すみません、もう少しだけ、話させてください。
亡くなった先輩(以後、Hさんとします)は、整備班のムードメーカー的な存在でもありました。
当初3人いたところに新人で自分を含め3人が入社し、2人はすぐに辞めていきました。
結果4人で、その後10年過ごしたのですが、年功序列で言うならば、上に2人いて、次いで、Hさん、一番下に自分でした。
当然、時には誰かが休むという日もあるんですが、Hさんが休んだ日は、整備班の雰囲気は明らかに違いました。
それは当時者だけでなく、整備班以外の人にも伝わっていて、その休憩する事務所に人が寄り付かなくなるぐらいなんです。
そんな空気になりがちな中で、新しく入った自分が嫌気が差さないようにと気遣ってくれたのか、
とにかく、よく構ってくれました。
仕事の話はもちろん、車の趣味的な話など、くだらない冗談を交えながら
いつも笑わせてくれました。
つまらない仕事(自動車整備以外の仕事も請け負っていました)でも、一緒にやってくれたり、少しでも楽できるように良くも悪くも上手く手を抜くことを提案してくれたり。
そんな時でも、やはり冗談をよくいって、それが出張先でも楽しく仕事ができるようにしてくれたり。
泊まりの出張では、こんなところまで来たんだからとその責任者に詰め寄って、しこたま酒飲まさせてくれたり。
常に自分が思っている不満を汲んでくれ、和らぐように上層に掛け合ってくれたり、それで解決できなくても、うまく隠れて、いい条件で仕事ができ、日々が過ごせるように配慮してくれたり。
例えば、勤務中、さほど忙しくない時なんかは
「トランザム、中に入れていいよ」
なんて工場の中に入れさせてくれ、
しかもそのあとで飛び込みの仕事が来ても、
「いいよ、トランザムいじってて、手が必要になったら声かけるから」
っていって、Hさんは工場の外で仕事をこなしてくれたり。
その状況を社長が見つけて
「なんでトランザムが入っているんだ!」
ってなっても
「いいんだよ!」
って庇ってくれたことも。
時に、そんな感謝も忘れて、次第に技術を覚えて天狗になり始めていた自分もいました。
今思えば、まだまだ未熟であったのにです
それでも、消して咎めることなく、むしろその天狗になっている自分を容認すらしてくれているような
それほど寛大な人でもありました。
今思うと、そんな自分を情けなくすら思います。
そんなHさんがいてくれたからこそ、自分も10年間その会社にいることができたんです。
その10年の間に、結婚もし、長男・長女も生まれ、Hさんのアドバイスで中古とは言え家も買い、仕事を休んでDIYでリフォームもでき、そして仕事中にトランザムも、フェラーリチャリ(×3台)も、乗用玩具のトランザムも、ほかにも色々作ることができ…
今こうして生活できているのもその10年のおかげかもしれません。
とにかく、何をするにも暖かく、そして楽しく見守ってくれる人でした。
それこそ、会社の経営が危うくなって給料も下がり、
見切りをつけたがっている自分を、決して無理に留めることなく、それでいて
少しでも楽しく日々が過ごせるようにと。
もちろん、技術的にも、教科書にない多くのことを教わりました。
決して綺麗でない、確かでないとは言え、その状況では最も効率が良いとされる方法や、
機械の損耗具合や余命を見据えた適切な応急修理の方法など。
なんでも、新品に変えるのではなく、必要に応じた部分のみ、必要に応じた最も適切な処置。
レーシングカーの世界のように、高次元での整備とは程遠いですが
限られた状況のなかで如何に工夫して機能させるか、みたいな。
いや、むしろその技術だけでなく、同時に備わった精神論的なものが
今こうして、なんでも自分でやってみようというきっかけになったんだと思います。
そんな人の悲報をお母様から知らされて、最初はよくわかりませんでした。
現実味がないとうか、ドラマでも見ているような。
理解できないので、相槌を打つのが精一杯。
で、我に帰って、現実と認め、いろいろ考え出し…
暮れの電話で邪険にしてしまったこと
いつしか天狗になって生意気だったこと
今さら感謝の気持ちに気がついたこと
はたして赦してもらえるのだろうか?と思ったりもし…
でも、多分、Hさんはそんなことを咎めすらしないのかなと
そして泣いて床を叩く姿を、Hさんは望まないのではと。
少しでも楽しく日々が過ごせるようにと努めてくれたんだから、
自分がいつまでも悔やむのは望むはずはない、そう思ったんです。
奇しくも、お母様から知らせを聞いた27日の、我が家の日めくりカレンダー…

(写真撮る気持ちの余裕はなかったので画像は拾い物です)
めくるのも忘れていて、今朝気がついたんですが。
なんの因果か
最後にネタまで振ってくれたのか
こうして、Hさんへの自分の思いを文字にしてみて
少し、気持ちが整理できた気がします。
仕事をしている身で接客業ということもあり悲しみを全面に出し続けるわけにも行きません。
家族もいて、友人もいていつまでも周りに心配をかけるような態度でいることも
Hさんは望まないと思います。
Hさんが今まで自分にしてきてくれたことを尊重して
感謝の気持ちとともに、気持ちを切り替えようと思います。
読んでいただき、本当にありがとうございました。
Posted at 2015/01/29 17:39:06 | |
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