カーオーディオ話をしばらくしていましたが、そろそろ本道に戻します。
思い出のクルマ、第3回です。
相変わらず80年代初頭をうろうろしてみます。この年代、幼少時代なんで、記憶鮮明かつ思い入れも強いんですよね。先々はもう少し年代を進めますので、しばしお付き合いくださいませ。
幼少時代の私、病弱だった(今も?)ために病院通いも結構な数をこなしていたのですが、今回のクルマは掛かり付けのお医者様の屋根付車庫に納まっておられました。
子供的には病院ともなると嫌いそうなものですが、このお医者様、決して怒らない優しい方だしたので、病院通いは全く苦になりませんでした。何より行けばクラウンを見られるという楽しみもありましたし。
この型のクラウンは、
1.前期:1974年10月 - 1976年11月
2.中期:1976年11月 - 1978年2月
3.後期:1978年2月 - 1979年9月
に分けられます。
乗られていた仕様は、後期のオーナー向け最上級となる4ドアHT2600ロイヤルサルーンのダークブルー。MT全盛のこの時代でもクラウンのロイヤルともなればATが主流(事実セダンと2ドアHTはATのみの設定)でしたが、珍しいことに5速マニュアルでした。
幼すぎて記憶曖昧ですが、確か同型前期の4ドアHT2600スーパーサルーンからの代替だったと思います。
家のクルマも、紺のマニュアル車でしたから、親子揃って当時憧れていたのです。もっとも、維持費の件もありますし、憧れるだけで決して現実的ではありませんでした。
と言うのも、数年前から3ナンバーの方が5ナンバーより登録台数が多くなっているようですが、当時は3ナンバーの自動車税が禁止税的に高かった時代(記憶では、2000cc以下が34,500円に対して76,500円だったかと。その他にも取得税や任意保険も3ナンバーは別枠扱いでした)。このため、ご近所でも新車の3ナンバーなんてのは、なかなか見られず、一般庶民には事実上無縁の存在でした。(メルセデスの時のコメントに書いた近所の中古車屋の社長さんは別枠扱いですね)
一方で、この維持費の高さが市場では敬遠されたため、3ナンバーの中古車は同型の5ナンバーに比べて、むしろ割安な存在。当然下取り値が安いということですから、3ナンバーを新車で買うというのは経費扱いでもなければ、かなり無謀な選択だったのです。
それでは、カタログ画像を解説しつつ、振り返ってみます。
2015/5/14 画像を全て更新すると共に一部追加をしました。
先ずは前期のカタログから
前期のフロントビュー
排ガス対策を考慮したために、フロントフードを高くせざるを得なかったようですが、むしろそれを逆手に取って堂々としたフロントマスクを造形。
前期型では、ボンネットの造詣こそセンターバルジを持ち上げますが、フロントグリルはライトと同一線上に留めます。
前期のリヤビュー
70年代前半のGMフルサイズ(Bボディ・Cボディ)の影響を受けていることは明白ながら、和訳をする過程でむしろ本家より綺麗にまとまったと言いたくなるスタイリング。5ナンバーサイズながら、特にウエストラインから下の造形は寸法の制約を受けているとは思えない見事なもの。
前期の内装
この代からセダンとHTでインパネデザインを分けています。
HTでも6人乗りはセダンと共通の水平基調のインパネ。
5人乗りのインパネは操作性を重視したコクピットタイプの造形。後年130系が登場した際に、HTのインパネは真っ先にこれを連想しました(笑)。
この代の前期は、シンプルながらも決して淡白ではなくグッドデザインだと思っているのですが、同時期のライバルは歴代最濃の330セドリック・グロリア。330と比べるとクラウンの造形は豪華さで劣るという評価だったらしく、豪華に見える方向で
魔改造改良されていきます。
それでは中期のカタログから
中期のフロントビュー
一見前期と同じように見えますが、フードとグリルは変更されていて、グリルが強調されています。
中期のリヤビュー
前期のリヤテールはシンプルで好ましく思えたのですが、中期型から大型のものに変更されています。
掲載のグレードは、新たな上級グレードとして追加されたスーパーサルーン・エクストラ。4ドアハードトップの最上級グレードとしてロイヤルサルーンも追加されています。
これでもまだ足りなかったらしく、中期型への変更から僅か1年余りで再度の変更となり、後期型が登場することになります。
そんな後期のカタログから
後期のフロントビュー
さらにグリルが強調されて、通称”ベンツマスク”と呼ばれるものに変更されています。ついでにライバル&セダンに比べて35mm短かった全長も同サイズまで延長。延長はフロントバンパーの前出しで調整したため、バンパーの後ろに繋ぎ目が入ってしまいます。
後期のリヤビュー
前回、大幅変更されたリヤテールは手が入っていません。
エアアウトレット部分が大型化されていますね。
この時にアルミホイールが新設定されて、2ドアのロイヤルサルーンでは標準装備とされたのですが、4ドアでは注文装備に留まっています。
前期と基本造形は同一ながら、細部のデザイン変更と木目を多用することにより、かなり豪華な印象になっています。
3代目マークIIの時に紹介したステアリングの変更は、こちらからの流用。
ブラウン内装のため目立ちませんが、初期のモケットシートのため、シートの柄は結構派手なもの。外装がダークブルーだと内装もブルーになって、より豪華に見えました。
もっともシートの造形自体は至ってシンプル。
何せ同時期の330ブロアムは、前席埋め込みヘッドレスト&クラッシュドベロア&ルースクッションシートの組合せ也(笑)。
豪華装備の数々を紹介します。
今の視点ではシンプルに映るかもしれませんが、当時の最上級がここにはあったのです。
メカニズムの紹介
2000EFIは、中期の途中で53年排ガス規制に適合していましたが、後期では2600もEFI化されて、同規制に適合しています。
フロントブレーキは、2ポットキャリパーだったのですが、一般的な物に変更されています。
装備一覧と主要諸元表です。
こうして前期から後期までを通してみると、今の視点では前期のスタイリングに惹かれるのですが、車自体としてはEFI&4ATを採用した後期の方が明らかに優れるというのが判断の難しいところですね。それに当時は後期の豪華さに惹かれてもいましたし。
この世代、前代のクジラ、後代の鬼クラに挟まれていて、歴代では影が薄いように思われているようですが、私は何となく上品で奥ゆかしい佇まいに惹かれていて歴代でもかなりの上位に居たりです。何より長らく続いてきた私のクラウン好きの原点は、間違いなくこのクルマなのですね。(昨年の代替の際は、ようやくクラウンに乗れると思ったのに、何であa・・・以下自己規制)
最後に、この代のクラウンといえばCMも最高傑作と書き添えておきます。
美しい景色に佇む姿は「美しい日本の~」というフレーズと共に素直にイイと思います。