
少し旅の思い出ネタを。
帰ってきて以来放置していたグローブを、ビニール袋から出して洗う事にした。
あれから10日。袋から出した瞬間に発酵したハラワタの凄い臭いが・・・とおそるおそる引っ張り出すが、寒かったせいか恐れていたほどでは無かったw。
でも、やっぱりちょっと魚クサイ。
冬の
羅臼の観光船は4社ほど出ています。
宿が副業としてやっている所もあれば、アウトドアを色々やっている所が観察統計を取りながらやっている所も。
知床の海は急峻に深く、オーホーツクや太平洋、島々が複雑に配置する事もあって、沿岸近くで多様な生物を見る事ができます。
時期によって見易い生き物は違うのですが、樺太の横を通りオーホーツク海を渡った流氷が知床岬を回りこんで来る頃は、何と言ってもオジロワシとオオワシ。そしてそれを見たい人、がこの最果ての地へやってくるのです。
ワシタカ類でも最大級の大きさのこの2種。
特にオオワシはシベリアから日本海・オホーツク沿岸にしか生息せず、その存在感溢れる姿に憧れて欧米からやってくる人達もいます。
観光船の料金は結構痛いのですが、天候のリスクを恐れずに地球を半分近く回って見に来る彼らの事を考えると、私の懐の痛みなぞ些細な事のように思えてくるのは気のせいでしょうかw。
(外国の方達は、個人客として定時の船に乗ったり団体で船を貸しきったりとかしてます)
海峡から根室方面へとなだれ込む流氷の量は年によって違いますが、オホーツク側とはある程度切り離され、南風が吹けば羅臼側へ北風が吹けば国後側へと移動します。
(流氷の状態は
海氷センターの海氷速報などをどうぞ。2月中旬の頃には知床を包むようにあった流氷は、今は沿岸からかなり離れています)
ハイシーズン、ロシアから渡ってきて一度道東沿岸部に散った鷲達は、観光船の営業再開に合わせて一部は羅臼周辺に集まります。
それは古くから、タラが豊かに獲れた頃からの冬越しの人への依存の名残。
天候の穏やかな日は、揺れる白い仮の大地となった流氷の上の気に入った小高い氷の上で、彼らはお腹を満たしてくれる魚を持ってきてくれる船がやって来るのを待ちます。
その日の
流氷は幾分沖の方に離れていました。
初めて見る流氷帯は白く広く海面を覆う不思議な領域でしたが、見慣れた人からすると暖かさによって融けて緩み始めた状態らしく、薄めの丸い氷の大集団にも見えました。
乗った船が流氷に近づくと、早朝からの船なのか2隻ほど見えて、多少氷の中に入った状態で停泊していました。
出港からずっと付いて来たカモメも百羽近くにはなったでしょうか。
海面と氷原の境から少し入った辺りで大きなテーブル状の氷に場所を定め、船から魚(主にアラ)を撒くとカモメ達が大騒ぎで群がります。
それを見た遠くの鷲達が準備に入ります。
もっと港に近い時は、更にカラスが加わって大変な状態になるそうですw。
船はゆっくりと前進後退を繰り返し、ゴンゴンバキバキと薄い氷を叩き割って、テーブルを挟んだ羅臼の街の反対側に位置取ります。
船は50人乗り程とそんなに大きくはありませんが、調査用で大出力のしっかりした機種だとか。
太陽は背中側から当り、目の前のテーブル周辺はいかにも氷海っぽく見え、背景には知床連峰が連なるという万全の
構図。
「2社のどっちかなら、生態も写真の事もよく解ってるから心配ないよ」と言われていたのがよく解りました。
移動時間がそんなに無かったので、1時間以上停まっていたでしょうか。
風も無く穏やかで、足元からの重装備もあって風邪の分を引けば長閑そのもの。
舷側から、あるいは上のフロアから見下ろして。カモメに割って入って魚をついばむ奴や、そろそろ食うかと飛びたつ奴、今日はもういいやと氷上でのんびりしてる奴と、撮る構図もいっぱい有ります。
ファインダーの中には彼らの躍動感が踊ります。疲れたら船内の長椅子で一息。
船尾に回って眺めていた時、「そこにいたらとびますよ~」と声が掛りました。
船尾では時折係りの人の魚撒き。妨害するカモメや順番待ちの鷲の様子を伺って、写真的に絵になりそうな所へピンポイントで投げてます。
そのバックスイングで、船上ながら時々ハラワタの飛んでくるエリアがあるようです。
船長の合図で、予定の時間が終った船は港へと。
「楽しかったな」と思いながら港に停めておいた車で着替えて片付けていると、なんとグローブに魚のハラワタが付いているのを発見(汗)。
手摺かどっかを持った時に付いたのでしょうか?匂いをかいでみると「生臭っ」という事で、ティッシュでなるべく拭き取って厳重にビニール袋に密封・・・…となり、やっと冒頭のグローブ洗いに繋がる訳です。(長文スイマセン)
ちなみにネタ的には、写真左の軍手の汚れは、雪の路肩に落ちてトラックにワイヤー牽引してもらった時のU字ボルト脱着の時のもの。
もっとやせふくろうネタに強い人用には、寒風の中の写真用に人差し指フィット感云々で用意したあのネオプレーン作業用手袋はどうなった?ってのがありますが、あれは多分“層雲峡”のトイレに置き去りにしてしまって短い付き合いだった・・・なんてのがあります。
ちなみに洗ったのは、使わんだろうと思いながら持っていった岩場等の登山用と思われる薄手のグローブ。
Posted at 2010/03/10 18:26:55 | |
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