
前回、イロハのイで発進加速、つまりは
シフトアップをやりましたので、今回はシフトダウンです。
最初に言っておきますが、シフトアップはほとんど"もう、これしかないだろう"って感じで議論の余地がないのですが、シフトダウンは逆に、色々と応用というか、工夫の余地が沢山あります。その辺の事情も踏まえて、最後に
実用的ないくつかの方法も紹介しましょう。
操作に関しては、基本的にシフトアップもシフトダウンもほとんど同じです。ミッションの構造は一緒ですし、要は上か下かの違いだけですから、人間がやることも機械の動作もほとんど大差はありません。
じゃぁなんでシフトアップのようにシンプル(単純)にいかんのか?
先ずは話を単純化するために、定速走行中のシフトダウンから説明しましょう。
このクルマは3速3000rpmで40km/h、これが4速になると2000rpmとしましょうか。
今4速2000rpm、40km/hで走っているとします。3速にシフトダウンしようとすると、
①先ずアクセルを離すと同時にクラッチを切ります。
②ギヤをニュートラルに抜き、3速のゲートの入り口に導き軽く押し付けます。
③シンクロが4速ギヤと3速ギヤの回転数を同調させてくれるとシフトレバーが吸い込まれるように3速に入ります。
さぁ、後はクラッチを繋いでシフトダウンは完了ですが、エンジン回転数はどうなっているでしょうか?
2000rpmでアクセルをOFFしてますからシフト操作の間に当然、
エンジン回転数は下がります。しかし4速2000rpmから3速に落とすと、エンジン回転数は3000rpmになるんですね。つまり、シフトアップのときは落ちてくるエンジン回転と同調するタイミングでクラッチを繋げば事は済みましたが、シフトダウンの場合は
何もしなければエンジン回転数は絶対に合いません。
この状態でクラッチを繋げば
④クラッチを繋ぐとグワンとエンジン回転数が3000rpmまで上がると共に、エンブレが掛ってクルマがつんのめるようにギクシャクします。
ということになるワケですd(^.^)。
これを避ける方法は、半クラッチを使ってエンジン回転数を3000rpmに持ち上げるときのショックを吸収してやるという手がありますが、スムーズに繋がる一方でクラッチは当然、消耗します。十回や二十回で摩耗してしまうことは勿論、ありませんが寿命が短くなるのは間違いないでしょう。
何もしなければ回転が合わない。ということは、合わせるために
なんかしてやりゃイイわけですな(^^)。
①先ずアクセルを離すと同時にクラッチを切ります。
②ギヤをニュートラルに抜き、3速のゲートの入り口に導き軽く押し付けます。
③アクセルをポンッと煽ってエンジン回転数を3000rpm以上に上げます。
④シンクロが4速ギヤと3速ギヤの回転数を同調させてくれるとシフトレバーが吸い込まれるように3速に入ります。
⑤タコメーターの針が落ちてくるタイミングで、例の「パンッと鳴らない拍手」の要領でクラッチを繋ぎます。
この
③アクセルをポンッと煽る行為が俗に言う
「ブリッピング」というヤツです。
MT初級者は、一定速度で走りながらこの要領でシフトダウン、シフトアップを繰り返してやることで、アクセル、クラッチ、シフトレバーの操作の連携を身に付ける良い練習になるでしょう。
ただ、話はココで「以上お終い」とはなりません(^^;)
なぜシフトダウンをするのか?加速していくときにシフトアップが必要な事と真逆で、普通シフトダウンが必要になるのは減速するからに他なりません。クルマが減速するためには、通常はブレーキを踏むものです。
①アクセルを離してブレーキを踏み、クラッチを切ります。
②ギヤをニュートラルに抜き、3速のゲートの入り口に導き軽く押し付けます。
ここでポンっとアクセルを煽ってやりたいところですが、貴方の右足は既にブレーキペダルを踏んでいます。つまり暇じゃないワケですな(苦笑)。
更に、ブレーキを踏んで減速しているワケですから、3速に落としてクラッチを繋ぐときにはもう、速度は40km/hではありませんから3速3000rpmじゃなくなってます。仮に30km/hまで減速してたら、3速で何回転ならイイのでしょう?
この2つの難問の内、最初の困ったを解決するテクニックが
「ヒール&トゥ」です。
①アクセルを離してブレーキを踏み、クラッチを切ります。
②ギヤをニュートラルに抜き、3速のゲートの入り口に導き軽く押し付けます。
③つま先でブレーキを踏みながら、踵でアクセルをポンッと煽ってエンジン回転数を上げます。
④シンクロが4速ギヤと3速ギヤの回転数を同調させてくれるとシフトレバーが吸い込まれるように3速に入ります。
⑤タコメーターの針が落ちてくるタイミングで、例の「パンッと鳴らない拍手」の要領でクラッチを繋ぎます。
但し、2つ目の困ったは解決しませんね。この例では30km/hに落ちれば3速2200rpm強となりますが、この辺の回転数の合わせは身体で覚えるしかありません。
また、ヒール&トゥは基本的にスポーツ走行時のテクニックであって、一般道での常用には適しません。ボクもまぁたまには公道でもやりますが、サーキット走行では100%減速時に行うのとは対象的で、全くやらなくても実用上は困りません。まぁそういうモノだと理解しておけば良いでしょう。
以上のような基本や理屈を踏まえて、いくつかの実用的なシフトダウンの方法を紹介します。
一般公道でシフトダウンが必要な場面は様々ですから、都度、臨機応変に対応するも好し、自分がもっとも得意な方法を可能な限り駆使するも好しです。
【其の壱】
例えば交差点や曲がり角に向かって減速していくとき、ギヤチェンジはせずにブレーキのみで減速します。クラッチはエンジン回転数が下がり過ぎてストール(ガクガクしてしまう)直前で切り、シフトダウン(例えば4速→2速)します。交差点手前のもっとも速度が落ちた時点でクラッチを繋ぎます。
20~30km/h程度で曲がる所なら、エンジン回転を合わせなくてもクラッチを丁寧に繋いであげればショックは気にならないレベルで吸収出来ます。アイドル(700rpm)前後からせいぜい1000~1200rpmくらいに跳ね上がるだけですから。
【其の弐】
其の壱と同様ですが、クラッチを切ってシフトダウンしたら、クラッチを切ったまま惰性で進入します。曲がって加速のタイミングでアクセルを少し入れ、最小限の半クラッチでクラッチを繋いで脱出します。
この方法はほぼ、交差点限定です。歩行者などによって停車を余儀なくされるような場面では、そのままブレーキを強めれば止まれます。逆に中程度以上の大きさのカーブでは適しません。
【其の参】
カーブの手前でアクセルをOFFし、エンブレで減速しながらプリッピングを利用してシフトダウンします。
その後にブレーキで減速してカーブに合った速度まで落とします。峠などのワインディングで中程度以上のコーナーをあまり加減速を行わずに流すような場面で、スピード調整をする前にギヤを落としてしまうワケですね。そうすると後は、カーブでブレーキとステアリング、アクセル操作に集中出来ます。
まぁ大体こんなところで9割方のシチュエーションはカバーできるでしょうが、勿論その他の応用でも全然構いません。良いアイディアがある人は是非、コメント欄にご披露下さい(笑)。
「ふむふむ、なるほど、これは勉強になった」と思った人は、イイね♪をお忘れなく(爆)