アルド プロヴァツォーネ…
名前を知らなくとも彼が関わったクルマを嫌いな人は
この地球上には(たぶん)いない。
7月1日発売号のCGを見た。
ジュジャーロのアルファロメオ カングーロの青焼き三面図を昨日、本屋で立ち読み…さっき髭を剃っていたときに天啓を得た。
掲載された青焼き三面図はあれはそのまま意匠図、造形図、デザイン図だ。アルファロメオ カングーロはアルド プロヴァツォーネの仕事ではないけれどスケッチの描き方は(カーデザイナーのスケッチは客観性が要求されるため)同じ、三面図の描き方も同じだ。
昔、某所で彼やジュジャーロのスケッチや三面図を見たことがある。
情報量が少ないそれらの印象は淡白でクリーンでつまらないことだった…
その意味が今、わかった。さっきわかった。ようやくわかった。
カングーロが載っているCGの青焼き図面を見て欲しい。
単純な線でほとんど何も描かれていない。
我ら日本のデザイナーならばもっとどんどん断面を指定して面を書き起こすだろう。
でもこの少なさでいいのだ。
この少なさでカタチは作れるのだ‼
この青焼き図面をよく見るとランプや窓枠の線が辻褄があったカタチでひかれている。
細かい指定をいちいちしなくても見る人間が見ればあの少なさではっきりわかるのだ‼
イタリア人はやはり天才だ。いや我々日本人の感覚が鈍いのだろう。
我々は断面でカタチを考え過ぎだ。
勘で感覚で造形を決めることは出来る。
昔から(1940ぐらいかそれ以前から~)はそのやり方が一般的だったのだ。
カングーロ自体はいいカタチだと筆者は思わない。
茄子か胡瓜かという紡錘形でありがちなカタチだ。
単調な間を埋めるための出淵孔かスタジオぬえ的なサイドの穴は児戯に等しい。
でもあの青焼きでやり取りして答えを出した職人の腕は素晴らしい。
デザイナーの優れた仕事というのは面を作り起こす職人にカタチの正解を贈ることだ。
この意味でロードスターのデザイン表現を振り返ると
NAはマツダのスポーツカーという目的に対してやや外れていて
NBはさらに外れて
NCはさらにもっとちがうところに行ってしまい
NDでやっとど真ん中をぶち抜いた
そんな気がする…
マツダの中の人やマツダ好きの人は到底承服出来ないだろうけれど。
私見ということで許して欲しい。
実際に買って好きで乗っていてロードスターは嫌いなわけがないしデザインだって悪いはずがない。
でも筆者の中でどうしてNCまでロードスターのデザインにイマイチ感があったのかといえばNCまでのロードスターのデザインはカングーロだから。
イタリアンデザインのキモを掴んだ瞬間、それもオマケでわかった。
まともな仕事でもイマイチなことはあるのだ。
怪獣映画の全てが傑作ではないように乃木坂のフォーメーションがすべてズバリではないように。
ど真ん中の直球かそれとも変化球か。
クルマ好きの大きいコドモにとってはそれは物凄い重要なことだ。
なぜマツダコレクションのRX-visionが欲しくてvision-coupeが要らないのかこれもやっとわかったよ。
筆者たちはくじでいえばいつもアタリを引きたいのだ。
青焼き三面図はバカにならないな。
Posted at 2020/07/05 15:38:17 | |
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