
今年で10回目の参戦となるアイドラーズゲームス12時間耐久レース。
昨年は8時間目にさしかかる140LAPを周回した時、私の運転中にシフトリンケージが折れるというトラブルでリタイアとなりました。
2003年に初めて挑戦したときもリタイアでしたが、それ以来2度目のリタイアでした。
我々耐久倶楽部Ritardandoはコース上のスピードよりも、ピットワークと戦略で終わってみれば良いところにいるのがパターンですが、レースが終わる前に車が終わってしまっては、只の遅いチームでしか有りません。
今年はなんとしても完走する。順位はとりあえず二の次で、チェッカーをきちんと受ける。
これとて簡単なようですが、毎年涙を飲むチームが沢山あるのです。
想像するトラブルに備え万全の準備を整えて望むことが、耐久レースでは好結果を引き出す絶対条件です。毎年この12時間で好結果を得るために、我々もこのレースの準備には時間と予算を割いてきました。
しかし、今年は諸々のトラブルが重なり、予算は逼迫し、車両の整備も遅々として進みません。
本来投入しておきたいニューパーツも我慢して、スペアパーツも殆ど無い最低限の体制しか整えられませんでした。唯一の強みはチームスタッフに殆ど変化はなく、皆なにをすべきかが判っていることです。
経験とチームワークは間違いなく大きな武器です。
そしていよいよレース当日、私はFSWでのETCC&alfaromeo challengeからそのまま流れてモテギ入りです。22時半にゲート前に車を止め、集合時間の4時まで車中で仮眠。
ハッキリ言って辛いです。この状況を楽しめるのは20代まで。良いお年頃の私にはフカフカのベットが必要です。でもホテルを取っても寝る暇が無いのです。ですから今出来ること、明日に備えて「此処で寝る事」を精一杯やるしかないわけです。だって間違いなく明日はハードな1日になるのですから。
若干1名が集合ゲートを間違えるミスが有りましたが、程なく全員集合でパドックへ移動。
ゲートは午前1時から開放しており、既に多くのチームが準備を整えています。
我々もテントの設営や、車両の準備など、誰が指示するまでもなくそれぞれが動きます。
そして、ブリーフィング、車検と淡々と準備が進み、いよいよ車をコースに送り出します。
毎年クラスごとに抽選でグリッドが割り振られますが、今回は96台中の90番!
殆どスタートの瞬間から周回遅れになりそうなポジション。
まぁ、前からスタート出来るに越したことはありませんが、ゴールは12時間後ですからここで1000m後ろからのスタートでも大した問題はありません。
昨年はチェッカーを受けていませんので、今年はリベンジの意味も込めてドライバー順は昨年と同じ順番。ターゲットタイムは完走狙いと言うのもありますが、タイヤのデータも無く、タイムライフバランスが見えないのに加え、本来はFに1サイズ太いタイヤを使うのですが、予算も乏しくスペアタイヤの投入が出来ませんので、途中で消耗度合いを見てローテーションを考えています。その為いつもより1サイズ細いFタイヤを履いているのもタイムを狙えないのが内情です。
そんな事情もふまえて昨年より3秒遅く設定した作戦では、それだけで都合4~5周減となりますが、ピッタリ計算通りに行かないのも耐久レースの面白いところです。
グリッドで記念写真を撮り、1stDrのtoruさんにエールを送ってスタートを待ちます。
そしてゆっくりとローリングが始まり、予定通り朝8時にレースは始まりました。
概ね良好なペースで巡航するtoruさん。ところが最初のピットストップで彼が次のDrのタケトC君に「クラッチの状態が結構ヤバイ」と恐ろしい話をしてくれます。
どうやらクラッチレリーズが危篤状態のようで、残り11時間騙し騙し走れるのか不安が一杯!
電光石火のシフトワークなど、耐久レースでは不要です。丁寧に丁寧に操作をすればさしてタイムを失わずに走らせることが出来ます。今は保たせる事がなにより大切。
3番手た~坊からバトンを受け取り、私がステアリングを握る番。
ここまで我々がピットストップを終えるとイエローコーションでセーフティーカーが入る不運な展開が続いています。なんとかこのパートでSCは入らないで欲しい。少しでも失ったペースをこのパートで取り戻したい。しかし、クラッチの状態は結構厳しい。
これはタイムアップよりもタイヤや燃料をセーブする方が良いだろうとレブリミットを自主的に6500rpmに下げて、タイヤを痛めないように、でもターゲットタイムの2分43秒は維持できるように奮闘。
済みません私の実力では一寸厳しい目標値です。それでもこの積み重ねが8時間先に生きてくると信じて、丁寧にリズムを作っていきます。
そして自分のパートの概ね半分当たり。恐れていたことが起きました。
クラッチペダルが戻らない。クラッチが切れない為、ギアが入らなくなってしまいました。
スタート4時間で頭の中は「リタイア」の文字が旋回し始めます。
とりあえず何度かクラッチペダルを動かして4速にホールド。低速トルクの問題は有りますが、この状態でラップ出来るか。出来るなら何秒で走れるのかを試します。少なくとも私のパートでこのトライを成功させ、次のドライバーにも同じ事をしてもらう。4人が同じように運転出来れば残り8時間をしのぐことが出来るはず。
エンジンブレーキが有りませんから、フットブレーキだけでしっかり減速し、ターンインではトルクが掛からないので曲がりにくい。でも舵角を大きくすればタイヤを痛めるので、丁寧かつ抵抗の少ないライン取りを考えながら、タイムを何とか落とさない様にドライブします。
55秒まで落ちたタイムも、徐々に運転の仕方が身に付き47秒まで詰めたところでピットインです。
2edクールからは目標を大きく修正して、ターゲットタイムは2分50秒。
例年目標はベストテン入りですが、我々の戦闘力では現実的な線で17~8位。
今回はペースを下げた作戦ですから20位以内を予想順位としていましたが、このペースで走れるのなら30位以内で完走が良いところではないでしょうか。