先日、長年訪れてみたかったポルシェAGのシュトゥットガルト・ツフェンハウゼンのエンジン組み立て工場を見学してきました。😊
ちょうど、コロナ騒ぎの直前だったのでよかったです。
な~んて言うのは嘘ですが、暇つぶしにYouTube徘徊をして、911のエンジン 6気筒水平対向エンジンの生産現場を見学しました。😄
◇ Porsche ENGINE - 自動車工場生産組立ライン。
水冷エンジンになってからの911は、996→997→991→992型と3回のフルモデルチェンジ経て現在に至っていますが、この動画のエンジンをみると、991型前期頃に撮影されたものでしょうか?
この動画を観ていると、86/BRZの水平対向エンジンとの違いもみれて興味深いです。
◾冒頭のサムネイル画像や動画の0:07秒や0:23秒辺りではシリンダーブロックが
86/BRZのエンジン「
FA20」と違い、クローズドデッキ構造だということが分かります。
997型前期までの水冷エンジンはオープンデッキだったらしいですね。
BMWも一世代前のN型エンジンはオープンデッキでしたが、スープラにも搭載されている今のB型エンジンはクローズドデッキです。
クローズドデッキはオープンデッキに比べ、冷却性には不利ですが、剛性に優れると言われています。
◾冒頭のサムネイル画像や動画の0:33秒辺りでカムシャフトを駆動するタイミングチェーンがダブルローラータイプになっていることが確認できます。
(オイルポンプ用チェーンはシングルですが。)それに対し、FA20はシングルローラータイプです。ダブルの方が耐久性は良いのでしょうが、コスト・重量・エンジン全長にも関わるので一概にダブルの方が偉いとは言えないのかもしれません。ちなみに、S2000はサイレントチェーンでした。
また、FA20はタイミングチェーン カバーが別部品になっていますが、ポルシェのはクランクケース(シリンダーブロック)と一体構造になっている点も違いますね。
◾2:02秒辺りにセミウエットサンプ式(インテグレーテッド ドライサンプ潤滑システム)のアルミダイキャスト製の薄くて幅広のオイルパンが観れます。この薄さが低重心化にもつながるのでしょう。なお、最近のエンジン(991型後期から)は
オイルパンが樹脂製になってきてます。
◾2:16秒辺りにインテークカムシャフトの取り付け作業が観れます。カムシャフトの形状からバリオカム プラス(可変バルブタイミング&リフト機構)を装備していることが分かります。991型GT3用はバルブ駆動方式が直打式でなく、ロッカーアーム駆動になっていて、カム山は1バルブに一つです。
ちなみに、86/BRZは 718 GT4のエンジンと同じローラーロッカーアーム駆動です。
◾2:37辺りにフューエルコレクションパイプがインテークポート下にあるのが確認できます。991型前期までのポルシェの直噴インジェクターはサイド配置でしたが、後期型からはガソリンの壁面付着が原因となるプレイグニッションを回避するため燃焼室中央に直立配置に改められました。
(GT3はまだサイド配置?)
FA20も直噴インジェクターはサイド配置ですが、D-4S(直噴+ポート噴射)なので、大丈夫?。
◾3:17秒辺りにクランクケースに熱交換器(水冷オイルクーラー)の取り付け作業が観れます。3:45秒辺りにその大きさがよく分かりますね。このデカい熱交換器がアウトバーンを200㎞/h以上の高負荷で走り続けてもヘコタレない秘訣でしょうか?。ちなみにドライサンプ式の991型GT3は熱交換器がクランクケースの下側に取り付けられています。
スバルのターボエンジン「
EJ20」には熱交換器が装備されていましたが、FA20には無いのはスポーツカーのエンジンとして残念です。😥
下の動画6:30秒からスバルの「
FB20」型エンジンの生産現場が少しだけ観られます。
- 関連情報ホームページ:
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Porsche 911 Carrera (2012 - 2016) / Engine
2009 Porsche 911 Dry-Sump Test
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FB型水平対向エンジンの生産技術ーー将来のスバルのための工場ーー
トヨタ86のパワートレーンを完全オーバーホールしてみた
続いて訪れたのは、AMGの本拠地であるドイツ・アファルターバッハの工場。
(勿論、YouTube上での話ですが。😅)
かつて、4気筒/2リッター以下 の高性能車といえば、「ランエボvsインプレッサ戦争」のおかげもあってか?、日本車は世界的に見ても性能でも価格の面でも競争力を持ち合わせていました。
それがいつの間にか、車両価格も高くなり、欧州車にも性能面で負けるようになってしまいました。😥
現在、量産車で4気筒/2リッター/ターボで最強のエンジンは、
AMG A45 S 4MATIC+に搭載されている「
M139」型エンジンです。
最高出力は421馬力で、最大トルクは何と V8/5ℓ/NA並みの500N・m!。
こんなのが、86と同じ額の自動車税なんてずるいです。😡
AMGには、この下に A35 4マチックに搭載されている「
M260」型エンジンがあり、これがやっとシビック TYPE Rが搭載する「
K20C」型エンジンと同等の性能といったところ。
M260は排気量もボア・ストロークもM139と同じなので、M139のデチューン版と思われるかも知れませんが、吸排気の位置も反対で、製造する工場も違う別物のようです。
| A45 S 4MATIC+ | A35 4MATIC | CIVIC TYPE R |
エンジン型式 | M139 | M260 | K20C |
エンジン種類 | 直列4気筒 DOHC +ターボ | 直列4気筒 DOHC +ターボ | 直列4気筒 DOHC +ターボ |
バルブ駆動方式 | ローラーロッカーアーム | ローラーロッカーアーム | ローラーロッカーアーム |
VVT / VVL | In-Ex / ○ | In-Ex / ○ | In-Ex / ○ |
総排気量(㏄) | 1,991 | 1,991 | 1,995 |
内径×行程(㎜) | 83.0×92.0 | 83.0×92.0 | 86.0×85.9 |
圧縮比 | 9.0 : 1 | 10.0 : 1 | 9.8 : 1 |
燃料噴射方式 | 筒内直接+ポート噴射 | 筒内直接噴射 | 筒内直接噴射 |
最高出力(kW[PS]/rpm) | 310[421PS]/6,750rpm | 225[306PS]/5,800-6,100rpm | 235 [320PS] /6,500rpm |
最大トルク(N・m[㎏・m]/rpm) | 500[51.0]/5,000-5,250rpm | 400[40.8]/3,000-4,000rpm | 400 [40.8] /2,500-4,500rpm |
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| 前方吸気・後方排気 | 前方排気・後方吸気 | 前方排気・後方吸気 |
AMGの本拠地であるドイツ・アファルターバッハの工場ではM177/M178/M139型エンジンが「ワンマン・ワン・エンジン」のポリシーに沿ってハンドビルドで組み立てられていて、下の動画がM139の組み立て風景です。
◇ AMG ENGINE - 自動車工場生産組立ライン。
◾動画1:42秒辺りでシリンダーブロックがクローズドデッキ構造であることが確認できます。
◾動画6:00~8:00秒ではシリンダーブロックがディープスカート形状になっていることが確認できますね。
◾動画9:10秒辺りにオイルパンの横に大きな熱交換器があるのを確認できます。
◾動画9:35秒辺りからシリンダーヘッド取り付け作業が観れます。
◾12:00秒辺りでカムシャフトの取り付け作業が観れます。カムシャフトの形状からこのエンジンも可変バルブタイミング&リフト機構「
CAMTRONIC」を装備していることが確認できます。
K20Cも可変バルブタイミング&リフト機構「VTEC」を装備してますが、可変リフトは吸気側でなく、排気側にあるらしいです。
◾15:03秒 ヘッドカバー上にフューエルパイプがあるのが確認できます。高圧直噴インジェクターは燃焼室中央に直立配置されていますね。
シビック TYPE Rの直噴インジェクターは燃焼室サイド配置ですが、シリンダー壁面への燃料付着を防ぐために、燃料の微細化を追求するとともに、最大3回の多段噴射制御を行うことで燃焼効率を高めているらしいです。
◾16:55秒辺りで大径ツインスクロールターボチャージャーの取り付け作業が観れます。ターボチャージャーの冷却にはオイルと冷却水だけではなく、外気も利用するため、エンジン カバーをエアディフレクターとして働くよう設計するとともに、ボンネット下にダクトを設けているとのこと。
- 関連情報ホームページ:
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「メルセデス AMG A 45 S 4MATIC+」を発表
48Vマイルドハイブリッドを搭載する新世代4気筒[M260/M264/M139]
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高出力と環境性能を両立したタイプR専用エンジン[K20C]
以上、
“Stay Home”
暇つぶしの旅 企画でした。😄