ツーリング2日目の朝、しとしとと雨が降っていました。
(天気予報で分かってはいたけど今日も雨か・・・)
軽くテンションが下がります。気温も低くここで6℃。今日は標高1000mくらいの峠を越えるので更に気温は下がるでしょう。今夜の宿泊はニュージーランドで一番のリゾート地、湖畔の街クイーンズタウンです。クイーンズタウンまではここからは200km程度しかないのですが、実はクイーンズタウンに行くまでの地域はセントラル・オタゴというワインの生産で非常に有名な地域なのです。今日はいくつかのワイナリーを巡るつもりです。ニュージーランドのワイナリーの多くはCellar doorと言って店のようなものを持ち、テイスティングや直接販売をしてくれます。この辺りはアメリカのワイン文化に非常に近い感じです。ただ問題なのは、小規模ワイナリーであるほど予約制であること。クイーンズタウンにステイしていれば予約時間に合わせて行けば良いのですが、何百kmも遠くからだと時間が読みづらいし、時間に追われてツーリングするのも嫌なものです。なので全くの予約無しで行けるところに行く感じにしました。ところが、更に問題なのは雨・・・さすがにずぶ濡れのバイクウェアで入るのは躊躇われます。まぁ行く前からそんなことを考えていてもしょうがないので、とりあえず出発です。
今日はサザンアルプスの麓沿いに南下していくのですが、雨は結構な本降り。牧場を抜け、森を抜けて徐々に標高を上げていき、それに伴って周りの木々はとても綺麗に紅葉しています。つい数日前には綺麗な桜を見ていたのに今は綺麗な紅葉、何だか時空を越えたかのような不思議な気がしました。
Lindis Passという峠は標高1000m近いので非常に寒く、気温は2℃まで下がりました。ウインターグローブを装着してグリップヒーターも全開。ただ超極暖インナーも着込んでレインウェアまで着ているので、幸い手以外はそれほど寒さを感じませんでした。
峠を越えると雨が上がり、Lindis valleyという谷間を走ります。この辺りから徐々に牧場が減ってきてブドウ畑が増えてきました。Tarrasという集落で右へ曲がり、ワナカ湖を目指します。ワナカ湖の近くにあるワイナリー、Ripponが最初に訪れるワイナリー。ワナカ湖にはちょうど昼くらいに到着。とりあえずリッポンへ行ってみますが、当然のように予約していないと敷地内に入れませんでした。ウェブサイトを見ると13:00からの枠に空きがあったのでとりあえず予約し、ワナカ湖畔で休憩。雨はすっかり上がっているのでレインウェアを脱ぎ、その後あらためてリッポンへ行きました。
リッポンはワナカ湖畔を見下ろす丘にあるとても美しいワイナリー。ブドウはすっかり紅葉しているのですが、驚いたことにまだ実を付けていました。日本で言えば11月くらいの気候のはずなのに収穫していないのです。かなり遅摘みな感じです。
これはピノ・ノワール。後で聞いたところ翌週には収穫ということで実は熟成しきった感じがあります。
ここのセラードアからワナカ湖が見渡せます。天気が良ければさぞ気持ち良かったろうな・・・。この日は6種類のテイスティング。
今年ファーストリリースとなるアンセストラル(品種忘れた)、ソーヴィニヨン・ブラン、ロゼ、ピノ・ノワール、リースリング、ゲヴュルツ・トラミネール。テイスティングしたワインはどれも良かったのですが、中でも驚いたのはロゼです。非常にバランスの取れた味わいでかなり気に入りました。セパージュを聞くと70%ピノ・ノワールで30%ガメイだと。ロゼにガメイを使うとは初めて聞きました。ニュージーランドでもおそらくここだけだと言っていました。
ニュージーランドのワイン造りは伝統的な作り方だけでなく常に革新的なことにトライしようとしており、ブルゴーニュからも勉強に来るらしいのですが、その一端が見えた気がしました。その他のワインは全体的に果実味が強く酸のバランスが良く、一方でミネラルはあまり無く熟成感もあまり感じられない(実際若いワインでした)ものでした。そうそう、ピノは少しシラーを思わせるようなスパイシーさもありました。じっくり飲むというよりは日曜の午後に気軽にグイグイ飲めるような、そんな感じ。この辺はニュージーランドワイン全般に言えるような気がします。さてどれを買おう・・・。バイクにはそれほど積めないので、1箇所1本と決めています。気持ち的にはロゼに行きたいところなのですが、セントラル・オタゴと言えばピノ・ノワール。フランスのブルゴーニュ、アメリカのオレゴンと並ぶ世界3大ピノ・ノワールの産地と言われるところなんです。そしてそのピノも悪くなかった。ここのピノはそれこそ日本でも買えるのですが、まぁNZに来て最初の一本だしピノにしておこう。
さて、次はセントラル・オタゴの中心地区へ行ってみましょう。本当は今通っているワイン会の先生(シニア・ソムリエ)にもお薦めされたフェルトン・ロードに行ってみたいところなのですが、セラードアは平日しか開けておらず今日は土曜日なのでNG。なのでMt. Difficultyを目指します。ここもピノ・ノワールで有名で日本でも買えるワインです。
セントラル・オタゴの中心となる地域は周りに山を囲まれ、ちょっとアメリカのナパを彷彿とさせる景色。ひたすら広がるブドウ畑はやはり紅葉していて、収穫されている畑もありますがまだ収穫していない畑もあります。気候が違うので比較してもしょうがないのですが、ブルゴーニュやナパでは紅葉する前に収穫していたように思います。
ところでニュージーランドの道路を走っていると、こんな標識を見ます。
木の下にテーブルがあるサインが休憩場所を示しています。特に郊外へ出ると結構な頻度で休憩場所が用意されているのです。このサインでは湖へボートエントリー出来る場所があるのとトイレを示してますね。
休憩場所へ入るとこんな感じでテーブルと椅子があります。トイレがあるところも多く、しかも水洗だったりもします。(もちろんバイオトイレのところもある)因みにニュージーランドは日本と同様に水道の水が飲める国でして、それ以外にも色々なところで環境への配慮を感じる国でした。
クロムウェルというセントラル・オタゴ中心の街を抜けて丘陵へ登り、Mt. Difficultyへ到着。ここもまた素晴らしい景色です。
ここのセラードアはレストランを併設していて食事をすることが出来ます。朝から何も食べていないのでお腹が減ってはいるのですが、既に15:00を過ぎていてこんなところで食べたら晩御飯が食べられないのでパス。テイスティングだけにしました。ここのワイナリーもピノ・ノワールで有名なのですが、今は規模が非常に大きく多くの品種を栽培しています。ここではピノ、シャルドネ、ピノグリ、ピノのロゼ、それからゲヴュルツを試飲しました。最初に飲んだピノ・ノワールはSignatureとも言える、ここBannockburnの畑のブドウを使ったワイン。
とても豊かな果実味でチョコを思わせるフレーバーもあり糖度も高く、酸はあまり無い感じ。実に美味い。先ほどのRipponのピノよりも好み。他のも悪くありませんでしたが、やはりここでもピノ・ノワールを買っていくことにしました。
さてもう1軒・・・と思ったらもう16:00近い。。。もうほとんどのワイナリーが閉める時間です。ここからクイーンズタウンへは1時間近くかかることもあり、今日は2軒で諦めました。美味しいワインも飲めたのでヨシとします。(いや、テイスティング後はポットに吐き出してますので念の為)
ここからクイーンズタウンへはワインディングを越えて行くのですが、流石に超有名な観光地、ワイナリー地域で道路は普通に混んできました。それでも何とか暗くなる前にクイーンズタウンへ到着。せっかくなので今夜はちゃんとしたレストランで食事をすることにして店も予約し、夜の街を徘徊しました。昼間ツーリングをしている時にはほとんど人に会わないんですが、ここクイーンズタウンはもうびっくりするほど人が多かった。ファストフードはもちろん、ブランドショップもあり、一方で冬はスキー・リゾートでもあるのでスポーツショップも多い。
この日はステーキハウスを予約し、NZビーフを食べました。昨夜はモーテルの美味しくもないバフェで済ませてしまったので、良く考えたらこれが2度目のまともな食事。ビーフは貴重な高いグレードのものらしく、これが非常〜に美味しかった。しかもワインのラインナップが素晴らしく、赤のグラスワインだけで30種類近くあり思わずテンションが上がりました。しかも美味しいところがラインナップされているのが流石。グラスワインだけで多分1本分くらい飲んだ気がします。いやぁ美味しかった。
今日行った2軒のワイナリーもオン・リストされてます
とても寒い雨からスタートし、良いワインと料理を楽しんで終わった1日。300km弱しか走っていませんが良い1日でした。
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バイク旅 | 日記
Posted at
2024/04/24 14:31:28