• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+
イイね!
2011年01月24日

マーチはいろんな意味で面白い

マーチはいろんな意味で面白い とかくケチョンケチョンに言われることが多い日産マーチですが、僕昨年のジュネーブでのワールドプレミア以来ずっと丹念に取材を継続していて、開発者の思いの丈をみっちり聞いていたこともあって、かなり肩入れする立場を取っているわけです。

生産拠点を、タイ(日本を含むASEAN諸国)、インド(対欧州輸出)、中国、メキシコ(北南米)と役割分担を最適仕向け地ベースで考え、現地調達率や入手可能な鋼材などの素材からデザインを構築し、価格競争力とクォリティのバランスを図りながら最適解を得る。国内の空洞化を危惧する声もあったが、実は合理化が徹底された日産の国内生産拠点は、これまでマーチの国内生産を受け持っていた追浜を含め現時点でフル操業の状態で、全世界で少なくとも年産40万台規模が想定されているマーチを受け入れる余地はない。

従来マイクラ(欧州マーチ)の生産拠点だった英国サンダーランド工場は、キャシュカイのヒットと新規導入のJUKEで手一杯。グローバルな競争力を考えた場合、国内に再投資するより新興国に生産拠点を移したほうが効果的。企画、開発は厚木のNTC、品質管理については日本の座間工場内にあるグローバル車両生産技術センター(GPEC)が強力にサポートする体制を構築し、総合力でサバイバルゲームに臨むという大方針の下に、Vプラットフォームという戦略的コンパクトカーのベースを開発。広州オートショーでワールドプレミアとなったサニー(中国名)や4月の上海ショーでデビューが予定される新型ハッチバック(note? tiida?)と合せて100万台を想定したグローバルに通用する一大コンパクトカーシリーズに仕立て上げる目標が立てられている。

まあ、メーカー目線にばかり立っていても仕方がないので、その結果としてのクルマはどうなのさ? であるが、僕のマーチ評は一貫してOKラインに収まっている。BセグメントにはRやGTIのタイトルを冠したホットハッチのマーケットは事実上存在しない(欧州でも数%未満)。冷静な市場分析から出た答えは、欧州仕様に存在するスーパーチャージャーにしても、あくまでも省燃費のためのデバイスであって、スポーツのための設定ではない…と加藤顕央セグメントCPSは明言していた。マーチは糧を得るためのクルマなのだ、と。

今回改めて都心部から箱根、富士裾野方面へと足を伸ばしてみましたが、動力性能に不足を覚えることはありません。これはドイツのアウトバーンで国産1.5ℓクラスを試した経験によるものだが、たとえばマツダ2(デミオ)の5速MTモデルなどは200㎞/hに迫るなかなかの駿足。スポーティという形容がしっくりする仕上がりを見せている。マーチの場合、タイヤ(165/70R14のファルケン)に十分なコストが支払われていないということもあって、上質感という視点での詰めは不十分といえるが、穏やかなステアリングと懐の深さを感じるハンドリングに齟齬は感じない。

ボディ剛性をコンパクトカーの常識を打ち破るほど高め、正確で手応え十分なステアリングとちょっと危うい部分を残しながらも何とかバランスを保つハンドリングで感嘆の声を挙げさせるVWポロの仕上がりには一瞬だじろぐが、冷静に考えればそれはオーバースペックを正当化するマッチポンプの結果とも言えるし、ベースモデルの1.2ℓTSIでも200万円の上を行く。

VWポロの仕上がりは素晴らしいし、バリューフォアマネーの視点からも十分納得できるという評価は下せるが、そこが世界的なホットコーナーかといえば、多分違う。少なくとも、日本メーカーの同クラスはベンチマークに置くことはあっても、それよりも大きな現実的なマーケットを見ている。積極的にVWポロを追いかけるメーカーのひとつぐらいはあってほしいとは思うが、それを目指さなければ許さぬかのごとき言説には経験の浅さと視野の狭さを感じる。 まあ、そこは僕も通ってきた道ではあるけれどね。それに気がついた時に状況がどうなっているか。問題はそこだ。

オーバースペック、オーバークォリティ、オーバーファンクション……現実的な使用環境に照らした上での過剰性に対する冷静な判断。時代の大転換点を迎えた今問われているのは、ここだろう。無限の成長を信じた右肩上がりの性能至上主義から脱却せずに、化石燃料を燃やすクルマの明るい未来を語ることができるだろうか? 押さえ込まれる感覚は忍びないけれど、リアルな身体感覚に則した速度での楽しさの再発見こそが先に進む数少ない進路のひとつではないかと僕は思うわけです。

Vitzとの比較(おもにアイドリングストップ)の兼ね合いで借りたマーチですが、最初に得た印象は大きく外れてはいませんでした。Vitzは、当面のライバルとして想定されたプジョー207超えという目標は達成したといいます。ただ、昨年登場のVWポロを見てビックリ…とは開発陣が率直に認めていたことでした。もっとも、プジョー207にしても、乗り換えた瞬間は、(ボディが剛性的に)緩いなぁと感じましたが、一晩おいて翌朝乗ると、これはこれでリズムのある乗り味に仕上がっている。

Vitzのシャシー開発担当者も言っていましたが、足回りのセットアップの要点はまずボディにある。ボディがしっかりしてることが基本ですね、と。その点においてVWポロには驚かされたということですが、乗り味や走りのキャラクターは必ずしもひとつに収斂するということではないようです。

FFでちまちましたセットアップに一喜一憂しているくらいなら、いっそFRに大転換して根本からクルマの走りや乗り味について本質を突いたらどう? スピード以外に高性能を表現しにくいレイアウトがICE(内燃機関)車の最終形だなんて、面白くない。下げても身体(からだ)に面白いFR。そろそろね、からだとクルマの意味に迫って行かないとね。現状追認だけの評価なんて、つまんないじゃない?
ブログ一覧 | 日記
Posted at 2011/01/25 00:40:05

イイね!0件



今、あなたにおすすめ

ブログ人気記事

大切なのは行動
ターボ2018さん

ディーラーさんと打ち合わせ
次元小次郎さん

29日⑦。
.ξさん

今日の昼飯は〜😋👍
一時停止100%さん

備忘録:愛車ランキング V86 達 ...
ReiGoofyさん

し、知らなんだぁ〜😓…黄砂アレル ...
S4アンクルさん

この記事へのコメント

2011年1月25日 0:47
NTC、日産テクニカルセンターは広大な敷地に幾つもの建物があり、回りの道を一周走るだけでも結構な時間がかかります。

出来る事ならば、5ナンバー枠のFR車の復活を望んでますσ(^-^;
2011年1月25日 0:58
ポロに関しての「それを目指さなければ許さぬかのごとき言説には経験の浅さと視野の狭さを感じる。」との一言は、いやはや同業者の皆様への痛烈な批判と皮肉たっぷりですね。慄きました。さすがアニキです。

ま、個人的にも「ポロを認めない奴は走りに興味がない奴、そもそもクルマ好きじゃない人間」みたいな風潮にはいささか疑問がありましたので、この文面には一理アリ、です。実質な新興国や日本などの速度域、そして街乗りにアシとしてこのセグメントを利用するビギナーを含めたリアルワールドでの使い勝手を考えると、オーバークオリティが決して全てを満たしてくれるわけではないでしょうからね。依然としてこのクラスに残る100kkgほどの重量差を今後どうしていくのか、これはドイツ車を始めとする今後の課題だと思います。

けど、個人的にマーチや新型ヴィッツの走りのクオリティはどーも物足りない。私的にはOKラインに収まりませんでした。一見すると矛盾する言葉なのですが「凄くないのに、楽しい」「遅いのに、良い」みたいな、もう少し緩い速度域で味わいと質感のあるクルマ造りのセットアップができないものか…これはエコな時代を考えても、今後の課題だと思います。デミオやフィット、フィアット500ではそういったものが僅かに見えるのですが…。
2011年1月25日 8:34
伏木さんの御意見、全くその通りだと思います。このクラスの車で200万以上なんてユーザーの大部分は求めてません。そのユーザーに対して、リーズナブルな価格で必要十分な性能の車を安定して供給するのがメーカーの責任です。全てメーカーがポロを目指してしまえば、そういうユーザーを無視する事になるんです。逆に考えれば、VWはあの価格でしか作れないから、あの性能を出さざるを得なかったって事かも知れません。それなのにモータージャーナリストの大半は、ポロがコンパクトのスタンダードと声を揃えて大合唱。非常に違和感を覚えます。げせわな考えをすれば、「VWから何か貰ってんじゃない?」って思っちゃいます。
2011年1月25日 9:12
ニューマーチ、カッコイイではないですか!
ここセブには旧いマーチの中古車が沢山輸入され、左ハンドルにコンバージョンされ走ってます。
お世辞にもカッコイイとは言えません。
先日も公園でたまたま僕のミニの隣に旧マーチが駐車しました。
マーチには誰も見向きもしません、50年以上前のミニは注視の的でした。
デザインと言うのはいかに大切か!!

ニューマーチはかなりいいですね、だけど高すぎます、それとなぜ4ドア?小型車は2ドアで充分!
日本のカーデザイナーは顧客に媚びてるのではないでしょうか?
売れるものを造るのも大事でしょうが独創的な10年先、20年先でも生き残れるクルマを造って欲しいですね!奮起を期待します。
2011年1月25日 12:34
>VWポロの仕上がりには一瞬だじろぐが、冷静に考えればそれはオーバースペックを正当化するマッチポンプの結果とも言えるし、ベースモデルの1.2ℓTSIでも200万円の上を行く。

コンパクトカーにそんな高い金額出すのなら、もっと上級車種を買いますよ。

何だかんだ言ってもコストに見合うクルマでなければ意味なんてありませんね。
2011年1月25日 21:37
「徹底的な合理化」から生まれたニューマーチ。
このサイズ、このパッケージの車に対して、車内の中央をミッションケースやプロペラシャフトが通って、室内空間を占有するFRレイアウトが適しているとは思えません。
どれだけ人が乗れて、どれだけ荷物が載せられるか。マーチの購入を検討する方は、世界中どこの国でも、使い勝手を重要視すると思うのですが、いかがでしょうか?

共用化・合理化が前提では、新たに小型FR用プラットフォームを起こすこと自体、考えられることはないかと思います。もちろん、スポーティカー専用のものであれば別ですが。
FRでクルマの走りや乗り味について考えるのは、BMWのようなメーカーが行えばよいと考えます。残念なのは、1シリーズの対抗馬が存在しないことです。

FFでのセットアップを「ちまちま」とおっしゃるならば、オールドミニの、生い立ち=「なぜFFが選ばれたか」と、その後の自動車の発展の歴史に与えた影響をどのように評価すればよいのでしょうか?

何よりも、唯一、路面と接しているタイヤにコストダウンの影響がみられるのは、日産が「マーチの走りはこの程度でよい(それは制動時のグリップも含め)」、と考えているから、と思えてならないのです。
2011年1月25日 22:24
…日産はなんでブス顔な車作るんでしょう?

個人的見解ですが~

(>_<)
2011年1月26日 0:02
価格の差って、単に日本のマーケットが狭いだけで割高になっているからポロでも高い
値段付けをしているだけ。
もし今後中華生産のVW等がクオリティの低下なしで、価格が国産車に大幅に近づいて日本
に入ってきたら、ジャーナリストはどう評価するのでしょうかね。

ドイツ勢はオーバースペック、オーバークォリティ、オーバーファンクション……で世界の
トップを取りましたが日本車は???もはやアジアンカーの安物車を作るだけで精一杯
プレミアムって何ですか?状態ですね。



2011年1月26日 8:17
市場が狭いから、高い価格をつけるなんでおかしくないですか?。メーカーはシェアを取ってなんぼです。VWが本当に日本車と同じコストでポロが作れて、利益が上がるなら、もっと安い価格を付けてコンパクトカーの需要が見込める日本の市場を取りに来る。そうしないのは、単純にその価格を付けられないから。ポロと日本車に見た目や質感で明らかに差が有るなら、それはコストの差以外のなにものでも有りませんね。その商品にかかっているコストは見たり、触ったりすればすぐ判るもんですから。
2011年1月26日 8:31
目指すか目指さないかは別として、アレを作ろうとなった時にその技術があるかどうか、そこがエンジニアリングの課題だと思うし、そこに脅威を感じている作り手は多いと思います。
2011年1月30日 20:04
 みんカラでライターごときをやってる身として、VWポロのクオリティの高さは評価しつつ、それだけに価値観が片寄らないように気を付けてはいます。

 ただ、実際にマーチにもヴィッツにも試乗した者として、やはり走りの質感の低さ(特にマーチ)、ドライビングポジションの違和感(特にヴィッツ)で、両車とも高評価は難しいのが正直なところです。

 確かにコンパクトカーに200万円以上は出せない、という心理は理解できます。(と言ってるわたしは、200万円以下の3列ミニバンを、極力お勧めしていないですが…。)

 その意味では、欧州車仕込みなスプラッシュを始め、スイフトといいソリオといい、ここ最近のスズキ車の質感の向上ぶりが目立つ印象を持っていますが、いかがでしょうか?
2011年2月2日 19:46
良識の有るジャーナリストの方なら、日産はあと少しコストをかけて、走りの質感を高める努力を、トヨタにはドライビングポジションの改善を、そしてVWには現状のクオリティをキープしつつ、更なるコスト削減による販売価格の引き下げを求める記述をするのがユーザーの為であり、引いてはメーカーの発展にも繋がると思うのですが。

スペシャルブログ 自動車評論家&著名人の本音

プロフィール

「撤収!! http://cvw.jp/b/286692/42651196/
何シテル?   03/24 18:25
運転免許取得は1970年4月。レースデビューは1975年10月富士スピードウェイ。ジャーナリスト(フリーライター)専業は1978年9月から。クルマ歴は45年目、...
みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

<< 2024/4 >>

 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930    

ブログカテゴリー

リンク・クリップ

64回目の終戦記念日 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2016/08/15 15:36:17
水素でいいと思う 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2015/02/16 08:18:46
変わるかな。 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2013/01/01 22:53:46

愛車一覧

トヨタ プリウス トヨタ プリウス
しばらく耐える秋なのだ。
その他 その他 その他 その他
2009年3月3、4日に行われた第79回ジュネーブショーの画像です。

過去のブログ

ヘルプ利用規約サイトマップ

あなたの愛車、今いくら?

複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!

あなたの愛車、今いくら?
メーカー
モデル
年式
走行距離(km)
© LY Corporation