長さ3300×巾1430×高さ1200 車軸間2000 1962年

長さ3580×巾1465×高さ1175 車軸間2000 1965年
同じ時代の同じ乗り手層が狙いの2台のスポーツカー。個人的にはどちらも大好き。車軸間2000は2台共に同じ。学校で出される課題みたいに分かりやすいので取り上げてみた。あぁでもない、こぅでもないと比べて楽しんで欲しい。記憶に間違いがなければホンダの初めての(試作版のS500を含めて)クルマのデザイン。クルマのデザインを知らないしどうやっていいかわからないわりには良く出来ていると思う。トヨタはホンダと比べればデザインの研鑽を積んでいるのでそれが実を結びかけたような時期。ジャーナリスティックに書けばパブリカスポーツやスポーツ800でなされた自動車らしい造形の主張はその後黙殺され、機能や歴史とはかけ離れたところで珍奇な造形テーマでクルマを売り捌くことになってゆく。
クルマのデザインを読んで評価するときのポイント
①偏見、特に自分の好みを捨てる。それが難しい場合、自分が何を好んでいるのか押さえておく。
②駆動レイアウト、骨格、寸法を押さえる。それらはデザインの全て。スタイルという包装、化粧を除いたクルマの本質。作り手の意気込みの結晶だ。
③偏見、特に自分の美意識でクルマを評価する。自分の美意識はクルマのデザインの包装紙的要素を評価するときに用いる。クルマのデザインの本質は目的(機能)を達成する骨格。スタイルはクルマの衣装、ファッション、包装であり本質より美意識でより激しく評価が別れる。しかしながら表面的な装いとはいえクルマのスタイルは立体でありそれがおかしいか否かは彫刻的に見ていくのが基本となるだろう。また①と真逆だが驚くに価しない。偏見と美意識は不可分だから。とはいえその二つは一体でもないので自分の美意識を正しく磨くことに努める。これは①と何ら矛盾しない
④デザイン評価に絶対も正解もないことを知りつつ正解を探す。
③で記述したように偏見と美意識は切り離すことは出来ない。しかしながら様々な事情で物理的にムリなクルマの駆動レイアウトや骨格、寸法を客観的に見抜くことは出来る。それは好みや偏見とも違う。クルマの意図に合わないおかしな駆動レイアウトが好きという偏見もあるだろうがそれは評価に価しないことはわかるだろう。
⑤デザインを含めてクルマやメーカーの歴史、流行り、傾向を知る。
新進メーカーでなければクルマのデザインには継続性がある。カタチのクセや人脈、技術。デザインではなく表面的なスタイルに固執しているメーカーは実績が露にするんだろう。
この⑤点を正しく真摯に用いれば貴方もデザインでクルマを評価出来る。絵が下手くそでも手が不器用でもダ・ヴィンチやミケランジェロの絵画や彫刻が出来損ないだとは(好き嫌いはあっても)人は決して断じることは無いから。
どこのメーカーのデザイナーやそれを記述する人間もそれを主張する術は我々の上を行く。それでもそれを見極めることはほんの少しの感性とウソをつきようがないクルマの実体~駆動レイアウト、骨格、寸法を押さえるだけで彼らの眩惑にハマることはない。
個人の好みはそれとして時として売れれば良かろうという目論見を阻止する教養として、そして何よりクルマ好きとしてデザインを評価して楽しんで欲しい。
Posted at 2017/01/04 08:15:25 | |
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