
ドルビーアトモスにて鑑賞。座席はまばらですた。この時機に安いとは言えないドルビーアトモスでブレードランナーを観る方は絶対、好き者ですな。観た方は作品世界を堪能出来たはずですの。
感想を一言で言えば ブレードランナーだった。
登場人物が作品世界を変える鍵になっているのはイマイチしっくりこない(鍵なので鍵が扉を開けるように物語が進むというのは都合良すぎてリアリティがない)けれど善悪がハッキリしない複雑極まりない作品世界で社会規範に反する個としての人間の尊厳を上手く表現出来ていると思う。エンターテイメント的なわかりやすい面白さ楽しさはない(スピナーとかカッコいいけどな)けれどオトナが物を考えるには相当面白い。第1作をリスペクトしつつ更にそれを掘り下げた筋立てはブレードランナーファンにとっては嬉しい驚きだった。主人公の設定は第1作を研究すれば確かにああするのがベストなので作り手は良くやったと思う。本作品は第1作同様、100回は観てもいいよ。
勿論、内容が内容なだけ(好き者しか話が理解出来ない、楽しめないので)に観る人、好きになる人は相当限られ例によって例の如く絶対に彼女と観る映画ではないが。オジサンでSF的メカ(新型スピナーは模型を買ってもイイゾ)や世界が好きで社会哲学(現代社会における公正な正義とは何ぞや?)に関心がある方はハマる可能性大ですなぁ。
私はブルーレイが出たら速攻で買いですはい。
本作品は筋立てがうすら寒く(怖い怖い人間性の欠落描写)本作品基準では第1作が明るく楽しいコメディに見えます。ここまで殺伐としないと今の時代では温く見えてしまうというのは古い意味でヤバいですね。開かれた公正な社会規範が壊れて信頼を失ってしまったら残るのは弱肉強食な偽善と欲望にまみれた搾取社会。立ち止まって考える時間がない現代社会が行き着く先は本作品の作品世界のような気もします。娯楽としてそうしたディストピアを楽しめる私はシアワセ者なんでしょう。映画は絵空事なので楽しめるのが第一。スターウォーズ的なわかりやすい娯楽表現とブレードランナー的陰鬱表現が許され楽しめる日本やアメリカのような国は良い国でありいい歳をして映画を観てとりとめのないこうしたブログを書き連ねることが出来るのもゆとりのなせることでしょうなぁ。
我々が今日生きている現代社会は他者の立ち位置や尊厳への思いやりや想像力を意識せずとも済んでしまう社会に拍車が掛かっておりそうした社会を緩和、中和するためにも余計なムダな遊びやゆとりはこれからもっと大事になるでしょう。
ロードスターに乗っていれば(ゆとりとムダと遊びが整えられてしまうので生き方や考え方が無意識のうちにオープンなってしまうため)関係がないハナシですなぁ。
Posted at 2017/12/31 09:47:12 | |
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