2013年03月26日
「雪道」 (3) Copyright (C) 2013 AuO2
速度は通常よりゆっくりでも、走り続けているのだから、そのうち蒜山インターチェンジには到着する。
到着する手前からかなりの雪が降っていた。しかも、蒜山高原である。普通に考えても雪が多そうな場所だ。
蒜山インターチェンジに近付く。しかし、吹雪で正確な道路の分岐位置がわかりにくい。雪もかなり積もっていて、走りにくいのだ。正直言って、こんな状況は勘弁してほしいと思っていた。
幸い、過去に何度か走っていたので、その時の記憶も頼りに分岐に入って行った。勿論、速度はゆっくりである。
本線から出口への分岐へ入ってすぐ、瞬間的とはいえ、ものすごい吹雪になり、視界がほとんどきかなくなった。恐ろしいことに出口料金所への分岐は右にカーブしている。道路の端は積もった雪でわからない。正確に道路を走らないとガードレールやコンクリートの壁に当たってしまう危険があった。
やむを得ず、ブレーキを踏んだのだが、これが危なかった。
積もりたての雪の上で晴れの時と同じようにブレーキを踏むと、どうなるか。
スリップである。
そう、スリップしたのである。
しかし、ゆっくりと走っていたのが幸いした。一瞬スリップして、車の向きが少し変わっただけですんだ。あの時の走行速度がもう少し速かったら、横滑りしていたかもしれない。実に危険である。
それでもなんとかそろそろと走り、料金所にたどり着いて、高速道路を出た。
高速道路を出たからといって、何か状況が好転するわけでもなく、相変わらず、世界は白かった。
嘆いたところでことは進まないので、とにかく、目的の店に向かう。
走行は慎重にゆっくりと走った。しかも、お世辞にも広い道路とはいえない一般道。スリップによる事故を起こさないように気を付けなければならない。
実に危険である。
地元の人は慣れているかもしれない。しかし、こっちは雪道走行初心者である。とっさの時の対応がうまくいく保証はない。
ただ、幸いなことに交通量はきわめて少なかった。確かに、こんな雪の降っている中をわざわざ車で走る人はそうはいなかったようだ。
相手がいなければ事故の可能性も減るというもの。
無事に目的地に着く事を願い、運転を続けた。
子供の頃は雪が積もると嬉しくてよく遊んだが、さすがにこういう状況になると、とてもじゃないが、嬉しいとは思えない。むしろ迷惑である。
大阪の場合、雪が積もる事自体が少ない。だから、雪が積もると珍しさも手伝って、遊び心が出せる。しかし、こういう雪の積もる事が珍しくない地域の場合、嬉しくもなんともないのだろうと、想像してしまう。勿論、これは私の勝手な想像にすぎない。
さて、ここで場所を少しおさらいしておこう。
蒜山インターチェンジは米子自動車道を米子方向に走って岡山県内最後のインターチェンジである。鳥取県の大山の南南東辺りに位置するといったところか。
この蒜山インターチェンジを出ると、国道482号線に出る。その国道482号線を東に向かったのだ。
Posted at 2013/03/26 20:16:50 | |
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随筆 | 日記
2013年03月25日
「雪道」 (2) Copyright (C) 2013 AuO2
いよいよ落合ジャンクションである。分岐に入り、カーブに差しかかる。ここからは中国自動車道を離れ、米子自動車道になる。
天候は穏やかだ。日が差していたくらいだから、晴れといってもいいだろう。
しかし、湯原インターチェンジから先は冬用タイヤ規制があると、事前に放送で聞いていたから、どこかでタイヤチェックでもするのだろう。そう思って走り続けていたら、湯原インターチェンジで一旦出口近くまで誘導され、タイヤチェックをされた。
どんなことをされるのかと、不安だったのだ。というのは、恥ずかしいことながら、こういう規制によるタイヤチェックなどといったことは初めての経験だったのだ。
タイヤチェックをされても、こちらはちゃんと冬用タイヤに交換してあるので、問題はない。無事にUターンして本線に戻ることが出来た。
米子自動車道は山間部を通っているため、トンネルの数も多いし、長さも長いものが多い。そのため、トンネルを抜けると天気が違うということも、すでに雨では経験していた。当然、雪でも同じようなことになるのは容易に想像がつく。
案の定、進んで行くうちに道路が徐々に雪で白くなってきたのだ。
どのトンネルを抜けてからだったかは忘れたが、完全に道路が真っ白になり、雪もかなり降っている地域に突入した。
トンネルを抜けると景色が違うのである。
凄いと思った。
しかし、感心してばかりはいられない。とにかく雪で視界が悪い。大雨とも違い、吹雪の中はかなり視界が悪いのだ。雨との違いは、状況によってはワイパーがあまり必要ない事である。
これはどういう事かというと、雪の質にもよるのだが、ふわふわした雪の場合、車のフロントガラスに衝突せずに、風の流れに沿ってフロントガラスの表面を通過していくのだ。そのせいで、あまりワイパーを使わずに済むというわけである。
雨ではこういうことにはならないから、雨と雪との違いを再認識させられる。
ワイパーを使おうが使うまいが視界が悪いのでたちが悪いのだ。
その雪であるが、まだ降り始めてそんなに時間が経っていないせいか、道路に積もっている雪もふわふわで、10センチ近くは積もっていたと思う。
危ないので速度は出せないし、かなり走りにくい。路肩もよく分からない。ガードレールの色も白なら、雪の色も白である(私の営業車も白。関係ないけど)。とにかく世界が白いのだ。標識も雪が張り付いていて、何を書いてあるかがわからない。
米子自動車道は片側一車線の高速道路なのだが、所々、追越しレーンとして二車線区間がある。普通の時なら左側の車線を走るのだろうが、さすがに雪で道路が見えないため、先行して走っていた車はかなり真ん中近くを走っていた。当然のように後続車は先行している車の走った跡をなぞるように走っている。まあ、そうだろう。私も跡をなぞるように走っていたのだから。
なお、2004年2月現在、米子自動車道は片側二車線化の工事中である。
Posted at 2013/03/25 21:41:10 | |
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随筆 | その他
2013年03月24日
「雪道」 (1) Copyright (C) 2013 AuO2
私はかつて書店に勤めていたが、近年の不況の煽りで閉店してしまい、出版社の営業に転職した。時に2003年6月の事である。
そして、2003年12月19日。
私はその営業の仕事で、鳥取県倉吉市へ向かっていた。
大阪から中国自動車道を走って、米子自動車道に入るルートだった。
関西圏を走っている間は何事もなく、天気も晴れていて、順調だった。場所によっては若干曇っていたかもしれないが、雨や雪が降るようなことはなかった。
交通事故などによる渋滞もなく、順調に走っていた。強いてあげるなら、交通集中による若干の渋滞くらいだった。
中国自動車道と山陽自動車道の分岐である神戸ジャンクションを通過し、ひたすら西に向かって走る。
そのうち、上月パーキングエリアを通過してしばらくすると、兵庫県を脱して、岡山県に入る。
岡山県に入ると、中国自動車道と米子自動車道の分岐である落合ジャンクションまでそう時間もかからない。
ただ、要所要所で聞くことの出来る道路情報を聞いてみると、米子自動車道は雪のため冬用タイヤ規制があると放送されていたのだ。
嫌な予感がした。
この時の規制区間は米子自動車道に入って二つ目のインターチェンジである、湯原から江府までの区間だったように思う。湯原インターチェンジははっきり覚えているのだが、途中の蒜山インターチェンジで米子自動車道を下りたので、その先のことはうろ覚えなのだ。
そうこうするうち、米子自動車道への分岐が近付いてきた。顔を右前方に向けて―東から西へ向かっていたので、北西の方を見たわけだ―米子自動車道方向を見てみると、山が濃い雨雲(雪雲?)に覆われていて、いかにもあの下は厳しい天候ですよ、という感じだった。
本当に嫌な予感がしたのだ。
営業車は雪道に備えて、冬用タイヤ―スタッドレスタイヤ―に交換済みではあった。しかし、私自身は本格的な雪道を走った経験がなかったのだ。
正直言って、大阪圏内での軽い雪道の経験しかなかったのである。
従って、山陰地方の雪がどの程度のものであるかがわからなったのだ。
天気予報等の映像で見た事はあっても、現実の雪にあった事はないのだ。知識としてわかってはいても、実際に経験するのとは全然違うものだ。
美作追分パーキングエリアに近付いてきた。このパーキングエリアを過ぎるとすぐに米子自動車道への分岐である落合ジャンクションだ。地図を見るとわかるのだが、このパーキングエリアから分岐までの距離はすごく短いのである。
Posted at 2013/03/24 20:34:30 | |
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