チューンド・メカニカル・ボディ
胸部付近で脊椎が広範囲にわたって粉々に粉砕された。
胸部付近を境に上半身側と下半身側で、骨格が完全にちぎれてしまった。
それをチタン製のプレートとボルトで代替骨格と成し、
肉体をつなぎとめている。
それがアイツの肉体。
当時、成功例がほんの数例といわれた開胸式前方固定術。
左には心臓があるから、右肋骨から開胸し、肋骨を解体。
肺などをどかし、背骨にアプローチ。
そして残った骨格をチタンでつなぐ。
外した肋骨、さらに自身の腰骨を一部切り取り、パーツとし、失われた骨格を補う。
一番長いチタン部位は約20cm。
呼吸で肺が膨らむと干渉するので目が眩むような激痛が走る。
よって呼吸に大きな制限がついてまわる。
横隔膜も完全に麻痺してるから、呼吸すら自由にできないのだが、
できるだけ浅い呼吸で過ごせるような修練を積んできた。
この金属骨格は衝撃や震動をいなしてくれないから、
ここが激しく共鳴するかのごとく、
激痛が走り、激しい熱を含み、気力と体力を容赦なく削ぎ取ってゆく。
代替骨格が外れたり折れたりすれば致死性高し。
他にも様々な問題を抱えるこの部位は、人間の精神にまで過酷な試練を与え続ける。
心臓に非常に近い部位なので常に大きな危険と向かい合わせな毎日。
腕や肩を動かすだけでも筋肉の収縮や歪みによって、
背骨にアイスピックを突き込まれてグリグリゴリゴリされてるような痛みをもたらす。
一瞬でも気が緩めば、その精神は痛みに押しつぶされる。
当初、高速道路を走行中、橋の継ぎ目の些細な段差を通過したときに、
失神してしまったことがあった。さいわい助手席の人が窮地を救ってくれたけれど、
これは非常に深刻な話。起きている間は一瞬たりとも隙を作ってはいけないのだと再認識。少なくともハンドルを握る間は歯を食いしばってコンセントレーション。
普通の人にとってどうでもいいような「スタタン」という震動は、
アイツの肉体にとっては一瞬にして意識を遠のかせるほどの「ズババン」な強烈な衝撃なのである。
あー、書いてて面倒になってしまった^^;
この話、ドライビング編へとつなげる予定なんだけど、
続きはまた後日~。
サーセン。
Posted at 2008/10/23 21:27:27 | |
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アイツという人間のこと | 日記