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イイね!
2010年08月20日

たしかに謎だ。

たしかに謎だ。 コメント欄に"同業者の著作でも読んでみろ"という御意見を頂いた。聞きようによっては無礼な物言いではあるけれど、知らないことを知るのは悪いことではない。参考になる話もあるだろう…と早速アマゾンで検索し、翌日配送に対応する『お急ぎ便が使い放題』というAmazonプライムの1ヶ月無料体験キャンペーン中ということで、登録して注文した。


と、本当に今日(19日)の夕方、久しぶりに髪をカットしに行っている間に配達されていた。凄い時代になったもんである。薄い段ボールの梱包を開けて、「どれどれ」。手にして、ちょっとゲンナリした。8ch系の出版社から出された新書の帯びに『高速道路無料化案の錯誤はこの本を読めばわかる』とあり副都知事の写真入り署名があった。

いきなり"なんだよ!"である。出来レースとまでは言わないけれど、コメント氏は知ってのことか。140文字を追っかけて、それを鵜呑みにしているだけだとしたら勘弁してほしい。大体、世襲系の人物には"ちょっとフェアじゅないよな"という気分を感じている。いい仕事をしてくれていれば納得もするけれど、一見もっともそうだけれど、往々にしてあれれなことが多い。

妬心というのとは違う、生まれ育ちは変えられないという思いからくる無力感?まあ、それをバネに頑張ればいいだけの話なんだけど。超有名作家の子息で、大手出版社の編集者からフリーランスになり、跳ね馬乗りで名を挙げる。世間は結果でしか人を見ないからなあ。

行動力があるし、よく調べているとは思った。ただ、なんというか予定調和というかある側の考え方がベースにあって、そちらの方に結論を持って行こうという意図を感じたのは気になったし、危ういと思った。

道路会社の民営化と国鉄の民営化=JRを同列で語ってよいものか。道路は、そもそもインフラの提供だけが本業だ。建設財源だってもともと特別会計(一昨年まで)の道路特定財源による。法的根拠は、日本がまだ経済的に未成熟だった昭和30年代初頭に作られた法律で、借金をして高速道路を作り、その償還を早めるために料金を取る仕組みを作った。基本は、道路は無料が原則で、償還主義は償還が済んだ路線は無料開放する前提に立つものではなかったか。

高度経済成長がピークを過ぎ、オイルショックで長い停滞期が訪れる前年の1972年に導入されたプール制によって、採算路線が非採算路線のために有料化を続けるという怪しい選択をどのように正当化するのか?オイルショックと厳しい排ガス規制という難局を災い転じて…に変えた日本の自動車産業は、国際舞台へのジャンプを果たし、今日に至る経済大国化の原動力になった。それに引き換え、そのクルマたちの走る高速道路は、世界に冠たる日本車とはかけ離れた存在のまま取り残されている。

80年代以降の経済的発展にともなう道路特定財源の増加は相当なものではなかったのか。借金などしなくても回るほど財源は潤沢ではなかったのか。景気の良かった時代は、湯水のように税を無駄遣いしていても誰も文句を言わなかった……というか、国というか官僚を善意の人と信じてちゃんと使われていると思っていた。

景気が悪くなって、大騒ぎ……ということだろうが、道路特定財源に限って言えば、過去30年近くにわたってずっと潤沢だったし、今でもそうであるはずだ。クルマ離れが激しいと、訳知り顔は口を揃えるが、冗談言ってはいけない。日本の自動車保有台数は乗用車57,682,475台、貨物車15,858,749台、乗合、特殊、二輪車を合せた総計は78,800,542台(2009年=財団法人 自動車検査登録情報協会)。

乗用車の新車登録台数は憂慮すべき状態だが、中古車を含めた市場規模はそれほど縮小していないといわれている。日本車のレベルアップは、比較的安価な中古車の商品性アップにつながっている。フローだけでなく、ストックという視点を合せてみないと焦点がぼけるほど日本のクルマ社会は成熟している。第一日本の自動車の市場規模は、今なお世界第3位をキープしているはずである。日本メーカーの世界生産第1位は揺るぎない。大都市圏では不要という論も通るが、全国的視点に立てば、クルマはすでに生活の一部として溶け込んでいる。

そのことの意味は、苦し紛れに一般財源化されてしまった本来道路特定財源として納められていた原資は依然潤沢で、基本的に困らないということではないのか。道路を作るのだからということで複数ある暫定税率にもtax on taxのガソリン税+消費税にも甘んじていたのではなかったか。不況で税収が上がらないというなら、取れるところから取って、他に回すなんてインチキをしないで、景気を良くする政策を堂々と打ち立てるほうが未来がある。

稼ぎ頭の自動車に辛く当たって何の得があるというのだ。皆さんは知っているだろうか?発表前のクルマを事前に公道でテストすることを許認可官庁は頑として認めていない。海外ではちょっとしたカモフラージュを施して盛んにテストを繰り返すことができるのに。テストコースや海外の様々なロケーションで日本国内の状況をシミュレートしながらテストしている。

お蔭で、ハレの国内試乗会で予想外のアンマッチが見つかったりすることも少なくない。去年からのトヨタバッシングでも、日本車も欧州車みたいに公道テストをみっちりやるべき……みたいなまんまとプロパガンダにはめられた無垢な人もいたけれど、あんたの国籍はどこだといいたい。

無料で一般道とネットワーク化した高速道路網をきちっと整備し、それを基盤とした地域格差の最小化を目指す全国規模のグランドデザインをまず用意したい。住みたい所には偏在が想定できますが、そこは地方の腕の振るいどころだろう。東京一極集中を改めるというなら、欠かせない発想だと思います。

えっと、道路会社の民営化の話でした。インフラの提供だけで、走るクルマも走らせる人もセルフサービスの道路会社を、駅舎から電車から運転手まで全部向こう持ちの国鉄から移行したJRと同列で語ることにはどうしても違和感が残ります。割高な鉄道とのバランスを考えて有料化を是とするのもおかしい。盛大な利益を得ているというのなら、新幹線こそ値下げの対象とされるべきではないでしょうか。

新幹線で得た利益は、採算的に苦しい在来線に回す。どこかで聞いたような話ではありませんか?新幹線との競合を考えて料金設定されている航空も変だ。どうして日本の行政は移動の自由に過度に干渉するのでしょうか。徳川家康の遺訓がまだ生きている?

無料化すると環境が悪化して良くない。よく聞かれる意見ですが、何でその話になると今までという過去を前提とした後ろ向きになってしまうのでしょうか。今世界中の自動車産業は、単に環境問題の要求からだけではなく、高い確率で予想されているエネルギー危機(ラストオイルショック)に備えて次世代エネルギー車の開発競争を繰り広げているのです。

日本は間違いなくその最先端にいる。従来型の内燃機関モデルにしても、国内メーカーから画期的なアイデアがそう遠くない将来姿を表わすはずです。日本はこれまでずっと(クルマの)技術の一点突破で道路やドライバーの至らなさをカバーしてきました。

そのことが、世界中で日本車が高く評価される原動力となったわけですが、資源と環境の両問題からのプレッシャーから、クルマは大転換期を迎えました。いままで通りの道路のあり方や、それに諦めを感じて妥協することが染みついたドライバーも、いまこそ変わる必要がある。

クルマだけでなく、道路とそこを走るドライバーの”レベル”の3点セットで、世界中に「どうだッ!」と言ってやろうじゃないか。なるほどこういう素晴らしい世界があるのか……と言わせるような状況を作ってみようじゃないの。”今まで”にぶら下がった人々は奪われる既得権に身構えるかもしれませんが、今までどおりでこの先進んだら、間違いなく深く深く沈む。競争には相手がいることを忘れてはなりません。

親自民(というより小泉構造改革?)、アンチ民主みたいな政治的立場を感じる著者のスタンスには、何か違和感を覚えました。エネルギー問題に対する視点を書いた姿勢には、自動車が今どこにいるのかという理解を欠いているという意味で、いったい世界のどこを、クルマの何を見ているの?と思いました。でも、僕自身の考え方を改めて確認できたという意味では、読んで良かったです。その意味ではコメント氏に感謝します。意見というのは、そういうものでしょう?

ブログ一覧 | 日記
Posted at 2010/08/20 02:47:41

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この記事へのコメント

2010年8月26日 0:47
伏木さんの意見に賛成です。道路は原則無料、渋滞する場所のみ有料化というのが本来ではないでしょうか。財務省やマスコミの誘導を感じてしまうことが増えていますね、先日から読売新聞のネットで行われていたアンケートも非常に恣意的な内容でした。このままでは日本が沈んでいくのは間違いなさそうです。

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