
RRの特性といっても、992の場合は普通に乗るのならば特に気になるクセとか不安な点は無いです。誰でも運転を楽しめる車に仕上がってるので何も問題ありません。
今回はあくまでワタシ流に992カレラのコーナーリングを効率良く組み立てていったら、典型的な正しいコーナーリングに行きつきましたので謹んでご報告いたします、という項になります。
「正しい運転練習車」または「正しい運転手養成車」
仲間たちとタイヤ限界挙動練習をやってた頃、その後の合宿や反省会とかの場でみんなの車載動画を見てあーだこーだ言い合う訳ですが、その中の発起人の一人が元ジムカーナのセミプロ氏でした。メーカーから車両を貸与されて全日本選手権に参戦されてたと聞いてます。その人の現役時代の動画が凄くて、まるで車がコマの様に周りパイロンをクリアしてました。もうみんな驚愕!のクルクルスイスイなドラテクでありました。
で、その元セミプロ氏が一言:
「車を曲げるのが上手い奴は沢山居る、でも大事なのは車を前に進ませる事なんだ」
―――例えば、ドリフトして定常円旋回やゼロカウンターとかは、自身の車コントロールのキャパを上げる為の練習。たぶん、一発芸的にコーナーのボトムスピードも上げられると思いますが(案外ワタシはこのタイプだったりする)。だたし、コーナーリング中にその限界状態を線で維持する為にアクセル微細コントロールをし続ける走りが速い訳ではないです。限界コントロールが出来ると達成感あるし楽しいですけどね―――
==車を前に進ませるのはアクセルペダル==
992カレラを注意深く探りながら乗って行くと感じる事があります。
それは、ステアリングを切った後にアクセルを踏むと、今まで乗ったどの車よりも「雑味が無くステアリングが戻ります」。ごく普通の走行での話ですが、多めにアクセル踏んだときは速めに、少なく踏んだ時はゆっくりと、こちらの入力に対して正確に戻し返してきます。
「こうアクセル踏んだからー、こうにステアリングが戻るな」
と、踏む時から戻り方を予想し、自分の足で調節して踏み、それを自分の手で感じられる。だから運転が楽です。
更に、際立った特徴があります。
コーナー脱出時に低いギアで(つまり高回転時)、ズバッとアクセル全開にすると、ステアリングはシュタッ!と直進方向に「勢い良く戻ります」。今までこんな車は初めてなので新鮮な感覚。まさか電子制御で戻してないよな?と何度か全開ズバッ→シュタッ!を繰り返した後に、少しゆっくり目に全開にしたらスィッ!位のステアリングの戻り方になる。やはり、全開走行でもアクセルの踏み方に応じて正確に車が反応するんです。
凄いなと思いましたね。これが実現できてるって事は:
アクセル踏む
外側リアサスが沈む
車体をねじる力が加わる
車体の動きに応じてフロントサスが動き
ステアリングの動きに繋がる
タイヤ、サスアーム類、車体、それぞれの剛性が非常に高いって事ですね。
だから911の乗り味ってカチッとしてるんですね。
たまたま911の剛性を上げていったらこうなったのか、又は、RRという重量バランスが偏った車を仕上げていったらこうなったのか、、、ワタシは後車かと思いますけど。。。
で、ちょっと脱線して、
一番上の画像ですが、全体に右に傾けてあるのは、サーキットでのバンクの付いてるコーナーの雰囲気を出すためです。黄色線が路面で赤線が車の傾き。車が外側に沈んで車体にねじる力が加わるのが分り易いかなという絵です。
注目してほしいのはフロント内輪が浮いてる事です。
まぁ古い911の話?って感じですが
昔のレースカーかな
しかし見事に浮いてますな
んーこれは縁石の影響かなぁ
これはキテる、でもレースカーだよね
おっどうだ?
公式のニュルアタック動画切り抜き!
もしかしてみんな同じなんじゃね?w(青い車が992GT3ですが、フロントサスはこの型からマルチリンクに)
コーナー立ち上がりでフロント片輪浮くって事は、その時(コーナー出口)はフロントの向き変え能力は重要視してないって事ですよね。
ハイ、ここでRRの操縦性の話に戻りました!(笑)
という訳で前述の、アクセル全開→ステアリングがシュタッ!と戻るの走りを追い込んでいきました。
1:アクセル全開ポイントを出来るだけ手前に(全開率=速さ)。
2:その為に、やや手前で車の向き変えを終わらせる。
3:確実な向き変えテクの一つが追い舵。
追い舵はクリップ直前に入れて、舵を保持してアクセル入れればリアをコジってのリアステアで向き変えに使えるorタイヤ消耗を嫌うならアクセルオンとステアの戻しをシンクロさせて車を前に進ませる。状況に応じての引き出しを増やして置ける。
4:追い舵をクリップ直前に入れるって事は、その手前のブレーキング時間が圧縮される。
5:ブレーキが1番大事で難しい!!!
おわかりのように、上記1~5を逆から始めると実走になります。走りを逆算して組み立てる訳です。
ブレーキに関して例えば、、、
鈴鹿で速いドライバーを見極めるコーナーはどこかというと、超速130Rではなく鬼気迫る飛びこみの1コーナーでもなく・・・ヘアピンやシケインでのブレーキングです。どんだけハードブレーキ踏めるか、と。
これ↑は大井貴之選手から聞いた受け売り(^^;なのですが、昨年だったか(一昨年?)、F1の角田裕毅選手の短い特集をTVでやってて中嶋悟監督も同じことを言ってました。シケインの丘の上やヘアピンIN側の普通は入れない場所にわざわざTVクルーを案内して説明してました(中嶋監督、絶対律儀で真面目な人でしょ!)。最近の日本人F1ドライバーの特徴を見れば・・・角田、可夢偉、琢磨、明らかにブレーキングの突込みが凄いドライバー達でしょ。ハードブレーキングの先のコントロール能力を見てるって事です。おっと話が逸れた(^^;
では順番に組み立てます。
5:1番大事で難しいブレーキが得意な車種=RR=911。
4:短い時間で急減速しブレーキから旋回に移る難しい所はどうする?=難しい事をする時は簡単に行えるような状況を作る=少しゆっくりしたスピードで優しく行うのがコツ。ワタシが書いても説得力無いかもなので、以前も引用した土屋エンジニアリング土屋武士監督のお話を読んでみてください。
キーワードは「置きにいく」https://www.as-web.jp/supergt/726046。
3:RRは追い舵を入れるのに適した車と感じます。
同じ色の文字を左から右へ読んでください。車の左右で書いてある事が違いますがそこは関係ないです。
・エネルギーが溜まる
・後軸に(溜まったエネルギーが)載る
・(リアタイヤの)接地感が強まる
クリップ直前に更にステアするとRRはフロントが軽いので前に押してしまう事も無くステアした分曲がろう(青矢印)としますが、それは真っ直ぐ進もうとしてる車(黒矢印)にとっては抵抗になり車の運動エネルギーをフロントで蓋(前輪が斜めを向いてる事)をしてる感じになります。で、リアには重いエンジンが下へと荷重を掛けているのでリアにも蓋がある感じ。つまり前後車軸間に溜まった運動エネルギーをグイッとステア増やしてフロントの蓋を強くすると・・・逃げ場として・・・リアの車軸に荷重が載ります。
992カレラでは「追い舵グイッ→ドッコラショとリアに荷重が載る」のがハッキリわかります。
この間、追い舵を入れ始めて蓋をしつつ運動エネルギーが車軸間=正に運転席が溜めたエネルギーの海の只中にあり自分が居る場所です。なんという事でしょう、この醍醐味!(^^)!
このリアタイヤの接地感がズンッと上がった状況からドライバーは右足でアクセルペダルを踏み、新たなエネルギーを湧きあがらせる事が出来るのです!!!(言葉にならない)
2:追い舵でフロントに蓋をしたままアクセルを踏み始めればリアタイヤが耐え切れずワナワナと震えはじめます。更に踏むと僅かに外輪が滑り始めてやがて内輪が空転し更にリアがルーズに=リアを外側に振り出してリアでステアする事により車を鋭角的に曲げる事も出来ます。
1:もちろん、追い舵により溜まったエネルギー+アクセルペダルで得たパワーを一気に発散すべく、ズバッとアクセル全開にすればステアリングはシュタッ!と戻りフロントに蓋をしてた舵角(抵抗)は消えるので車は一気に全開加速して行きます。
以上、あぁなんと教科書的に正しい運転なんだっ!という事です。
で、これらの車の挙動等が、ストリートで体験出来るように仕上がってるスポーツカーが、992カレラです。超高速走行も出来て、その辺の峠道でも車の挙動を感じて運転を楽しめます。あくまでイメージですが、上に載せた右コーナーのストリートなビューの様なツイスティな峠道でも十分です。
もちろん、ステア一定で走る高速コーナーでは追い舵は入れませんし、そもそもある程度以上のペースで回頭性を引き出すには前輪荷重の為のブレーキが必要であり、少し速い程度のペースでも数多のFF車よりも一手間かかるとか、それらの点はココまで読んでくれた方はわかってると思うので省略します(^^;
また、RRこそが至高とか最善とも思いません。私見ですが、今まで乗った車で一番素性がイイなと感じたのはMote-Laであり次は981Cかなぁ、と思います。どちらもミッドシップです。
MR車が曲がる時の「イメージ」は右コーナーならば、車両の中心を基点としてフロントは右に入りリアは左に振り出す、感じ。
RR車は、リアを基点にフロントが右を向く「イメージ」。
ただし、RRの方がミッドシップよりも運転の組み立て方が分り易くシンプルです。一つ一つの操作が独立して意味を持っている的な捉え方で操作を順番に組み立てる事が出来るように思います。
例えば、大きな画用紙にMRの前後輪の軌跡点を左右の指(右指で前輪/左指で後輪とか)で同時に正確に指し示せ!と出題されたら、ちょっと緊張して2か所を眼で追い意を決してエイヤッと2点同時に左右の指で指し示す事に。
同様にRRの場合、まず片手の親指を基点として画用紙の上に置く事が許されてて、そこから人差し指とかで前輪の位置を示せ!と。この場合、あらかじめ親指を画用紙にドンっと付けて(基点)から人差し指を伸ばしてポン!なだけなので、やり易いですよね。
まっさらで複数な設問に一発回答する(MR)より、一つの基点からの問題を順次解く方(RR)が理解しやすいと思います。この点が冒頭の練習車や養成車、前述の教科書的という言葉を選んだ理由です。
ではRRに欠点は無いかというともちろん有ると思うので、それはまた後日書く事にします。RRで危機的状況に陥った事はまだ無いので大したことは書けませんが。
以下、余談です。
一番上のイラスト画像ですが、
かつてこれをリアルで見た事があります。FISCO(旧FSW)のすり鉢みたいな恐怖の旧100Rで993を右後ろから追走してた時です。
リアサスの沈み具合、タイヤのプロファイルやトレッドショルダー、妙に舵角付いてんネ、フロント浮いてんじゃん!とかから・・・これはSタイヤでバネレートかなり高そうな足の車だね、、、なんて予想出来るんですよね。
その旧100Rからクレストを斜めに越えての左ヘアピンになるので、どうにアプローチしてどうにステアしてどう加速するか・・・それをみた上で・・・次の4速全開で下りながら踏んで行く300Rのライン(クロスすると非常に危険)からBコーナーのブレーキング本気度を推し量る、と。
いつの話だ?
でも992GT3のフロント内輪がリフトするのも今の話。
ジオメトリーはメーカーしか造れないので、なんで911のサスはあんな感じなのか、なんか少しだけど2輪(オートバイ)でのコーナー立ち上がりで全開加速してる雰囲気に似てる気がする。
#16がわかりやすいですが、緩くだけどリアだけでも向きが変わる。
911の場合、どういう組み立てで(思考)であんな姿勢なのか、、、意図的に全部計算づくの気はしますね。複数の国内メーカーがポルシェの新型が出たら必ず解析してるって言ってますから、何かあるんでしょうね。
という訳で、ポルシェを買うと、単に乗って楽しむだけではなく、自分の所有車に対していろいろ考える時間をもまた楽しめるという、何重もの味わいを得られます。今後も992カレラを感じながら楽しく走っていきたいと思います(^^)
では最後に、992カレラの売り文句を:
Timeless Machine.
過去を誇れるか。
未来を語れるか。