不穏なモーニングコールで始まった耐久の朝。
しかし、極めて順調にもてぎ入りし、準備はサクサクと進みます。
今回私はスタートドライバーを務め、車両のチェックと
2分38秒で周回し続けるのが課せられたミッション。
少し押したタイムスケジュールの中、41番グリッドからローリングが始まります。
12時過ぎの時間帯とは言え、12月ですからタイヤはしっかり温めたい。
私はウェービングはあまりやらず、加減速で温めるので、
少し前にスペースを作り、5コーナーまで加速して強くブレーキを踏む。
車が暴れる!! 左に動くじゃないですか。
アライメントは問題ないはず。中古タイヤの問題か?
しかし、当然ですが、そのままピットに入ることなくスタートとなります。
ブレーキのペダルフィールもおかしい。イヤな感じです。
しかし、車が万全でなくとも、オーダータイムをマークする事が仕事。
38秒台は6000回転リミットにしてもマークてきます。
これならレブリミットまでの1000回転を使いタイムを削るか、
このままで燃費を稼ぐ方向にも使えますから、
何とか車をコントロールしていければ良さそうです。
しかし、このブレーキトラブルは少々怖い。
私の次のパートは誰だっけ?
バトンを渡すときに、きちんとコメントするのに加え、
ヤバイと思ったらピットに戻ってきて良いと伝えなければと
監督目線でで考えながら走っていました。
周回を重ねるごとにタイムはジワジワと落ちていきます。
当然ですが、減速がきちんとできず、
フロントタイヤに荷重を乗せられないため車の向きが変わらない。
そこを何とか曲げていかなくてはならないのですが、
入り口から出口までアンダーをどう殺すか?
そんな運転を強いられ、無駄にタイヤを使わざるを得ません。
しかもイン側にパッシングで飛び込まれると、
こちらは自分のタイミングでステアリングを切れなくなるので、
タイヤのスクラブ抵抗を減速に使えなくなり
コースアウトしそうになる事度々。
「P3」のサインボードが出たとき、ホッとしたのも事実ですが、
多分このままでは次のドライバーは走れないと思ったのでした。
自分のパートのラストラップ、ついにヘアピンでブレーキが抜けます。
何とかコース上に車を留め、ダウンヒルを下り、
当然早めにブレーキを踏みます。
エンブレフル活用で這うように何とか曲がり、
そしてよろよろとピットロードへ。
降車してすぐに右Fタイヤを確認すると
右Fパッドは完全に無くなって、座金がローターにあたっています。
そしてフェンダーの中で炎が揺らいでいる!
消火器で火は消されましたが、ヤバイ完全にアウトです。
ピットに車を入れ、タイヤを外すと

ブレーキホースがカシメから外れ、フリュードが燃えていたことが確認されました。
パッドのスペアはありますが、ホースは流石に持っていません。
4時間耐久は1時間に満たない私の走行でリタイアとなりました。
ピットを片づけ、撤収をしていると、
同じピットを共有している117号車のドライバーの方が
「3月の春の耐久で待っているよ」と声を掛けてくださいました。
実はこのチームは夏の12時間耐久で、我々が当ててしまったチームです。
そんな迷惑を掛けた先から、掛けてもらえた言葉がこのレース最大の収穫でした。
8号機はこのレースで退役決定。
すぐに9号機の準備に掛かります。
送られたエールに応えるため、
「戻ってきたよ」の一言を彼らに言うために!
Posted at 2016/12/19 23:14:59 | |
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