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2012年02月02日

題名のない映像 21分23秒 ~運命の第2ヒート・再び~

題名のない映像 21分23秒 ~運命の第2ヒート・再び~ iPadの「ビデオ」コーナーに、21分強の尺をもつ新しい映像が加えられた。題名はないので、ぼくが勝手に「あの瞬間」と名付けることにした。

一連の黒沢元治さんの「ドラテク特訓もの」がズラリと並んでいる。先だって紹介した「みんカラ」友達のHawk Yamaさんのニュルアタック編も、いつでも鑑賞できるようにしている。そこへ、1月30日の夕方から新しいメンバーが加わってくれた。
「再生」するための三角マークを捺す。……いきなり高橋国光選手の若いころの表情がクローズアップされ、田中健二郎さんの懐かしい声が聞こえる。


*第2ヒートに臨むにあたってメカニックとやり取りする高橋国光選手

「これね、わたしも経験がありますが、いま高橋(国光)君が映っていますが、選手には選手の言い分がある、メカニックにはメカニックの言い分がある。例えば、このタイヤね、ゴムが柔らかいのが食いつきがいい。ところがあんまり食いつきがいいと、タイヤの温度が上がる……ご覧のとおりですよ」
 どうやらスタート前のタイヤのセッティングをめぐって、コース上で国さんとスタッフが突っ込んだやり取りをしているところらしい。そばにゴムのとけかかったボロボロのスリックタイヤが転がっている。一瞬、赤いボディカラーに「YAZAKI」のロゴが認められる。黒沢元治選手のマシンだ。タイヤも「BRIDGESTONE」のマークがついている。
 アナウンサー(磯部)の声が割って入る。
「バースト状態ですね」
 即座に健さんが応える。
「はい。ちょうど30度ぐらいまで気温があがっている。このへんが非常に調整がむずかしいですね」
 カメラは別のマシンのギアボックスをアップでとらえて、メカニックの調整する姿が緊迫感を盛りあげている。
「辻本さん、北野選手は、やはりミッション・トラブルですね」
 アナウンサーは、もう一人の解説者に呼びかける。辻本征一郎さんであった。
「ええ、そうですね。5速ミッションのうち、セカンドとサードのギアが抜けるということで、第1ヒートは残り2周を北野選手はシフトレバーを片手でおさえて、ギア抜けをしないようにして走ったということです」

*運命の第2ヒートに備えてミッションを修理する北野選手のメカニック

 それで北野選手がガクンと後退したのを、アナウンサーも納得したらしい。
「でもしかし、よく3位をキープしましたね」
 という辻本さんのコメントを受けて、カメラは白いカラーリングのゼッケン⑥のボディを大写しに。そのシーンを背景にして、磯部アナウンサーと健二郎解説者とのやり取りがつづく。
磯部「いま一生懸命、メカのみなさんが点検整備をしていますけれども、この間はドライバーのみなさんは食事をしたりなんかして」
田中「しかしね、ドライバーたちでも、自分のクルマがね。これは北野(元)君のクルマだけれど、あそこは大丈夫だろうか、ここは大丈夫だろうかって、おそらく食事してもノドには半分ぐらいしか通りませんよ」
磯部「そうですか。これはマフラーの点検ですか」
田中「そうですね。馬力がちょっとあがらないということで、高原(敬武)君のメカが交換していますが、はたしてどうなのか」

 ここまでで映像は1分を経過している。画質は予測していたほど悪くない。音声も特にクリアとは言えないまでも、聴き取りに不自由はない。が、何にもまして嬉しいのは、文字情報ではなく、色と音と動きが一つとなった動画情報である、ということだ。ぼくは37年前の富士スピードウェイにタイムスリップしている、その実感を、どう伝えればいいのだろうか。高橋国光、黒沢元治、北野元、高原敬武の各選手はもとより、このレースのさなかに多重事故によって逝ってしまう風戸裕、鈴木誠一選手の姿まで収められている……。


*No.10が風戸裕選手のマシン


*ゼッケン37は生沢徹選手

 紛れもなく、1974年6月2日午後2時にスタートした富士GC第2戦第2ヒートを切り取った21分23秒のテレビ放映録画の一部に違いなかった。
 ぼくが初めて『運命の第2ヒート』と題して、中部博さんの取り組みを当ブログで紹介したのは、半年近く前の8月28日のことだった。重複するが初めてこのテーマに触れる向きも想定されるので、改めてその書き出しの部分を引用したい。
*     *     *     *     *
中部博さんはモータスポーツを正確に見据える視点をもつ、鋭いノンフィクション作家であった。書き出しの数行で、すぐに読み手のハートを鷲づかみにしてしまいます。

――1974年の富士グランチャンピオン・シリーズ第2戦のテレビ中継録画番組の音声を録音したテープは、第1ヒートを終えてインターバルにはいっている。

中部さんは独自に入手した録音テープを、丁寧に書き起こしていた。解説者は田中健二郎さん(2007年、73歳で物故)。建部建臣アナウンサーの質問にこたえて、レースの面白さを楽しく語ることで、当時から評判だった。もう一人のゲスト解説者が、のちに日産レーシングスクールの校長となった辻本征一郎さん。以下、貴重な資料なので、中部さんの了解を得て、その記述を適宜、引用して、当日の模様を、コンパクトに再現したい。

磯部 「ヒートワンの結果でグリッドに整列しております。高橋国光選手がポールポジション。以下、黒沢元治選手マーチ74S、そして北野元選手、高原敬武選手、風戸裕選手、都平健二選手、米山二郎選手、生沢徹、鈴木誠一、漆原徳光、従野孝司、長谷見昌弘、津々見友彦、以下17台のマシンが、すでにポジションについております。まもなく第2ヒート、スタートです」
軽快なBGMがフェイドアウトした。
同時録音した富士スピードウェイの場内アナウンスがいかされていて、それは「スタート3分前です」といっている。



*スタート2分前のボードが示された




*レースクイーン・須田敏恵さん




*レースクイーンの高草純子さん


 磯部「レースクイーンの高草純子さんが、いまスタート3分前を提示しました」
コース員が吹いたであろうホイッスルの音がする。スターティング・グリッドにいる人々に退場をうながす合図のはずだ。

この中部さんの記述には、詳しい前置きがあったのに、ぼくがピックアップする際にうまくイメージが伝えられないとして削除していた。その部分を、映像と照らし合わせてみると、生き生きと「その時」を再生させることができるようだ。

さらに、再生を続けよう。それは次のアップまでお待ちいただきたい。なお、ここに掲載しているTV録画シーンからの停止画面は、ぼく自身がスキャンしたもので、貴重な資料性をアピールするため、あえて掲載するものであることを断っておきたい。

 なお、「秘められた映像」の関連URLも参照されたし。

 

ブログ一覧 | 実録・汚された英雄 | 日記
Posted at 2012/02/02 11:17:21

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この記事へのコメント

2012年2月2日 11:52
鮮明さが画像からも伝わってきます。またカラー映像だとよりリアリティが増しますね。

しかし、局長がiPadユーザーだとは!流石ですね。
コメントへの返答
2012年2月2日 12:07
映像をお見せできないのが残念です。

この後しっかり書き込みます。

2012年2月2日 12:47
意外にエンターテイメント的な番組冒頭だったのですね。
当時はあくまでレース模様の放映というスタンスだったのでしょうか。
重大死亡事故のあったレースということで、もっとドキュメンタリータッチなのかと勝手に想像していました。(映像は存在しないという説まで語られていた背景と併せて気になる所です)



今後の展開、期待大です。
コメントへの返答
2012年2月2日 18:31
実はこの実在した放送録画は第1ヒートの部分が収録されていません。そこが惜しまれます。ひょっとしたら、これが引き金となって全体をまとめられたものが出てくるといいのですが。
2012年2月2日 12:56
一瞬、息を飲みました。

有ったんですね! 画像の内容も、画像が出てきた背景も知りたいです。
コメントへの返答
2012年2月2日 18:33
どうして僕らは、37年前の時点の出来事となると、その時期の心を持てるのでしょうか。それがモータースポーツの持つ、意味合いなのかもしれません。
2012年2月2日 20:50
以前お話しした本に「鈴木誠一、69年日本グランプリでGT-Rで総合2位。70、71、72と3年連続してストッカーチャンピオンとなる。故人」このレースで亡くなられたんですね。また、田中健二郎さん「日本のレースドライバーのパイオニアのひとり。小排気量のマシンでより大きなエンジンのライバルと対等に戦うタイガーぶりは多くのフアンを持っていた。現在はレース解説者」とありました。S54Bで活躍されていたんですね。長文になりすいません
コメントへの返答
2012年2月2日 21:46
いえいえ、もっと書き込んでください。
田中健さんは、モータースポーツの草創期、筑豊のボタヤマを使った2輪レースで活躍した伝説のドライバー。親分肌の人で、日産ワークスのボスでした。
2012年2月2日 21:17
この後の悲劇的状況が全く予想できない普通のオープニングなんですね。

その結末を知った上でこの映像を見ると何だか胸が苦しくなるようです。
コメントへの返答
2012年2月2日 21:48
すごく平和な幕間という感じでした。

2012年2月3日 22:54
高草純子さん、上品で素敵です。
※毛色の違うコメントをしてすみません。(笑)
コメントへの返答
2012年2月3日 23:54
いやいや、同感です。今はどうされているんでしょうね。つい、そんな風に思ってしまう。ぼくらも37歳、若返ってしまいます。う、ふ、ふ。
2012年5月31日 11:57
初めまして、

先日「炎上」を
読み終えた者です、

以前からコノ事故のコトは
知っておりましたが、

改めて関連するコトを
また知るコトができました、

一連のブログ拝見させていただきました
ありがとうございました。
コメントへの返答
2012年5月31日 12:40
ご丁寧に、ありがとう。

中部さんが『炎上』を書き上げてから会っていませんが、近く、お互いに時間を都合して、語り合ってみます。

それを踏まえて、検証を継続します。

スペシャルブログ 自動車評論家&著名人の本音

プロフィール

「迷いなく真っ直ぐで攻め、仕上げはフォークで。マリンの悪夢を断ち切った才木。1−0で完投。去年の春、WBC日本チーム壮行ゲームで翔平にドデカい一発を喰いベンチに戻ってから椅子を蹴りながら口惜しがった才木。そこからの成長が印象的。それに引換え2軍落ちしたサト輝の無表情ぶりが気になる。」
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1959年、講談社入社。週刊現代創刊メンバーのひとり。1974年、総合誌「月刊現代」編集長就任。1977年、当時の講談社の方針によりジョイント・ベンチャー開...
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