそうそう破たんするようなことはなさそうである。
ただしステアの感触は非常に軽いのでフィーリング自体は希薄であるし、ふとした時の操作では急ハンドルをしてしまいそうな怖さもある。
また気になったのは切り足していった時、最初は曲がるのに切り足していってもなかなか曲がらないような感覚になる。これは初期応答が鋭いからそう感じてしまうのか分からないがハンドリングのリニアさは良くないなという印象だ。
乗り心地はRS専用のサスセッティングという謳い文句だがごつごつしたような堅さではない。
これはあくまで自分個人の印象であるがスポーツグレードって足回りをしっかりするので意外と乗り心地がいいということが多い。
加速は十分、適切なシフトダウンを行えば普通に街中や高速を走ってなんら不満のない加速を行える。アクセルに対しての反応も悪くなくこちらの面でもキビキビ感は健在である。
ただし実用エンジンということでフィーリング的には普通という感じだ。
回していくと頭打ち感が強く、RSと名乗るのならもう少し官能的なスポーツユニットがほしい。
ギア比は最近のクルマとしてはローギア―ドかなといった感じ、ただしZZTセリカのC60に比べればハイギア―ドだ。
100km/h巡航で2500~2600rpmくらいかと思う。
燃費はエンジンの素姓も含め悪くはなさそうだ。
しかしMTの肝のシフトフィーリング、
先代モデルは節度感が極めて曖昧でぐんにゃりとした感触で操作感も良くなかった。
果たして現行ではどうなっているのか?と思っていたが、先代よりかはまだマシかな?程度
節度感は曖昧なまま、ぐんにゃり感は多少マシかなくらいであり不満が残るままであった。
ブレーキの感触はヴィッツのRSに似ている、初期からゴンと利くようなタイプで個人的には好ましくないフィーリング、止まる感は強いが・・・。
あとサイドブレーキ、走行中に引いても利かない?って感じだった。まぁジムカーナでも行かない限りそんな操作はしないだろうがそこまで介入されるのかなって感じを覚えた。
・FF版86を目指すのなら
総評すれば、そこそこ走るし、そこそこ楽しいハッチバックな印象。
雑誌等ではRSを名乗るのに的な発言はあるものの、ヴィッツRSのお兄さん的なポジションを考えればこのくらいでも問題はないと思う。
キビキビと走ってくれるしワインディングや市街地でも楽しく運転できるだろう、燃費だって不満ないだろうし価格も230万くらいと最近の自動車の価格を考えればこの価格でMTスポーツモデルに乗れるのもいい。
そしてベースモデルも実用的に使い勝手がよく今の人にもマッチしてるなと思う。
デザインも迫力があって個性がありいいと思う
ただし、細かな不満点は多い。特にシフトフィール、どうにか出来なかったのか?
トヨタだってZZTセリカのようなフィーリングを出せるはずなのに、といつも思ってしまいますね。
86人気をいろんなところに使いたいのだろうがもっとスポーティーなのを期待してしまう。
トヨタの随を結集したスポーツモデル、それが見たいですね。