季節は春だったか夏だったか…
会社帰りにスーパー7でつるんでツーリンングに行くトヨタ社員数名を見た。
自動車開発業のエンジニアに定時退社なんてあり得ない。~35年以上前は。月に残業は軽く80h。その割りには仕事は進捗せずストレスは相当なものだった。どだい仕事が多すぎる。忙し過ぎる。軽から四駆から高級車。そんなに次々に降られても面白いアイデァなんて閃かないって。
今もそうだろうがカーデザインの現場は戦場だ。
鼻くそをほじりながら何処かで力を抜いていないとメンタルに受けるダメージはデカい。無能デザイナーとして干されていた自分が助かったのは忙しいとは言っても無能にはそれなりの仕事しか廻って来ないためなのであった。~でも定時退社なんて出来ないけれどね。
意欲も能力もない奴に回る仕事なんて面白い仕事であるわけもなく…
いやどんな仕事を与えても駄目な奴は仕事をしない。
軽自動車のアクセサリー開発やウインカー開発なんてマジメに仕事がやってられない。開発資料研究と称して二弦社のカーグラフィックやNAVIを読み耽ることがしょちゅうだった。とんだ無能だと思う。
仕事に忙殺される同僚を横目にページを捲るとそこは別世界。
カーグラフィックの世界はかつての読者なら解ると思うが気高く清匱だ。何度文章だけでクルマが走って来る気がしたことだろう。
スーパー7。
自分が開発するクルマとは明らかに違う自由がそこにあった。
軽とかマークなんとかとは絶対に違うピュアな世界…
とある定時退社の帰り道に衝撃を受けた。トヨタの本社からスーパー7が帰宅する!それも三台もッ!
あの時の高陽感は今も覚えている。だろうな。だろうよ。ターセルやカリーナなんて好きで乗るもんじゃない。いやマジメに仕事するクルマじゃない。
散々迷惑をかけた会社を辞めたときは清々しかった。
あの定時退社の帰り道。疾走するスーパー7を見て会社を辞めた。
個人は組織の道具じゃない。働くことは官能性の圧殺じゃない。
スーパー7はクルマとして色々不足してそれはそれはヤバいシロモノではあるけれど個人が個人として生き生きとあるべき姿を教えてくれた。
暑い夏…
ワガママ 好き放題の功罪をスーパー7やトヨタ車でたまに考える。
Posted at 2019/08/17 09:40:32 | |
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