「あさひなぐ」
乃木坂好きなら文句はなかろう。
映画好きだと喰い足りまい。
アイドル映画が〇ソ映画なのは構造的なものだということはガンダム映画や特撮映画に親しんでいる筆者たちの常識だ。
所謂ファンムービーなので誰が見ても面白くしっかりしたものになりようがない。ジャニーズやエグザイルの映画を見たことがないけれどその構造は本作と何ら変わることがない。
ただしどんなアイドルでも人を惹き付ける魅力は最低限スキルとして持っているわけでそのスキルがアイドル好きでない一般的な価値観に乗った(不自然で)自然なものであればどうしようもない構造でもその内容は輝いたものになってくる。
どうしようもないポンコツ低予算怪獣映画の特撮のワンカットに痺れる筆者からすればこの映画は宝物だ。
アイドル映画にお約束な余計な飾りはウザいとは思うが全体としてみればそれほど気にならない。古臭い物語の土台にある昭和な価値観もアイドルがパッケージングすれば未だ有効に見えるのは性別や人に依って評価は別れるかもしれない。ひねくれた目線で見るとこの映画が伝える価値観は厳しい鍛練によって培われる自己開発の成功譚でありそれに加えて同じ価値観を持つ共同体の結束こそ幸せなのだというメッセージは今を生きる我々にとってそのまま素直に受け取るのは微妙かもしれない。
宮崎駿先生ほど考えに考え抜かれた映画ではないが逆に言えばそうした考え抜かれた映画は誰しもウンザリする。とはいえウソ八百夜丁の胡散臭い現代を生きる胡散臭いオトナとしては乃木坂等社会が求めて表現する「努力・笑顔・感謝」という人当たりの良い偽善を偽善と知った上でその努力に敬意を払い活かしながら個々が信じる正義のために悪を圧殺するように生きるのが正しいかもしれないと思ったりもする。
アイドルの見かけの説得力は物凄い。筆者はよく騙されるほうだが騙されるほうが幸せなのは事実といえば事実だ。
アイドルをバカにする向きはその影響下から逃れられるわけでそれはそれで賢い。
耽溺する筆者はよくよく内省してその影響を受ける幸せの意味を考えるべきなんだろうな。
見るのを必ずしもオススメしない。毒性は低い。
映画史には残らないが見て心に残るモノがあればそれは見た方によっては正しく微かでも生きる術にはなろう。粗悪品というか駄菓子ぽいが悪くはない。見たあとの心地よさの意味を考える人も忘れる人もだいたい幸せになれるのでこの意味においては傑作だ。快活なイタリア車っぽい気がする。実直なマツダ車に通じるものもある。表現も似ていると思う。
アイドル映画の感想になっていない?う~む…なっていないか?
コーコーの読書感想文を数行で終えていた筆者とすればこれはこれで知恵がついたほうなのだった…ここまで付き合わせてスマン…申し訳ない…
Posted at 2020/05/10 11:15:08 | |
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