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2016年08月12日 イイね!

【真夏の幻想】 銀河鉄道の夜

【真夏の幻想】 銀河鉄道の夜














宮沢賢治の童話『銀河鉄道の夜』。
人が生きていく上での哲学的な自問自答や葛藤を真夏の夜のファンタジーの中で表現した秀逸な作品だ。童話というと一般的には児童向けだけれども、この作品に関しては大人になってからでないと読み解けないことが多い。たいてい、人は大人になるにつれ、さまざまな後悔や懺悔の念を抱え込む。人生において時間は一方通行である以上、時間を巻き戻しての「if」は存在しない。しかし、それでも自分や誰かにとってもっと都合の良い「if」があったのではないかと考えずにはいられないこともある。自分を曲げて生きるか、信念のために命をかけるか。ときとしてそれはどちらも正しいし、そしてどちらも間違いだ。だから葛藤するし苦悩を背負い込む。



ところで、どんなに会いたいと願っても二度と会うことができない者のことを想う。
そんなときが年に一日くらいあってもいい。



~~~ Feat. Night on the Galactic Railroad ~~~



真夏。某日・某所・某時刻。

いきなりアレな雰囲気ですが... 線路の下の通路を通り抜け...


やって来ました、ここは深夜の鉄道駅。


駅前には公衆電話ボックス。でもこの電話はキミの知ってる番号には通じないかもね。かの有名なエジソンは晩年、霊界と通じる電話の研究をしてたらしい。そんな電話があったらキミはまず先に誰にコールする?もう一度話したい人っているんじゃないかな...?

駅舎内の待合室。このローカルな雰囲気がいい。気づいたらボクは切符を握りしめていた。



目当ての列車は時刻表には載っていない。時刻表の終電のあとにその列車はやってくる...


さぁ行こうか、深夜の鉄道旅へ...


夏草の匂いの中、真っ暗闇へ向かって延びる線路...






列車はいくつも駅を進む。夜の闇の中だから周辺の景色はよく見えないけれど、川沿いや畑や草原の中を走ってきたことでしょう。そして途中の駅での小一時間ほどの停車時間を使って周辺を散策...。昼間はうだるような猛暑で、夜になっても風が生暖かい。そんな生暖かい風の中、鳥居をくぐり...


心が洗われるような荘厳な雰囲気を感じながら参道を散歩する。


夏祭の準備が進んでいた。作品内では星祭だったっけ。


そしてふたたび列車は進む...

高架区間。錆びついた鉄橋の雰囲気...もう長らく使われていないようにも見える。


闇夜と虫の音と冷たいレールと。


石灰輸送列車。微動だにしない無機質な列車は闇夜と相まってその不気味さを増す。
そういえば作品内では石炭袋という言葉が出てくる、たしか現世とあちらの世界をつなぐ通路のことだったか。


列車はかなりの距離を走ってきました。そしてここで乗り換えです。こんな辺鄙な地域でもここだけは立派な駅舎です。接続時間がまた小一時間あるのでここでも周辺を散策。


近くの操車場。


物静かな路地裏。この雰囲気...、異人たちの通り道だったりして...


こんな真夜中にこんな路地裏でお店が開いていてとても驚いた。軒先にはお菓子と書いてあるけどヤキソバが有名らしい。お婆さんがひとりで切り盛りしていました。ほんと、こんな真夜中だというのに...?


かつては車道だったけどいまは封鎖されて憩い用の歩道橋となっている。ここで夜の静けさと夜風を楽しむ。


ふたたび列車は走ります...。物静かで人の気配のない駅をいくつも過ぎ、ひたすら進みます。

山間部の真っ暗闇をどれだけ走ったでしょうか...



到着しました、ここが終着駅です。



笹の葉と短冊。七夕飾りがそのまま残ってるみたいでした。


駅舎内。改札口。とにかく静かです。灯りはついているけれど人の気配はありません...


風鈴が至る所にありました。数えきれないくらいたくさんです。
ときおり生暖かい風が吹き、風鈴の乾いた音が駅舎とホームに一斉に響きます。




駅舎を正面から。

銀河鉄道の終着駅。折り返し便は夜明け前に出発します。帰りたいと望むならそれに乗らないといけません。必ず。


ここから先は徒歩です。

灯篭が道標となり...


暗い川に架けられた橋を渡ります。先ほどまで生暖かった風が急にヒンヤリし出し、心地よくなってきました...


ただただ静かに広がる湖面。そして適度な冷気。極上の居心地の良さ。とにかく落ち着きます。湖面の向こうの山の稜線に見える明かりは桃源郷かイーハトーヴか。明かりが雲に反射して幻想的な光景です。あそこに行けば、会いたいと願い続けてる相手に会えるだろうか? あそこに行けば、背負い込んできた苦悩の数々から解放され自由になれると思うか?


しだいに雲が晴れ、星空が見えてきました。


ハッとしてそのまま頭上を見上げるとそこには満天の星空が広がりそこには河が流れていました。
自分が吸い込まれていくような錯覚を起こし、ボクは生きた心地がしなかったのです。


暗闇の中、手元にあった乗車券をよく見たらそれは往復券だった。人は過度に束縛されることを嫌う、ボクだってそうだ。それは人間関係だったり生活環境だったり望まぬ責任だったり人には言わない苦悩だったり墓場まで持っていく予定の秘密だったり。ときどきうんざりすることもある。しかし、それらから完全に解き放たれてしまったらどうなるだろうか。それはもう、自分ではないんじゃないのかな。ここから引き返し現実を続けるのなら諦念ではなくて覚悟こそが必要なのだ。過ぎ去った過去における「if」なんていう妄想にすがる必要はない。帰りたくないと思っていても、帰ろうとすれば帰れる場所があるという安心感があってこそ自由を満喫できるのだ。

片道切符じゃなくてよかったね(笑)

言葉では説明つかない不思議な感覚を味わった幻想的な夜でした。

さぁ帰りましょう。夜が明けてしまう前に。折り返し列車が往ってしまう前に。

ではまた。




Posted at 2016/08/12 12:12:41 | コメント(4) | トラックバック(0) | ドライブ | 日記

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