続きになります。
その1・
その2をご覧になっていない方は
ご覧いただいた方が、より分かるかと思います…
完走を目指すべく、ピットインしギヤ比を変更、満を持して送り出しました。
しかし、快調に思えたのも束の間、第2コーナで停止しています!
森脇
「これはギヤボックスですかね…なんか止まり方がそんな感じでしたよね」
コース上で止まり、明らかにペダルが空回りしているようです。
ルール上、ドライバー以外はコース内には入れないので、ピットからはチェーンが外れただけなのか、もしくは切れたり、ギヤが破損したり、重大なトラブルなのかわかりません。
無線も装備していますが、何やら作業をしている様子なので、長男が自力で修復すること願い、見守ります。
万が一修復できない場合は、このレースのルール上、お尻をシートから離してはいけないので、足で地面を蹴ってピットまで戻らなければなりません。通常の3輪車ならペダルを使わずに地面を蹴ることは容易ですが、SFクラスの場合、足で地面をけることができず、自力でピットまでもどるのが非常に困難となります。
しかし!
今宮
「いや、メルセデス、まだ動いていますね!!」
動き出しました!
自分でチェーンを架け直し、走り出しました。
しかし、そのまま数周を重ねますが、どうも様子が変です。何より、明らかにトップスピードが伸びていない様です。
再びピットインし、確認すると、テンショナーの位置が若干ずれていることが判明、よってギヤが軽い方に行き過ぎていました。チェーンが外れたのも、これが原因でしょう。
改めてテンショナー位置を修正し、次は自分がコースインです。
当初のギヤ比に比べ、トップスピードで劣るものの、疲れた足には程良く、上り勾配のストレートエンドでも16キロ付近まで維持することができるようになりました
これら一連の作業により、3位とのギャップは若干縮まってしまいましたが、タイミングモニターを確認するとまだ2位のようです。
ただ、ギヤ比を変更したことにより、疲労も相まってラップタイム的には落ちてしまっていますので、予断を許さない状況です。
残り一時間を切り、トップ、マクラーレンチームは、依然快調にラップを重ねておりますので、逆転はほぼ不可能になってきました。あとはいかに現在のポジションを失わないか、になってきます。
しかし!
そんな中、現在4位のGT3(改造3輪車)チームのペースが上がってきました!
その追い上げに合わせ、3位のGT3もペースアップしています!
しかも、そのチームから聞こえてくる声援は
”いけー!4輪抜けるぞー!”
狙われているのは自分たちで間違いありません(^_^;)
最後の最後まで、気の抜けない状況となってきました。
最後に確認した我チームの順位は2位です。
しかし、その前に確認した時に比べ、3位とのギャップは縮められていたようでした。
3位4位の追い上げにより、我がチームが4位まで順位を落としてしまうと、9ポイントもの差をマクラーレンチームにつけられてしまいます。
もはやペースダウンが許されなくなった状況で、タイミングモニターを確認に行く余裕もありません。
できることは、持てる体力の全てをいかに効率よく、残された時間にいかに使い切るか、無理な連続アタックも、頻繁なドライバーチェンジも、何が吉と出るかわからない状況です。
残り10分を切り、2人とも体力の限界を確実に感じました。
そこで、再び、長男から奇策が…
長男
”1ラップづつ、全開でアタックしよう、そして、残りを俺が走りきる!”
頼もしいじゃないですか!
まずは長男が、渾身のアタックを見せます!
ファステストとはいきませんが、終盤とは思えない、力強い走りを見せてくれます。
そして、1周で、ピットレーンを駆け上がってきます。
素早くドライバーチェンジし、今度は自分のアタックです。
息子の走りに負けじと、これが最後と言い聞かせ、膝が砕けんばかりの勢いで、漕ぎ続けました。
少しでも多くの走行時間を息子に残すべく、ピットに戻ります。
自分
”残り、2周は行けるぞ!”
その言葉を最後に、息子が最後のアタックに出て行きました!
時間的には1ラップ分は残しましたが、このコースインは、長男は1周分の時間しか休んでいません。
果たしてチェッカーまで何周できるか。
順位も、うやむやになっている今、とにかく多く周回することだけです。
そして、交代後、1周目を終え、2週目終盤のあたりで…
チェッカーです
そのまま、コントロールラインを通過し、ピットウォール付近へ…
よく頑張りました!
そして、マシンに対しての体の大きさが、随分と成長したものだと改めて感じるとともに、
体だけでなく戦略のアイデアといい、途中苦難を乗り切る根性といい、勝負に向かう姿勢といい、
いろいろなところが成長しているのだなと、マシンを寄せてくるその姿に実感しました。
今回は2人だけでの参加ということで、お互いにプレッシャーがあったと思います。
どちらかが故障したり、根性を見せられなくなれば、当然残念な結果となる可能性が有り、その責任を感じることになったでしょう。
他チームとの戦いももちろんですが、自分自身、そしてチームメイトである親子間での戦いが一番のであったかもしれません。
そんな中、お互いが全力を出して、力強く走り、励ましあいたたえ合った今回のレースは、また今までにない新たな感動をもたらしてくれました。
結果はどうあれ、やはり、参加してよかったと思います。
そして、お互いを讃えたあと、表彰式です。
総合結果はこの時点で解っていません。
ただ、3、4位のチームが猛烈に追い上げていたこと、それは事実です。
表彰式はクラス別に行われます。
まずはSFクラスから発表です。
結果は…
残念ながら2位でした。
しかし、気になるのはそんなことより、総合順位です。そう、年間シリーズのポイントをどれだけ多く獲得できたか…
トロフィー、記念品とともに手渡された総合結果表をいち早く覗き込むと…
総合2位です!
いや、大満足です!
SFクラスはギヤ比の関係で、若干有利であるとは言え、多くのチームが多人数で参加しているなか(1位のマクラーレンチームは10人)で、たった2人で掴み取った総合2位です。
総周回数も188週、我がチームとしては最高記録です。
過去の記録と照らし合わせても、ほぼトップクラスと言える周回数です。距離にして97.760kmでした。
おそらく一人あたりの走行時間、もしくは走行距離では、息子と自分でワンツーフィニッシュでしょう。
十分胸を張れる結果だと、息子にも伝えました。
表彰台では、ノンアルコールビールを使ってのシャンパンファイトも行われ…
息子の表情からは疲れは消え、清々しい笑顔を見ることができました。
その後、各クラスの発表のあと、特別賞の発表があり…
こちらでも、たった2人での参加ということで、賞をいただきましたヽ(・∀・)ノ
参加前は、2人だけということで、どうなってしまうものか、色々な意味での不安もありました。
無理は禁物と思いつつも、やはりレースとなれば、上位を目指したくなるのは、徒競走もF1も同じです。
そんな葛藤の中、今回のレースは息子の成長を一段と感じ取ることができ、父親冥利に尽きる結果だったと思います。
車好きが高じて、人力とは言え自分で作ったマシンに親子で乗って、ともに上位を目指し、満足のいく結果を得られた、最高の気分です。
この想いを実現できたのも、以前より、この人力フォーミュラーマシンに興味を持っていただいて、応援してくださった皆様のおかげだとも強く感じております。
今回のレース前にも、息子に
”みん友さんが、皆応援してくれているよ!”
と告げていました。
その言葉も息子は大きく励みになったらしく、レース後も
”結果を早くみん友さんに知らせようよ!”
と、皆様のことを気にしていたようです。
やはり、応援いただいていることは大きな力になるものだと実感しました。
無事にレースを終えられたこと、とても満足のいく結果が得られたこと、皆様抜きでは考えられなかったと思います。
そして、このブログにもお付き合いいただき、本当に感謝しております。
改めて、この場を借りて、応援いただいた皆様に御礼申し上げたく思います。
本当にありがとうございました<(_ _)>