
日光「
いろは坂」の上り専用道路「第二いろは坂」でホンダの初代ヴェゼルなどのハイブリッド車の立ち往生が多発していたという、2022/10/30のツイートが話題になっていた。
https://twitter.com/nikomiiii__/status/1586651183858388992
https://togetter.com/li/1966432
初代ヴェゼル (2013-2021)のハイブリッドは「
SPORT HYBRID i-DCD」という方式で、3代目フィット (2013-2020)で初登場。 「高出力モーター内蔵 7速DCT」により、高い伝達効率とMT車のようなダイレクト感のある加速を実現している。

モーターは1個だけで駆動または発電を行うが、両方を同時には行えない。 コンパクト化のためモーターの内側に遊星歯車方式の1速をレイアウトしている。
ホンダのHPの解説によると、i-DCDは3つの走行モードと回生ブレーキがある。
1:モーターのみ(発進時や市街地など。発電不可)
2:エンジン+モーター(加速時など。発電不可)
3:エンジンのみ(発電可)
4:減速時の回生ブレーキ(発電用)
通常の発進時や走行時は1番か2番で発電不可。 3番は発電可能だが20km/h程度以上の車速が必要という。 4番はアクセルオフやブレーキで減速時の発電。
今回の「第二いろは坂」のように長距離の上り坂で微低速の渋滞が続くと電気を消費する一方で発電ができず、やがてエンジンだけの走行になる。 トルコンを備えたAT車なら普通にエンジンで走るだけだが、モーターが使えなくなったi-DCDで半クラッチ走行が続くとクラッチの温度が過度に上昇して警告が表示されて停車を促される。
この「第二いろは坂」をトヨタ 86 (6MT)で
2019/11/4に通ったことがあるが、渋滞中は4km/h程度での低速走行が続いた。
1速でクラッチを繋ぐと8km/hぐらい出てしまうので「半クラッチで動力走行」と「ニュートラル(または全クラッチ?)で惰性走行」を手動で1時間ほど繰り返すことになった。 この時は停止することがなかったので極短時間の休息もとれなかった。

i-DCDに限らずDCTやAMTでは「半クラッチで動力走行」を自動で続けるのでクラッチが過度の温度上昇に陥ってしまうようだが、運転手がDとNを手動で頻繁に切り替えながら走れるのかは知らない。
こちらの画像は
4回目のリコール作業を受けたときに配布されたリーフレットの一部。
「① (A) 坂道で時速4km程度のノロノロ走行」でクラッチ温度が上昇すると書かれており、バッテリー残量がなくなると半クラッチが続くことがわかる。
「1速でのエンジン走行」はギヤ比が低いため通常は使用されないらしい。 ギヤ比は1速が4.418 / 2速が2.007 / ステップ比は2.20。
フィットにはi-DCDの他にMTがあるが、そちらは1速が3.461 / 2速が1.869 / ステップ比は1.85。

この低い1速を手動で選択できたら案外よかったのかもしれない(1速で走った場合が、前の画像にある「②の時速7km」だったらダメだけど)。
他のストロングハイブリッド車であれば低速で余裕のある走行状況なのでエンジンで発電して何も起きないと思うがi-DCDは読みが甘すぎたようだ。 外国車が日本の渋滞に耐えられないという話は旧世紀から見聞きするが、2010年代の日本車が耐えられないとは・・・
▽2022/11/12 09:00 追記
現役モデルで最後のi-DCD車、フリード ハイブリッドの色付き取扱説明書がHPで閲覧できた。 Pレンジで停車するとアイドリングによる充電ができることがわかった。
https://www.honda.co.jp/ownersmanual/webom/jpn/freedhybrid/2023/details/136177090-32183.html

こちらはトランスミッションの温度警告表示。
「ITmedia ねとらぼ 交通課」にはホンダ広報部からの回答が載っていた。
https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/2211/09/news131.html

これによると「停止時にブレーキではなくアクセルを少し踏んで発進・停止を繰り返したため」発生し、「ブレーキを確実に踏んで発進・停止を繰り返せば、今回の事象は回避できる」という。
しかし前述の、私が86 (6MT)で半クラッチ~ニュートラルでの走行を続けたときは停止することがなく、(バッテリー残量がなくなった場合の)i-DCDではクラッチが半クラッチを続けることは変わらないので、この回答は回避策になっていないと思う。
Posted at 2022/11/12 05:54:37 | |
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