

車両自体のレベルは高いがコストパフォーマンスに難がある
率直に言って469万円の価値があるかどうか大きな疑問が残る車です。
車自体の走りの良さだけで言えばクラス上のパサートハイライン(422.8万円)の方が上です。
EVモードのコンティニュアスの良さは癖になる
美点は力強く、極上の静粛性を持ち、内燃機関には不可能なレベルで滑らかなモーター駆動による電気自動車(EV)モード走行。60~80km/hほどまではこの極上の走行体験を楽しめます。プリウス(30型)とは比べものにならないアクセルレスポンスの付きの良さはさすがはフォルクスワーゲンだと思わせてくれました。
またスバルXVハイブリッドよりもエンジンとの協調が自然に図られています。余力十分の350N・mの強力なモーターに依るところが大きいでしょう。(ガソリンエンジンでいえば3.5L自然吸気か2Lターボクラス)
少し重くなりすぎた
この車を語る上で外せないのは太り過ぎてしまった車重です。
Cセグメントには些か過大とも言えるこの1570kgの車重は強力なモーター、バッテリーの搭載によるものでしょう。同じ内燃機関の1400cc直噴ターボを搭載したハイラインが1320kgしかないことを考えると実に250kgもの車重増加となっています。フォルクスワーゲンはこのGTEをGTIをベースに作ったと言います。GTIの車重は1390kg。やはり200kg近く重い。
走りはGTIとは全くの別物
当然この車重増は苦しかったのだろうと乗りながらに感じました。GTIをベースに開発されたとは言いますが走りは全くの別物といっていい出来です。ハイトルクを受け止めるべく変速機はGTI/Rと共通の6速DSGとなっていますが、ハンドリングは緩徐でかなりダルな印象。以前試乗したスバルクロスオーバー7に少し似ています。車の動きもゆったりしていて乗り心地自体はとても良い。
225/40R18のポテンザS001を履いているとは思えないほど乗り心地は良かったです。はっきり言ってフワフワしていました。ゴルフHLのようにスプリングもダンパーもゲインが強目で車内に揺り返しが来るのとは大違い。GTEは車重の重さを上手く生かして乗り心地重視にしたようです。そうせざるを得なかったと言えるかもしれません。
それでも足回りにしっかりとコストを掛けられていることは間違いなくコーナリングはロールするもののしっかりと踏ん張ります。車重が重い分、XDSは強めに介入している印象です。ハンドルをこじるとそういう動きをします。
パワーモードであるGTEモードにするとサウンドジェネレーターがいかにもな“直列4気筒のターボチューンドエンジンの音“を聞かせてくれます。ゴルフRのフラット4ターボのような合成音とは別口の味付けでした。ただ力感はGTIどころかHLとどっこいどっこいという感じ。全く期待外れなものでした。馬力だけで言えば当然HLよりもシステム出力として得られているでしょうが250kgの車重増が相殺してしまったようでした。おそらくは200馬力ぐらいの印象。
総評としては車のメカとしての技術の足し算による構成がまさにザ・ドイツ車という印象です。車自体の出来は決して悪くありません。ゴルフシリーズの文法でなされながら未来感のあるメーターパネルにはメカ好きとしてワクワクしたのは事実です。
問題は価格に見合った価値が見いだせるか。
走りを重視するのであればRかGTIを買った方が間違いなく幸せになれるでしょう。
乗り心地が良いのがいいならパサートHLの方が質感が上です。
エコカーとして考えるとプラグインハイブリッドとしては使えるものの走行モード燃費が良くない。燃費カーの王者プリウスに比べると明らかに見劣りするのは否めません。
つまり中途半端。誰に売りたいのかターゲット不在のように思えるのです。その証拠のように車両価格を499万円から30万円値下げして現在の469万円にしています。これでもまだ割高感がありますね。
2021年規制への先駆けとしてのPHEVなのでしょうが現時点での自動車商品としての魅力については疑問を感じます。
その他の写真はフォトギャラリーに掲載しています
Posted at 2016/08/27 21:55:17 | |
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