少しまじめな話題。結論から先に書きます。
福島/栃木/茨城などでのオープンエアーツーリングは、リスクを覚悟するべき。
1.現状の土壌汚染レベルは、放射線管理区域に該当する。
農水省の土壌汚染レベルマップを見ると、水田土壌15cm・畑土壌30cmの平均濃度が、福島県浪江町28041bq/kg栃木県那須町3971bq/kg宮城県丸森町2215bq/kg千葉県流山市777bq/kg群馬県東吾妻町688bq/kg茨城県利根町632bq/kgです。
放射線管理区域の基準を土壌に適応すると、土壌5cmの平均濃度として800bq/kgだそうです。土壌中の放射性セシウムはは表層に集まって分布していると考えられるので、同様に土壌5cmの濃度として考えれば、上記測定値を2-5倍に換算するべきです。
と考えると、千葉北部から北関東/福島の農耕地は、ほとんど全て放射線管理区域になると考えられます。
参考 http://www.s.affrc.go.jp/docs/press/110830.htm
参考 http://www.jca.apc.org/nnpp/nakayama/suidensakuduke.pdf
2.放射線管理区域の設定基準は、埃の少ない病院診察室や実験室を想定しており、さらに放射性セシウムは考慮していない。
放射線管理区域とは、内部/外部被曝の安全マージンを取って定められた値を基準に指定されています。基準値以上であれば入室者の被曝量を管理し、妊娠中の女性を中心に不必要な入室を制限するべきです。逆に言えば、基準値以下なら、ノーリスクと言えます。
ただし、一般に放射線管理区域内で用いられる放射性物質はコバルトなどのX線撮影用の物質ですから、水溶性で人体に取り込まれやすいセシウムの場合は、危険性を割増して考えるべきです。
また、埃上の放射性物質が舞い上がることを最低限しか想定していない、屋内での基準でもあります。
3.これからの冬/春には、強い季節風や農作業によって、放射性物質を含んだ砂塵が舞い上がる。
北関東の筑波颪、赤城颪などは有名ですが、空気が乾燥した時期には、畑から多量の砂塵が舞い上がります。
まして、春先の農作業開始時期には、農作業で耕地の表層が鋤き起こされ、放射性セシウムの沈着した土壌が、大量に舞い上がると想定されます。しかしながら、空気中の放射性物質濃度を集塵装置などで集めて、逐次報告しているデータソースはありません。
4.オープンエアーツーリングでは、多量の砂塵を吸い込む。
スパイダーやバイクでツーリングしていればご存じと思いますが、一日屋外を走ると、服や首筋がジャリジャリしたり、鼻の中が真っ黒になったりします。それだけの砂塵を吸い込んでいる訳です。
以上をまとめて考えると、今から梅雨入りまでの乾燥した期間に、北関東をスパイダーでツーリングするのは避けた方が無難と言えます。箱車でも、エアフィルターを確認するか、内気循環にする必要があるでしょう。
まして、妊娠中の可能性のある方が、毎週バイクでツーリングするのは、とてもリスキーだと考えます。当該地域のうら若き女性が、毎日自転車に乗って畑の間を通勤/通学するのも、やめた方がよいでしょうね。もちろん梅雨が過ぎて、土が湿り砂塵が舞わない時期になれば、リスクはぐっと下がると思います。
本来なら、農耕地/林地など、全て含めて土壌5cmあたり400bq/kg以下まで除染して、費用を東京電力に請求するというのが正しいのでしょう。そうなれば、何も怖がらずにツーリングできます。
ちなみに、汚染された畑で農作業をせざるを得ない農家の方は、内部被曝の危険性に、もっと強く直面しています。福島の農産物を買うというのは、農家の方に内部被曝を強要すると言うことだと考えています。
補足: 上記の値は、乾燥土壌1kg当たりです。乾燥赤玉土1kgだと、大体1.6Lです。畑で、表層5cmにほとんどの放射性セシウムが含まれていたとすると、農水省発表値を6倍にして捉える必要があるので、発表値が1000bq/kgとして実際は6000bq/kg。WHOの食品基準値である100bq/kg(成人・非妊婦)に該当する土壌は、17gです。赤玉土で、大体20ccぐらいでしょうか。これで、WHO基準濃度の食品を1kg摂取したことと同じです。通常、食品を1kgも食べませんから、さらに割り引いて考えるべきです。赤玉土スプーン一杯で、日許容量かと。少なくとも、福島県中通・浜通は、このレベル以上でしょう。後は、どの程度砂塵を吸い込むか。車種によっても、走る場所でも変わりますが、砂まみれになるオフダートは問題外、スーパーセブンはやめた方が良い、スパイダーならギリギリぐらいでしょうか? でも、妊婦さんは、ツーリング自体をやめたほうが無難でしょうね。
Posted at 2011/12/20 16:30:37 | |
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