
以下「○イヤモンド・オンライン」から・・・・
どうする?管理職のみなさん・・・汗
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「ハリキリ浮気男」に「恋愛中毒女」
恋愛と仕事力の関係は?
部下の若手新司クンの様子がおかしい――。そう中田堅司課長が気づいたのは、ついこの頃のことだ。
いつも遅刻ギリギリに出社していた彼だったが、最近は始業30分前にはやって来て、難しそうなビジネス書を読んでいる。会議でもよく発言するし、雑用も率先して片付けてくれる。
すっかり成長した姿に、「あの若手が…」と不覚にも目頭が熱くなった中田氏だったが、よく見ていると、成長度合いには日によって波があることがわかった。同じチームのA子さんがそばにいると「大人の若手」に、外回りでいない日は「もとの若手」になるのだ。
A子さんはといえば、どちらの若手であろうといっこうに興味はなさそうである。このままでは「どうしようもない若手」になる日はそう遠くなさそうだ。
やり手に多い 「恋愛脳」タイプ
突然だが、ここで質問。不倫や浮気を繰り返す「恋愛脳」の持ち主は、次のどんなビジネスパーソンに多いだろう?
1.事務処理をそつなくこなせる総務のエキスパート
2.学究肌の研究所職員
3.新規事業を次々に立ち上げるベンチャー起業家
4.顧客フォローが絶妙にうまい営業マン
答えは3.である。
脳の「浮気重症度」を決定するのは、ドーパミンという快感ホルモンの受容体「DAD4」遺伝子。このDAD4遺伝子の一部には、「同じ構造の繰り返し部分」が存在するという。
イスラエル・ヘルツォク記念病院と、米・国立衛生研究所によると、繰り返しが多いほど、浮気重症度は高いそうだ。
ちなみに日本人の平均繰り返し回数は4回。一方、ラテン系民族は7回で、中には10回というツワモノもいるそう。こういう人々は性格的にも冒険心に富み、新奇性を好む特徴があるという。反対に回数の少ない人は、慎重で保守的な性格のことが多いとか。
このことからもわかるように、恋愛脳の持ち主は、公私ともにアグレッシブな傾向があるようだ。おそらく彼らの頭の中は、つねに新しいアイデアや計画、次にゲットするべき美人のことなどでいっぱいなのだろう。こういう人の脳はいくつになっても生き生きしており、なかなか老けないものだ。(そのかわり倒産や家庭内争議など、トラブルも付いて回るかもしれないが・・・)
もちろん、ふつうの恋愛を経験するだけでも、脳の活性度はぐんと高めることができる。たとえば、中学生のころの記憶をたどってみてほしい。同級生に一目惚れしたその日から、退屈な日常が一変した体験はないだろうか。相手にいいところを見せようと、スポーツでもテストでもやたらと頑張ってしまった記憶はないだろうか。マンネリズムに陥った脳を、一瞬にして目覚めさせる魔法――それが恋心なのである。
ムサい男を王子様に変える!?
トキメキホルモン「ドーパミン」
ある情報サービス企業の管理職は、部下の豹変ぶりをこう語ってくれた。
「営業部門に、通称『アンドンくん』という30代男性社員がいたんです。昼行燈のようにぼうっとしているのでついたあだ名なんですが。覇気はなし、気も利かないしで、ほんとうに困ったヤツでした。大事な顧客も逃がしちゃうしね。
ところが、顧客サービス部門に配置転換させて1ヵ月後、突然、人が変わったようにハキハキと仕事するようになった。顧客の評判も上々で、『いったい何が起こったんだ?』と課長連中はみんな首をひねってましたよ。最初は配置転換が効いたのかと思ったんですが、あとから聞いたら、ちょうどその時期に恋人ができたそうなんです。3ヵ月前にめでたくゴールインしましたが、いやあ、驚きましたね。恋の力は偉大だなあ」
イベント関連会社に勤める30代営業マンも、後輩の変化に驚いている。
「後輩は独身・29歳。ぼさぼさの髪、よれよれのワイシャツにしわしわネクタイで、若いのになんともムサいヤツでした。ところが、この春くらいから突然、ヘアスタイルがぴしっとセンターパーツに。ワイシャツもクリーニングされたものを着てくるようになった。猫背だった背筋も伸びて、表情なんかも明るくなりましてね。それと同時に彼あての電話がじゃんじゃん入り始めたんです。みんな彼が開拓したお客さんからですよ。『どうしたんだよおまえ、何かいいことでもあったの?』と探りを入れたら、彼女ができたそうで……。今ではナンバーワンの稼ぎ頭です。変われば変わるもんですね」
ムサい男をセンターパーツの王子に変えた「トキメキの素」は2つある。
1つは、前出のホルモン「ドーパミン」。英国の神経生物学者、バーテルズ氏らがおこなった調査によると、付き合い始めたばかりのアツアツカップルは、お互いの写真を見ると脳の腹側被蓋野という部分が活性化することがわかった。この部分に集中しているのが、ドーパミン受容体である。
ドーパミンは快感ホルモンであると同時に、報酬系の神経回路を活性化するホルモンでもある。
つまり、「恋人の写真」によって脳をハッピーにさせると同時に、「恋人=ご褒美」と認識させる。恋する男が「次のデートにそなえて、美容院に行っとこう」「バリバリ働いて、彼女に恥ずかしくない男になりたい」なとど考えるのはこのためだ。
もう1つは女性ホルモン「エストロゲン」である。恋をすると、男女を問わずエストロゲンが増えるのだ。
「えっ、男でも?」と聞き返したくなるだろうが、実際、男性でも増える。男性ホルモン「テストステロン」は、脳に入ると一部がエストロゲンに変わるからである。エストロゲンは、脳の記憶をつかさどる「海馬」や、その中枢「歯状回」を活性化し、神経細胞を増やす。だから、記憶力や学習能力も高まるのだ。
昔の上司は若い男性社員に「早く落ち着け」と口うるさく言い、積極的に見合いさせたが、「妻子持ちにして会社に縛りつけよう」という意図のほかに、「性能を一気にバージョンアップしよう」というもくろみもあったのかもしれない。
「恋愛中毒」に
ハマる女性たち
とはいえ、恋も溺れてしまっては脳が活性化するどころか、仕事どころではなくなってしまう。
だいたい恋患い中の人間というのは、はたからはどう見てもヘンだ。
夜も眠れないのか、目の下にはくっきりとクマ。食欲もなく、昼食もそこそこに窓の外を見てため息をついたりしている。携帯メールをチェックしてみたり、そわそわ化粧直しに立ったりと、いっこうに落ち着きがない。そのくせ、目だけは異様にキラキラと光っている――実際、恋愛初期の人の脳の状態は、強迫神経症の患者のそれに酷似しているそうだ。
この現象を引き起こす犯人は「フェニール・エチル・アミン(PEA)」。覚せい剤のように気分を高揚させる脳内麻薬物質だ。チョコレートに含まれている、というので一時有名になった。興奮してあまり眠れなくても、食べられなくても、ハイでいられるのはまさにPEAのせい。
また、胸がドキドキしてせつなくなるのは、ノルエピネフリンやノルアドレナリンなどのホルモンが分泌されるからである。いずれも緊急事態に直面すると出る物質で、血圧や心拍数を上げたりする。恋愛初期は、気分の安定をもたらすセロトニンも低下するので、よけいセンチメンタルな気持になるのだろう。
とても困った状態なのだが、本人はひとりで盛り上がっている。それもこれもドーパミンやPEAがもたらす快感があまりに強烈なせいだ。
この快感がクセになると、「恋愛中毒」に陥ってしまう。
ドーパミンなどのホルモンは、同じような刺激が続くと分泌量が減ってくる。ふつうはかわりにセロトニンが増えるため、強烈なハイテンションからおだやかな幸福感へと、脳の状態が変わっていくのだが、中毒患者はそれでは満足できない。次々に新しい刺激を求めようとする。
じつは、恋愛中毒にハマりやすいのは女性のほうだ。薬物やアルコールに依存しやすいのも、どちらかといえば女性だという。しょっちゅうアブない男に恋い焦がれたり、三角関係の泥沼に足を踏み入れたりする女性は、あきらかに中毒患者といえるだろう。
しかも、恋に落ちた女性の脳は、男性ホルモンのテストステロンをたくさん分泌する。だから、より積極的に、そして攻撃的になりやすいのだ。「仕事と私とどっちが大切なの?!」「私を取るの?家庭を取るの?はっきりして!」などと男性に詰め寄ったりもする。
だが、追われると逃げたくなるのが動物の性。「どっちが大切なの」とにじり寄られると、たいていの男性が「もちろんキミだよ…」と口では言いつつも、結局、退散してしまうのだ。
恋を仕事の肥やしにするには、アルコールのように「ほどほど」を心がけるのが一番かもしれない。「適量」と「休恋日」を守れば、脳にいいことがたくさんありそうだ。