2013年04月05日
「雪道」 (13) Copyright (C) 2013 AuO2
しかし、他に道はない。下手に裏道に入ろうものなら、積もった雪でどんな目にあうかわからない。走り慣れている道路でも、雪が積もって路肩が判りにくいと危ないのに、まして、走った事のない雪の道路を走るなんて、論外である。
そんな危ない事は願い下げである。
渋滞でのろのろ走っているのにひどい振動を加えたような走行がしばらく続いた。
運転していて疲れる。
通りすがりに、畑か田んぼかと思われる場所も見えたが完全に真っ白である。間に道路もあったが同じように真っ白で、道路と畑の境目がよく分からない。ガードレールもないのでうかつには走れない。実際、タイヤの跡がなかったから、誰も走っていないのだろう。
確かに道路と道路じゃない部分の区別がつかないと、危なくて走れないし、下手に走ると畑に落ちてしまうかもしれない。
あれでは地元の人でも走るのは危険だろうと思う。
ガタガタ道をゆっくりと走り続けてどのくらいの時間が経っただろうか。斐伊川にかかっている橋、神立橋まで来た。この橋を越えれば出雲市である。
ついに出雲まで来たのだ。
この橋から目的地の店まで、地図上直線距離で約3.7kmである。もうすぐだ。
相変わらず道はガタガタで走りにくい状態のままだったが、目的地のすぐ近くまで来ているという感触が気分を随分と和らげるものだ。
やがて出雲市役所を通過する。ここまで来たら本当にもうすぐだ。そうなのだ。あの、もう少し先の交差点の信号を右折すればすぐに店があるのだ。
少しずつ近付く交差点。目と鼻の先のような距離まで来たのだ。
やっと右折する交差点に来た。ただし、店は反対車線側にあるため、一旦通り過ぎて、適当なところでターンして戻って来なければならない。しかし、それくらいは大した事ではない。ただ単に、ターンして戻ってくればいいだけの事である。
難しくもなんともない。
さて、ターンして戻ってきて、やっと目的地の店に着いた。ここでも駐車場は真っ白である。だが、雪はほとんど降っていなかったように思う。もしかしたら、ちらほら程度は降っていたかもしれないが。
例によってPDAを用意して、店に入り、仕事に取りかかった。外は寒いが店内は温かい。車の中も当然暖房で温かいが、体を自由に動かせるわけではないので、解放感が違う。気分的にも少し違う。
在庫チェック作業も順調に進む。
順調に進んで終わったので、データ収集結果を出すために、車に戻った。車のエンジンをかけて、暖房を入れ、パソコン等の機器も起動させた。PDAからパソコンにデータを転送しなければならないからである。
そんな作業をしていた車中で、物凄い音が聞こえ始めた。
バリバリとフロントガラスやボンネットに何かが当たっているのだ。
なんと、大きな霰[アラレ](大きさからすると雹[ヒョウ]と言えるかもしれない)だったのだ。
フロントガラスが割れるのではないかと、心配になるほど音も大きかったし、実際、粒も大きかったのだ。5mm位の直径はあっただろうか。
フロントガラスの下の方にはワイパーがあるが、そこに霰がたまり、他に転がり落ちるところがないので余計に溜まっていったのだ。粒々の発泡スチロールをわざと車に乗せたのではないかと思うくらい、車に積もっていた。
Posted at 2013/04/05 21:11:42 | |
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随筆 | その他
2013年04月04日
「雪道」 (12) Copyright (C) 2013 AuO2
ここで出雲へのルートを簡単に説明しておこう。
島根県松江市からまず国道9号線の松江バイパスに乗り、西へ向かう。この松江バイパスは米子の方から来る時に利用した山陰道とそのまま繋がっている道路である。
松江バイパスは途中から有料道路の山陰自動車道(山陰道とは異なる)になり、宍道インターチェンジまで行く。出雲まで山陰自動車道は繋がっていないのである。つまり、途中で一般道=国道9号線(これが山陰道)に戻るのだ。
松江バイパスをしばらく走ると、すぐに有料道路の入口案内になり、そのまま進むと、料金所がある。
料金所を過ぎると、すぐに宍道湖サービスエリアがあるので、トイレ休憩と朝食の準備を兼ねて、入った。
利用する車が少ないためか、ここも駐車場は真っ白である。雪も踏み固められていない部分が多いせいで、ふわふわである。
そんな雪の積もった駐車場。毎回の事ながらどこに停めるか迷う。迷ってうろうろしても仕方がないので、ここでも車を適当に端に寄せて停めた。
寒いのでトイレが近くなるというのもあるが、この先、どんな道路状況かが分からないので、用心のため、やはりトイレには行っておかないと安心出来ない。
又、朝食の準備といっても、買ったパンの封を開けるだけの事である。走りながらでも開けられるが安全な状況で開けておくにこしたことはないのだ。
真っ白な駐車場。行楽で来ていれば、素直に綺麗な景色として楽しめたかもしれない。しかし、仕事でこの道路状況の悪い中を走るとなると、やっぱり、楽しめるような状態ではない。
そんな環境の中で私は車を発進させた。
駐車場を出て、本線への分岐に入る。しかし、雪が積もっているので、そんなに速度は出せない。さすがに道路状況が状況だけにやはり通行量は少ない。この辺はありがたい。
山陰自動車道の本線に入って走り始めたが、とくにトラブルもなく、すんなり走る事が出来た。普段より速度が出せないものの、順調に走り続ける事が出来たおかげで、山陰自動車道を降りる宍道インターチェンジに到着した。
宍道インターチェンジを出たら、国道9号線に入る。国道9号線に入ったら、そのまま西へ向かうのだ。そうすれば、あとは道なりにまっすぐ走るだけで嫌でも出雲に着いてしまうのだ。
普段の道路なら何も考えなくても、普通に走る事が出来る。しかし、雪が積もってタイヤで踏み固められ、ガタガタになった道路を走るのははっきりいって、嫌である。ガタガタガタガタとひたすら振動が続くのである。下手な地道を走るよりひどいかもしれないと思う。
タイヤのあまり通らない道路の路肩のあたりやタイヤとタイヤの間になる道路の部分は比較的柔らかい雪が積もったままである。しかし、太陽が昇ってある程度の時間が経過しているため、雪も多少固まっている。下手にそれをタイヤで踏んで走ると、滑って走るコースがずれる事があるので、危ないのである。しかも、一般道で、基幹となっている道路である。通行量がかなり多いのである。
西行き、東行きともに、車がずっと連なっていた。
さらに、走行速度が遅いのだ。先に書いたように路面の状態が悪いので、速く走ろうにも、危なくて出来ないのである。無理もない。
Posted at 2013/04/04 20:22:41 | |
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随筆 | 日記
2013年04月03日
「雪道」 (11) Copyright (C) 2013 AuO2
目覚まし時計がアラーム音を出した。1秒の狂いもなく、設定した時間に音が鳴る。この辺はさすがに電波時計である。今度こそ本当に起きる時間なのだ。ここからはあまりゆっくりも出来ない。
顔を洗ったりして、朝の支度をする。朝食は用意していないので、出雲の店に行く車中で食べるのだ。
服を着替えて、荷物をまとめる。忘れ物がないかも確認する。
窓から外を見てみた。幸い雪は降っていない。しかし、風景が白い。
もしやと思って周辺を見てみると、屋根にも結構雪が積もっていた。どうやら、夜の間に雪が降ったらしい。
先行き不安である。
出発の時間が迫ってきたので、部屋を出た。
荷物が多いので持って移動するのが大変である。荷物を持ってエレベーターでフロントのある階まで行き、チェックアウトした。
玄関を出て、そばの駐車場に行くと、うんざりする光景がそこにはあった。
車に雪が積もっていたのだ。
フロントガラスもボンネットも容赦なく雪が積もっている。
こんな物を乗せたまま走るわけにもいかないので、手で地面に落とす。実に冷たい。一回程度では全部落とせないので、何回も手で雪を落とすのだが、とにかく、冷たい。非常に冷たい。冷たい冷たい、あぁ冷たい。
天井の雪は手が届きにくかったので、申し訳ないがあまり落とさなかった。とにかく手が冷たいのである。
必要な部分の雪を落とし終わると、すぐに車のエンジンをかけた。暖房を入れるためである。
それだけではない。朝食を買いに行くのだ。場所はホテルのすぐ近くにあるコンビニである。
車で行くとはいえ、目と鼻の先の距離みたいなもので、ほんとにすぐ近くなのである。
コンビニの駐車場には雪が積もっていたが、車の通った跡で、ぐちょぐちょ。白かったであろう雪も、汚れて泥のような色になっていて、はっきり言って、汚い。
お世辞にもきれいとは言えない。
ここでも車を停める位置を示す白線が雪のために見えないが、大体の位置に車を停めた。
朝食を買うといっても、車で走りながら食べる都合上、せいぜい、パン類と缶コーヒー程度である。
幸い、朝なので、まだ種類は豊富に棚に揃っている。これが夜になると、売れ残り状態になり、あまり食べたいと思うものが残っていないのだ。買いに店に入っても、そういう時は実に虚しいものだ。
軽く食べられる程度の量を買い、すぐに車に戻った。
さあ、ここからは出雲に向けて出発である。
Posted at 2013/04/03 20:50:50 | |
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随筆 | 日記
2013年04月02日
「雪道」 (10) Copyright (C) 2013 AuO2
テレビやラジオの受信の話が長くなってしまったので、話を元に戻そう。
風呂に入って疲れを癒し、出たら着替えて寝る用意をする。後は寝るだけである。といっても、それだけでは虚しいので、ラジオをつける。
ヘッドホンステレオなので、スピーカーが付いていないため、外付けのステレオスピーカーをつけて、NHK第1放送を受信する(スピーカーはステレオでもNHKのラジオ放送はモノラルなのが虚しい)。これでニュースなどを聞きながら寝るのだ。
目覚ましもセットする。小型の懐中電灯も持参しているので、近くに置いておく。ここまでするかと思わなくもないが、念のため。
朝、目覚ましを鳴らす時間は、普段より遅いのだが、たいてい普段の時間に目は覚めてしまう。習慣とは恐ろしいものだ。仕事場が近くなので、ゆっくりと寝られるはずなのだが、目は覚めてしまうのである。そこで、目が覚めても、目覚まし時計が鳴る時間になるまで、ゆっくりと寝たまま過ごすのだ。早く起きても特にすることがあるわけでもないし、帰りの深夜運転に備えて、体力や気力を少しでも温存しておきたいというのもある。効果があるのかどうかは分からないが。
最近では作業にも慣れて余裕もある程度はあるので、最初の頃程、深夜運転で眠気に悩まされる事は少なくなった。とはいえ、少なくなっただけで全然ないわけではないのが辛いところである。
枕の両脇にスピーカーを置き、ラジオをつける。これから寝るので音量は控え目である。当然、テレビは消す。
ラジオを聞きながら寝るのも好きであるとはいえ、これには利点と欠点がある。
内容がつまらないとか、興味のわかないものであれば、比較的眠りに入りやすい。ところが、面白かったり、興味のある内容だったりすると、寝るどころか、かえって聞き入ってしまい、全然眠れない事もある。ひどい時は、面白さが勝ったりして、目が覚めてしまう事もある。結局、1時間とか2時間、ラジオを聞いてしまっている事もあるのだ。困ったものである。
今日の仕事は終わった。後は寝ることである。今日の疲れを癒し、明日に備えるため、私は眠りについた。
翌朝。
案の定、目覚まし時計に設定した時間より前に目が覚めてしまった。
ゆっくり寝るつもりだったのに、虚しい。
目が覚めてはしまったが、ゆっくりしたいので、目をつむってそのまま横になっていた。
静かである。これで仕事がなければほんとにゆったりとした時間が過ごせそうなのに、と思う。
しかし、だ。
ゆっくりとしていようが、ゆったりとしていようが、時間は容赦なく進んでいく。誰に遠慮する事もなく、時間は進んでいく。
そして、時間は目覚まし時計に設定した時に至る。
Posted at 2013/04/02 20:55:35 | |
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随筆 | 日記
2013年04月01日
「雪道」 (9) Copyright (C) 2013 AuO2
山陰道を出てから、ようやくホテルに到着(時間は21~22時くらいだったと思う)。これで、とりあえずはひと安心である。もっとも、帰りに問題が起こるかもしれないが。
チェックインを済ませて、部屋に入る。荷物が多いので少々大変である。貴重なパソコンや携帯端末等の電気製品は当然車には残さない。もしもの事を考えても、車に残していくのは得策とは言えない。特にパソコンは中古とはいえ、私にとっての名機(一般的にも名機の部類に入ると思うが)を使っているため、ぞんざいに扱うことは考えられないのだ。
私の部屋は結構上の方の階だった。6階くらいだったように思う。
部屋に入り、荷物を置く。椅子に座ってひと休みした。雪はほとんど降っていなかったと思うが、とにかく風は強かった。おかげで、寒さ倍増であった。
まして、6階。余計に風が強い。部屋の窓を開けるわけではないので、風で寒いといった事はない。しかし、ヒューヒュー、ビュービューと、音を聞くだけでも寒いのだ。実際、外が非常に寒いのだ、という事は、窓ガラスに付いた水滴の量でわかるというものだ。
室内と室外の寒暖の差が大きいため、びちゃびちゃといっていいほど、窓ガラスは濡れていた。
本当に寒いのである。
テレビをつけ、ニュースを見る。しかし、ここは大阪ではない。島根である。民放は大阪とは違うし、チャンネル番号も違うので、順番にチャンネルを変えて見てみる。結局、NHKを見てしまう。ただ、ラジオ放送は夜であればかろうじて毎日放送が聞けたように思う。そういう状況を目の当たりにすると、気分は異国の地にいるようなものである。
疲れたので、そろそろ休もうと思い、風呂の準備をした。
テレビを消すと静かになってしまうので、あえてつけたままである。それに、音だけでも聞いていれば、情報を得る事は出来る。
テレビはホテルに備え付けの物をそのまま使うわけだが、ラジオはさすがに置いていない。そんなことから、ラジオ付きのヘッドホンステレオをわざわざ持参している。勿論、AMステレオ対応である。ラジオ放送も結構好きなのだ。
もっとも、大阪の放送局が島根ですんなり聞けるわけでもないのだが。
持参しているのはヘッドホンステレオだけではない。目覚まし時計も持参している。
目覚まし時計も、太陽電池で発電して動作する両局受信の電波時計である。
目覚まし時計もたいていホテルに備えてあるが、自分の物が一番使いやすいし、信用も出来る。しかも、両局受信の電波時計であるから、基本的に日本全国で標準時刻電波を受信出来、時間も秒単位で正確である。
さっき、気分は異国の地などど書いたが、実際、テレビにしてもラジオにしても、チャンネルや周波数が全然違うので、普段自分が生活している地域のテレビやラジオを見たり聞いたりするようにはいかない。
テレビは番組表を見れば、大体どの系列かわかるが、ラジオは地元密着型が多いので、ちょっと聞いただけではよく分からない。又、それ以前にどの周波数でどんな放送をしているのかがさっぱり分からなかったのだ。
自動受信機能を使って、受信してみたりするものの、うまく受信出来ない事も多いし、移動していると放送地域をまたがったりして、メインになる周波数が変わったりするので、余計にややこしいのである。
特にNHKはサテライト局が多く、いろんな周波数で放送しているので、よく聞こえる周波数を探すのに手間のかかる事もある。まあ、手間といっても、単に聞きやすい周波数を探すのが面倒なだけであるが。
なお、ラジオはシンセチューニングのものでないと、正確な周波数が分からないので本当に困る。普通のダイヤルチューニングだと受信周波数が正確に分からないし、複数の放送が近い周波数に並んでいると、どの放送局を受信しているかの判別が結構難しい。
しばらく聞いていれば、コマーシャルの後などに放送局名を言ってくれるが、いちいち待ってられない。少なくとも、コマーシャルが入れば民放である事は分かるが、どの民放かが分からないのである。
普段自分が聞いている放送局なら大体すぐ判別出来るが、いかんせん、異国の地である。ちょっと聞いただけでは判別出来ないのである。ダイヤルチューニングのラジオも実は持って行っているのだが、結局、使わない事が多い。理由は正確な周波数が分からないからである。
Posted at 2013/04/01 20:52:40 | |
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