金曜日の夜、会社から帰ると嫁から「明日、トウモロコシ買いに行きたい」と告げられました。
急に何言うんだろと思ったが、「いいよ買いに行こうか」と軽く返事。
風呂に入り、飯を食べながら言われたのが、朝早く出たいと。
よくよく話を聞いてみると、欲しがっている🌽は「甘甘娘(かんかんむすめ)」という名前で、静岡県は遠州森町のブランドトウモロコシらしく、大変人気で買うのに朝5時から並ぶらしいと説明される。
どうやらテレビで見て食べたくなったそうだが、朝5時から並ぶ?トウモロコシを買うのに?と疑問を持っておりました。
まぁ嫁が言う事にNoが無い(言えない)ので、じゃあ朝6時に出ようと決めた。
坊主も行きたいというので3人で行く事になった。
岐阜からは高速使って2時間程。
8時前には現地に到着したが、そこにあったのは想像を絶する風景でした・・・
よく見ると看板には・・・
「本日終了」・・・Ω\ζ°)チーン
凄い人だかりで、恐らく200人以上は並んでいたんではないだろうか?
一人5袋までの制限付きだから、みんなMAX買うので両手が🌽で塞がっている。ただ満足気な顔で車まで運んでいた。その姿は僕には勝者にしか見えなかった。
正直焦った。
車内には何とも言えない、負の空気が漂っていた。
出発時間を決めたのは私。
朝5時から並ぶという話は嫁から告げられていました。
僕の中でトウモロコシを馬鹿にしていたのかもしれない。
並ぶという人の量も5,6人程度、と軽く考えていたのかもしれない・・・
周辺の農家を検索して何軒か回ったが、どこも終了。
どうする?一家リーダーとしてこれで良いのか?
俺の判断で買えなかった、なんて思わせてしまう!
嫁は仕方ない、諦めよう!と笑顔で振舞ってくる!
どうする?このまま敗者で終わるのか?
あぁぁぁぁあぁああぁぁぁ!
どうするっ!!!!!
必死に考え、導き出した答えが、近所のスーパーを探すという事。
ひょっとしたらあるかも知れない、あってもそのブランドでは無いかも知れない。
動くしかなかった。選択の余地はそこには無かった。
すぐさまスーパーを検索。
すると、ファーマーズマーケットらしき「
森の市農産物直売所」なる物を発見。
開店時間は9:00!! 今は8:40!!
間に合う! 間に合うぞ!
そのままグーグル先生の言うままに到着。でも何故か着いたのは業者用の裏口。
そこで目にしたのは・・・甘甘娘と張られたトウモロコシの山!
裏口に居たおっちゃんに、それは売り物ですかと尋ねると、「そうだけどここは裏口だから表で
並んでもらわないと」と言われる。
数も30袋、おひとり様一袋限りという制限付き。
すぐさま車を表に回し、駐車場に車を止めて列に並ぶ。
慌てて車を飛び出したので、携帯を車内に忘れてしまう。
小さな店舗で、地元の方だろう、並びは30人程。
先程の農家直売所とは並びは雲泥の差だが、聞いている数は30袋。
このまま全員が🌽を選択したのなら、届くかどうかギリギリ。
坊主に先頭からの数を確認させに指示。
「先に降りたおかんが25人目、おとんが35人目」
よし!まずは一袋ゲット!
開店5分前、店の人からのアナウンス。さっきのおっちゃんだ。
「とうもろこし以外のお買い物のお客様!こちらの方に来てください!先に店舗に入って頂きまぁ~す!」
何人動く?さぁ早く動け、動いて良いんだよ? ・・・
って、動かんのか~い!
ここでさらにアナウンス。
「昨日はトウモロコシは一本も入荷しませんでしたが、本日は30袋用意致しました!」
知ってる、その情報はもう知ってる。
俺の後ろにはさらに30人程並んでいる。
俺を含めて、その人たちも数が回らないのは今の発表で確実になった。
降り出した雨の中、濡れながら待つ人たちからは、じゃあ足りないんじゃない?という声。
いよいよ開店。
先にトウモロコシ以外の方が入る。といっても3人だけ。
その後、いよいよ開店。
ここでアナウンス。
「皮の無い、むき身の物も別で用意しています!そちらも合わせてひとり一袋購入頂けますので!」
余程、むき身目当ての人は居ないだろうから、みんな合わせて買っていくか、買わないだろう。それなら最悪むき身だけでも手に入るかもしれない。
列はテンポよく、はけて行く。
ようやく自分の目にもトウモロコシの入った袋が見えてきたが、恐らく自分の分までは届かないだろう。
むき身の数はまだ沢山ある。これは確実に届くだろう。
いよいよその時が来た。前の前の人でラスト2個。
すなわち、目の前で無くなるという事だ。
まぁ仕方ない、良くここまで頑張った、妻もレジを済ませて買えたよ!ってアピールしてるし、むき身で・・・
そして自分の番。ここまで!という感じで手で遮られ、アナウンス。
「
最初の販売はここで終了です!農家のご厚意により、本日はさらに30袋追加が入ります!ただ、用意できるのに15分程掛かりますので、待てる方はそのままお待ちください!本日の分はそれが最後となります!」
例のおっちゃんに声を掛けられる。おっちゃんの額にはうっすら汗が浮かんでいた。
「何とかみんなの分回れば良いんだけどね、ちょっと厳しいかな。でもお兄さんの分は間違いないから、もう少し待ってて下さい。今朝は何時に出て来られたんですか?」
そうか!車のナンバーを見たんだなと理解する。
世間話をしながら色々教えてもらった。
トウモロコシは朝取りが一番おいしいという事。
甘甘娘は皮が薄く甘いのが特徴だ、甘甘娘は今のシーズンで、そのあとは甘太郎という別の品種でそっちは皮がすこし厚いのが特徴だと。
そうこうしているうちに農家からトウモロコシが届いた。
「お持たせしましたね、どうぞ!」
「おっちゃん、ありがとう!」
3人で3袋の甘甘娘とむき身を手に入れ、車に積んだ。
追加が無ければ買えなかった。
追加が来た裏には、おっちゃんと農家さんとの恐らくやり取りがあったんだろう。
偶然だったのかも知れないが、僕はおっちゃんに感謝しています。
有難く頂こうと思います。
そしてこのトウモロコシは、何も知らない娘と妹夫婦に無事にお裾分けできましたとさ。